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テラーノベル(Teller Novel)
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家に帰っても誰も居ない。静かな部屋。部屋に荷物を置いて、今日の夜ご飯は何を食べようかと考える。冷蔵庫の中身を見て絶望した。何も無い。食材が何もない。これでは夜ご飯が作れない。スーパーに買いに行くしかない。

何を買おうかと考えながらゆっくりとスーパーに向かっていく。歩きながら人を見ていく。仲睦まじい家族を見ると微笑ましくなる。いや、羨ましいのかもしれない。僕には誰も居ないから。家族と一緒に歩いた記憶だって、家族と笑った記憶なんて一切ない。もちろん友達と笑いあったりしたこともない。コンビニの前とかで話して、買い食いして、そんなことをするのが夢でもあった。今となっては色んな夢がある。友達と夜中まで遊んだりとか、友達の家に遊びに行ったりとか色々あるけど、当然できるわけが無い。僕には友達がいないのだから。僕は独りぼっちだから。

スーパーで食材を買って帰ろうとスーパから出た時聞いたことある声が聞こえた。その声を聞いた瞬間嫌な感じがした。

「伊藤くんっ!」

やっぱり、松田さんだった。松田さんは僕をストーカーしてるんじゃないかってぐらいいつもいるなと多少思っている。

「松田さん。」

「今、伊藤くんスーパーから出てこなかった?」

「うん。」

「おつかい頼まれたの?」

本当は家の食材がないから買いに来たのだけど、正直に言ってしまったら親がいなくて独りだと思われて、変な誤解をされてしまいそうだから、今は話を合わせておつかいということにしとこう。

「そう。おつかい」

「偉いね。おつかいなんて」

「そうかな?松田さんは何してたの?」

「私は塾の帰り」

「塾とか行ってたんだね」

「うん。私頭悪いから」

「そうかな?」

「悪いよー。じゃあ、私帰らないとだから」

「うん。また明日」

「じゃあねー!」

やっぱり、松田さんは変な人だ。僕と一緒に話して何が楽しいのだろう。つくづく謎だ。また同じ景色を見ながら帰路に着く。ここからまた独りの孤独な世界が始まる。寂しいし、人と話したいなと思う時もある。松田さんと出会ってから今までは人と話したくないし、関わりたくなかったけど、今は人と話したいし今まで独りでも寂しくなかったのに今はとても寂しい。独りの世界が怖い。みんな当たり前のように人と話して、当たり前のように友達がいて。自分だけ独りで世界から浮かれてるような気がする。

家に帰って料理を作る。最近は自分が作った料理に点数をつけて上手くできたなとか美味しくできたなと自己評価をつけている。いつかは人に振舞ってあげたいなと思いつつも相手がいない。僕に料理を振る舞えることは出来るのだろうか。ソファに座り、おもむろにテレビをつける。特に見たいものがあるからという訳でもなく、静かな空間でご飯を食べるのは寂しいので一応つけてるだけ。テレビで喋る芸能人を見てこんな人がいるんだとか若い人だなと思いながらテレビを見る。テレビを見てるからと言って芸能人全員知ってるという訳でもないし、むしろ疎いほうだ。クラスで女子が話してるようにテレビの話題とか話してみたいけど、そんな勇気も話題もない。

君が僕を救ってくれました

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コメント

1

ユーザー

独りになるのは不安になるよね、、 続き待ってます!!

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