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玄関を出て、少し歩く。
後ろの家は、もう見えなくなっていた。
リュックが、前より重い。
中身は増えてないのに、変な感じ。
言葉にしなくても、胸がいっぱいだった。
【ころん】「ゆっくりでいいよ」
【莉犬】「今日は、頑張ったよ」
二人の声は、前を向いてる。
振り返らない。
あっきぃ(……ありがたい)
歩くたびに、靴の音が揃う。
気づいたら、口から出てた。
【あっきぃ】「……ごめん」
【ころん】「なにが?」
【あっきぃ】「……時間、かかったこと」
【莉犬】「必要な時間でしょ」
即答だった。
胸の奥が、少しだけ緩む。
曲がり角。
夕方の空が、オレンジに近づいてる。
【あっきぃ】「……戻らなかった」
【ころん】「うん」
【莉犬】「選んだね」
責めも、評価もない。
ただ、事実だけ。
【あっきぃ】「……怖かった」
【ころん】「そりゃそう」
【莉犬】「でも歩いてる」
その一言で、足元を見た。
あっきぃ(……ほんとだ)
止まってない。
途中、スマホが震えた。
あっきぃ(…?なんだ?)
画面を見る。
名前に、少しだけ息が止まる。
【あっきぃ】「……っ!」
開かずに、ポケットに戻す。
【ころん】「無理しなくていい」
【莉犬】「あとで、いいこと」
何も聞かれない。
あっきぃ(……今は、これでいい)
ころんくんの家が近づく。
【あっきぃ】「……今から」
【莉犬】「ここが帰る場所」
【ころん】「おかえり、って言う?w」
冗談っぽく言われて、少し迷った。
【あっきぃ】「……ただいま、?」
【ころん】「…!おかえり」
【莉犬】「おかえり!」
ドアが開く音が、やけに優しい。
中に入って、靴を揃える。
【あっきぃ】「……荷物、これだけ」
【ころん】「十分だよ」
【莉犬】「これから増えるの!」
リュックを下ろすと、肩が軽くなる。
……帰ってきた。自分で選んだ場所に。
【あっきぃ】「……ありがとう」
【ころん】「もう言わなくていいって」
【莉犬】「言いたくなったらで」
【あっきぃ】「……うん」
その夜、
初めて「戻る」じゃなくて
**「帰る」**って思えた。