テラーノベル
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そして、夜となった。
モンスターはうじゃうじゃとやってくるが、ゴーレムを倒した。と言っていたミュータントゾンビの姿は確認出来なかった。
✵✵✵✵✵
「ふわぁああああああ・・・」
すまない先生は大きな欠伸をこぼした。待てど暮らせど、ミュータントゾンビは一向に現れない。
「ほんとに、来るんですか?ミュータントゾンビなんて・・・大体・・・ふわぁ・・ミュータントゾンビなんて、伝説上の生き物ですよ?」
ブラックも眠たいのか、欠伸をこぼしていた。
「・・・ほんとに、みゅーたんとぞんびがごーれむをたおしたの?」
「えぇ、ゴーレムと共に狩りに行った彼らから、ゴーレムはミュータントゾンビと戦って倒されたと」
「・・・ん?待ってください。倒されたってことは、その戦いを見てたのですか?」
「そうじゃよ?」
「・・・おかしい。じゃあなんで・・・そのひとたち“しんでないの?”」
「ちょっ!?シルトくん!?」
シルトのド直球過ぎる疑問に、すまない先生は目を丸くした。
「えぇ、シルトの言う通りです。ミュータントゾンビ、いや、ミュータントモンスターは、伝説上と言えども、その強さは計り知れません。ゴーレムであっても、負けてしまうでしょう。ですが、“どうしてその人たちはゴーレムが倒された”とはっきり言えるんですか?
ゴーレムが倒される前より、真っ先に逃げないと、今の時代の人間には、勝ち目なんてありません。“生きて帰ってくることすら”」
「はぁ!?ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!!」
と、おそらくそのゴーレムと共に狩りに行った男性達が詰め寄ってきた。
「俺たちは死にものぐるいで逃げてきたってのに!!」
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!!」
「ほれみろ!この腕の傷!!そのモンスターにつけられ・・・」
すると、シルトがその男の腕に巻かれていたギプスを奪い取った。
「っ!!てめっ!!返せ!!」
男はギプスを奪い取ろうとするも、シルトはひょいっと避けた。
ギプスをつけていた腕には、傷一つも付いていない。
「・・・どういうことだ?確かその腕は骨折したと言っておったではないか!」
「・・・てめぇが悪いんだよ!!ジジィ!!」
男達は村長に向かって怒号を飛ばした。
「あんなゴーレム、こんな貧乏な村に置いてもなんも意味もねぇだろ!!なのにおめぇらはあいつをまるで本当の仲間みたいにさぁ!?馬鹿じゃねぇの!?」
「あぁそうだ!!こいつの言う通りだ!!あいつなんてさっさと鉄インゴットにしちまえばよかったのによ!!いつまでもしねぇしさ!」
「だから俺たちが代わりにやってやったんだよ。案外簡単に倒せたぜ?あいつ、沼に足がハマってもがいてさぁ、そこを狙って殴ったら簡単に・・・」
「最低ですね」
ボソッとブラックはこぼした。すると、
「・・・どういうこと?」
少女が驚いたように目を丸くしていた。
「・・・あのゴーレムさん、モンスターにやられたんじゃないの?」
その少女は、ポピーの花を持っていた。シルトが出会った、あの女の子だ。
「ねぇ!なんで!?なんで殺したの!!酷い!!返してよ!!あの子を返してよ!!」
そう少女は泣き叫びながら、男達に詰め寄った。
すると、
「うるせぇ!」
「きゃ!」
男は少女を突き飛ばす。すまない先生はその女の子を支えた。
そして、男はおそらく、ゴーレムに供えようとしていたポピーを踏み潰した。
その途端、
“男の頭が潰れた”
そのまま、頭部を無くした男の体は力無く地面に倒れた。
「きゃあああああ!?!?」
悲鳴がそこら中に響く。すまない先生は少女の目を慌てて覆った。
「・・・なに、してるんですか!!“シルト”!!」
そうブラックは男性の頭を黒と青緑の大盾で潰した“シルト”に向かって叫んだ。
「てめぇ!!何しやがる!!」
もう1人の男が近くに落ちていた木の棒でシルトを殴ろうと振りかぶる。
だが、シルトの方が早かった。
シルトは盾を軸にし、回し蹴りを食らわせた。
シルトの足が男の胴体に突き刺さる。明らかに骨が折れた音が響く。
その男は痛みに呻いていた。
そして、残った1人の男の方を向いた。
「ひ、ヒィィィ!!来るな!!“化け物”!!」
シルトは無表情で盾を片手で持ち、振り下ろそうとした。
「やめろ!!シルト!!」
その言葉に、シルトは手を止めた。そして、振り返る。
そこには、すまない先生が真っ直ぐとシルトに目を向けていた。
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