「・・・どーしてとめるの?すまないせんせ」
そうシルトは聞いた。
「・・・シルトくん、君は・・・“人を殺すのに躊躇ないの?”」
そうすまない先生の問いにシルトは少し考え、答えた。
「ないよ?なんで?」
まるで、普通に答えるかのようにそうこぼした。
「こんなにんげん、ころしてもべつにもんだいないでしょ?にんげんなんて、ざっそうのごとくしぶといんだから」
そうシルトはあっけらかんにこぼした。
まるでそれが、“常識”かのように。
「・・・でも、人を殺してはいけない」
「なんで?」
「・・・お願いだから、人をそんな簡単に殺さないでくれ」
そうすまない先生は懇願した。そんなすまない先生を見て、シルトは盾を降ろした。
「わかった、せんせがいうならやめる」
と。
男は震え上がり、口から泡を噴いて気絶していた。
そして、シルトに対し、怯えや恐怖が混じった瞳で見る村人たち。
それは、すまない先生にも覚えがあった。
──人とは違う能力を持っているだけで、人は簡単に差別してしまう。
だが、シルトはそんな視線なんて微塵も興味無さそうに平然としていた。
──男は村長がそれ相応の罰を与える。と申し出た。
✵✵✵✵✵
帰り、すまない先生たちはあの後、泊まられますか?と村長に聞かれるも、それを断った。
断ると同時に、後ろに仕えていた村人がホッとしているのが見えた。
おそらく、すまない先生たちに恐怖してしまったからだろう。
シルトは平然と歩きながら、鼻歌を歌っていた。
「・・・彼?彼女?には常識が無いのですかね」
「・・・多分ね。あの子は、見た目は僕らと同じだけど、中身がだいぶ幼い・・・まるで、赤子のようだ・・・あの子に、“常識”教えないとなぁ・・・」
そうすまない先生はこぼした。






