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カフェから帰った夜。
部屋は静かで、いつもと同じはずなのに、少し違う。
ベッドに座って、スマホを置く。
(……壊れなかった)
30分。
近づきすぎなかった。
引き止められなかった。
時間通り、終われた。
それが、頭の中で何度も再生される。
【あっきぃ】「……守られた」
誰かに、じゃない。
自分の決めた線が。
少しして、ドアがノックされた。
【ころん】「起きてる?」
【あっきぃ】「……うん」
【ころん】「入っていい?」
【あっきぃ】「…いいよ」
【ころん】「今日さ」
【ころん】「“成功”だったよね」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】(廊下から)「顔が答え!」
【ころん】「そうそう!
今日は疲れたと思うから、
もう戻るね、おやすみ」
【あっきぃ】「おやすみ…」
通りすがった莉犬くんに言われた。
二人は、それ以上聞かない。
それが、いつもの距離。
ドアが閉まって、また一人。
天井を見る。
(……帰る、って)
前みたいに全部我慢する場所じゃない。
逃げ場がない家でもない。
(……条件があるなら、大丈夫かも)
スマホを手に取る。
【あっきぃ】
『少しずつ、家に戻ること考えてる。
全部前みたいには戻らない。部屋は一人。
干渉しすぎない。無理な日は、外に出る』
送信。
心臓が、静かに鳴る。
でも、怖さより、整理された感じ。
返事は、時間差で来た。
【あっと】
『条件、全部受ける。
いつ戻るかは、あっきぃが決めて』
【けちゃ】
『干渉しない。必要な時だけ声かける』
【まぜ太】
『無理な日は、理由聞かない』
【ぷりっつ】
『…帰ってきてくれるなら
守ること、続ける』
【ちぐさ】
『部屋、ちゃんと空いてるよ』
画面を見て、目を閉じる。
(……“戻れ”って言われてない)
翌朝。
ころんくん達に伝える。
【あっきぃ】「…ねぇ2人共」
【ころん】「ん?」
【莉犬】「どうしたの?」
【あっきぃ】「俺…家、戻る」
【ころん】「決めたんだ」
【莉犬】「条件付き?」
【あっきぃ】「……うん」
二人、同時に笑う。
【ころん】「それが一番強い」
【莉犬】「帰る場所、増えたね」
胸が、暖かくなった。
数日後。
荷物は、少なめ。
全部は、持っていかない。
兄弟のいる玄関の前で、深呼吸する。
【あっきぃ】「……ただいま」
【あっと】「おかえり。今日は、挨拶だけでいい」
【けちゃ】「部屋、変わってないから」
【まぜ太】「飯、あとで食おうぜ」
【ぷりっつ】「……無理そうなら、言ってな」
【ちぐさ】「ゲーム、続きやる?」
誰も、詰めない。
靴を脱いで、一歩入る。
(……選んで、戻った)
それだけで、
この家は前と違う場所になっていた。
【あっきぃ】「……今日は、ここまで」
自分で区切れる帰宅。
それが、
本当の意味で“帰る”と決めた瞬間だった。
次回、最終回!!