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#探偵
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如月 未澄斗
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「俺はデザインする。自らの人生を」
デザイナーの言葉に、他の勇信たちが一斉にキャプテンを見つめた。
なぜこのような人物が突然現れたのか、理由を知りたかったからだ。
キャプテンは少し考えてから言った。
「俺はずっと、自分の外見を変えることを考えていた。少なくとも外見が変われば、たとえ外で増殖したとしても、勇信が2人いるとは誰も思わないだろう」
「片方は全裸になるだろ……」
「全裸は仕方ないと思っている。問題はそのあとだ」
キャプテンは、リビングの窓へ目を向けた。
「この家は俺の家だ。しかし俺がキャプテンである限り、ここは終身刑の独房と何も変わらない。今はまだ我慢できる。でも、この先ずっと外に出られないと考えると、眠れない夜もある」
「思った以上に肯定的じゃない生活なんだな」
ポジティブマンが言った。
シェフが包丁を置き、真顔でうなずいた。
「俺が母体だったらよかったのにな。俺はどこにも行かず、ただ料理だけをしていたい。新鮮な食材を素晴らしい料理に変える。そのプロセスこそ、やりがいのある暮らしだ」
「まあ、とにかく俺がキャプテンである事実は変わらない。だから外出について真剣に考えていた。デザイナーは、そうした俺の心を反映して生まれたんだろう」
「デザイナーよ、ひとつ聞きたい」
沈思熟考が、今日になってはじめて口を開いた。
「吾妻勇信という人間は、自分の外見を嫌っていない。なら、どうして自ら外見を変える属性が生まれたんだ」
「俺は嫌っていない。吾妻勇信の顔を。俺は必要としている。変化を」
「変化?」
「俺は望まない。整形を。俺はデザインする。吾妻勇信が外へ出るための形を」
デザイナーはそう言い残し、リビングルームから出ていった。
5分後、彼は翼を広げた孔雀を連想させるアフリカの民族衣装を着て戻ってきた。
かつてAZUMAブランドが主催したファッションショーで、最優秀賞を受賞したデザイナーが勇信に贈った衣装だった。
「まずは服。人は見る。顔の前に、全体の印象を。次に髪を、姿勢を、歩き方を、声を。顔は最後の問題だ」
「口調もデザインしたのか」
「言語も日々変化するもの。つまりデザインである」
勇信たちは黙り込んだ。
リビングの奥にあるキッチンから、キャベツを切るリズミカルな音だけが響いていた。
「つまりおまえは、整形担当というより、外出担当ということか」
キャプテンが言った。
「違う。俺はデザインする。出口を。閉じ込められた吾妻勇信のために」
「顔認証対策もできるのか」
「俺は考える。服装、髪型、姿勢、歩き方、声、そして顔。必要なら使う。特殊メイクも、マスクも。吾妻勇信が、吾妻勇信に見えないための方法を」
「もしかするとおまえは……俺たちの苦悩を一心に背負う勇信か?」
あまのじゃくは感極まった。
「なら、デザイナーではなく、実は自己犠牲属性――」
「自己犠牲はしない。デザインするだけだ。吾妻勇信が立ち向かう困難を、デザインの視点から」
「具体的にどういったことだ」
「具体性はない。決意だけが心に存在する」
リビングルームが静まり返った。
「まさかおまえも……虚勢か?」
あまのじゃくが小さく言った。
「虚勢ではない。構想だ。具体性はあとから来る。構想の後ろを歩いて」
「それを虚勢って言うんじゃないのか」
「違う。デザインだ」
「便利な言葉だな……」
「それでいい」
キャプテンが言った。
「実は俺にも、ひとつ計画がある」
「デザイナーに続いて、キャプテンまで変化を語りはじめたぞ」
「何なんだ、その計画って」
「シナリオだ」
「シナリオ?」
「ずっと家にこもりながら考えていた。もし俺たちが外に出られるようになったら、何ができるのか。どうすれば、今の状況をひっくり返せるのか。そして昨日、兄さんの改革と堀口課長の件が起きた。そのとき、ようやく輪郭が見えた」
「内容は?」
「まだ濃いフィルムがかかっているように不透明だ。一晩中そのフィルムを剥がそうともがいたが、おそらくここが今の俺の限界だ」
「結局、輪郭だけじゃないか」
失望の声が重なった。
「心配ない。今の俺がここまでだとしても、いずれ俺は自分の能力を使って答えを得る」
「能力?」
キャプテンの口から出た言葉に、全員が驚いた。
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