テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
お昼の野菜ラーメンを二人で食べていたら、また千歳に無茶振りをされた。
『おい、エイプリルフールだぞ、何か嘘つけ』
「え? えーと、うーんと……あ、エイプリルフールの嘘は午前までだよ」
『え!?』
千歳は目を丸くした。
「……とまことしやかに言われてるけど、本当かどうかは知らない」
『なんだ』
「思いつかないから、これを嘘にカウントしといて」
『なんか騙された気分だ……』
千歳は釈然としない顔だ。
「嘘なんだからいいじゃん」
『まあそうだけどさ』
千歳は麺をすすってもぐもぐしてから、つぶやいた。
『いや、でも、気の利いた笑える嘘って、考えるの難しいか。星野さんとも、どんな嘘がいいかなって考えて、でも気の利いたのが出なかったし』
「難しいよね、気の利いた笑える嘘。すぐ嘘だって分かる嘘じゃないと、デマのもとになるし」
『そうか、信じられちゃったら困るか』
俺はラーメンつゆをすすって、「あ」と思い出した。
「そう言えば、今日一日限定で狭山さんお嬢様なんだって、エイプリルフールだから」
『は?』
意味がわからなかったらしく、千歳は変な顔をした。
「えーとね、TwitterとMisskeyで、今日一日ずっとお嬢様口調でお嬢様っぽいこと投稿するんだって。なんか、お嬢様っぽい朝ご飯とかあげてたよ」
確か、紅茶のカップとマフィンサンドと目玉焼きとサラダだったような。お嬢様というよりイギリス風という気もするが。
『そうか、そういう笑えることしてもいいのか』
「四月馬鹿だもんね」
『じゃあ、なんか気の利いた笑えることでもいいのか……いや、それもそれで難しいな……』
千歳は考え込んでしまった。
「何、エイプリルフールっぽいことしたかったの?」
『なんか、意識したら、やりたくなってきた』
「うーん」
俺は少し考えた。
「そう言えばねえ……去年のエイプリルフールで嘘商品を発表した会社がね、その商品買いたいって人が多すぎて、今年のエイプリルフールに本当に発売したんだって」
『え、そんな、嘘から出たまことが本当にあるのか!?』
「本当に嘘から出たまことだよね。でさ、その商品、おせんべいなんだけど、コンビニにおいてあるかもしれないから、午後の散歩で探しに行かない?」
『おっ、いいな』
千歳はラーメンのつゆを飲み干し、また何か考える顔になった。
『嘘から出たまことか、嘘ついたら本当にならないかな……うーん、和泉豊電撃結婚! 十月十日後、玉のような子が生まれる! 七代以上続く!』
「ついていい嘘は一個だけだよ……」
#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
22,155
わーい
41
485
コメント
1件
ふふ、エイプリルフールの話、すごくほのぼのしてて好きだな〜😊💕 千歳くんが「気の利いた笑える嘘」にこだわってるところ、なんか可愛いし、それで「和泉豊電撃結婚!」って急にデカい嘘つき出すの、笑っちゃったよwww 最後の「ついていい嘘は一個だけ」ってツッコミも最高! こういう何気ない日常のやりとりがじんわり沁みるね…🥺✨