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素敵なストーリー♪ フォロー失礼します(〃∇〃)

難しいね😓 皆んなが喜ぶ答えもあるし 自分が納得した答えに辿り着いたのかなさ
第3話、読み終わりました。インタビューの「成功って何ですか」という質問がずっと深澤の頭に残って、帰りの車で考え込むところ、すごくリアルでしたね。ああいう質問って、その場では答えられても後からじわじわ来ることありますよね。 照との会話で「失敗した日も全部あって今がある」っていう流れ、本当に良かった。成功した日だけが自分じゃない、弱い日も泣いた日も全部抱えて今の自分でいるんだなって感じられて、じーんとしました。最後に雑誌の追記を送るところも含めて、深澤なりの答えがゆっくり出てきた感じが好きです。
その日。
深澤は雑誌の取材を受けていた。
個人インタビュー。
これまでの活動について。
グループについて。
最近の仕事について。
これからやってみたいこと。
質問はどれも難しくなくて、深澤はいつものように笑いながら答えていた。
長くこの仕事をしていれば、こういう場にも慣れる。
聞かれたことに答える。
必要なら少し笑いを入れる。
真面目なところは真面目に。
重くなりすぎたら、自分で少し空気を変える。
いつものことだった。
「では、最後に一つだけ」
インタビュアーが手元のメモを見た。
「深澤さんにとって、“成功”って何だと思いますか?」
深澤が少しだけ目を瞬く。
「成功?」
「はい」
思っていなかった質問だった。
けれど。
答えられないほどではない。
深澤は少し考えてから笑った。
「難しいなあ」
そう言いながら。
頭の中に、いくつかのものが浮かぶ。
デビュー。
大きな会場。
九人で立ったステージ。
昔は想像もできなかった仕事。
一人では行けなかった場所。
「でも」
深澤はゆっくり口を開いた。
「やっぱり、目標にしてたことを叶えられた時ですかね」
インタビュアーが頷く。
「デビューとか?」
「そうですね。それもそうだし」
少し考える。
「ずっと九人でやっていけてることも、成功って言っていいのかなって思います」
「素敵ですね」
「いや、まだ全然途中ですけど」
深澤は笑った。
「成功しました、終わり、じゃないから」
その場では。
それで終わった。
取材も無事に終わって。
スタッフへ挨拶をして。
帰りの車に乗った。
いつも通りだった。
なのに。
車が走り出してしばらくしても。
さっきの質問だけが。
頭の中に残っていた。
成功。
目標を叶えること。
確かに。
間違ってはいない。
自分でも、そう思う。
けれど。
「……」
深澤は窓の外を見た。
デビューできた。
たくさんの人に応援してもらえるようになった。
大きな仕事も増えた。
九人で、ここまで来た。
照とは。
長い時間を経て、婚約までした。
嬉しいことは。
数え切れないくらいある。
でも。
それだけだっただろうか。
成功した日の間には。
もっとたくさんの日があった。
思うようにいかなかった日。
自分だけ上手くできなかった日。
何を言っても空回りした日。
笑わせようとして滑った日。
九人のことを考えすぎて、一人で勝手に疲れた日。
泣いた日。
眠れなかった日。
何もできなかった日。
そして。
夢の中で。
とうとう自分まで泣いた日。
「……成功って何なんだろ」
小さく呟いた声は。
走る車の音に消えた。
家に帰ると。
岩本はもう帰っていた。
「おかえり」
「ただいま」
リビングへ入ると、岩本が深澤の顔を見る。
「疲れた?」
「んー……普通」
「普通?」
「気持ちが」
岩本が少し笑う。
「何それ」
「俺も分かんない」
深澤はバッグを置き、そのままソファへ座った。
岩本も隣へ来る。
少しだけ間を空けて座った。
深澤はしばらく何も言わなかった。
岩本も急かさない。
テレビもつけない。
ただ。
隣にいる。
その静けさが。
今はちょうどよかった。
「今日さ」
「うん」
「インタビューで聞かれたんだよね」
「何を?」
深澤は少しだけ天井を見る。
「成功って何ですか、って」
岩本が深澤を見る。
「何て答えたの?」
「目標を叶えた時とか」
「九人でここまで来られたこととか」
「それも成功なのかなって」
「ふっからしいね」
「何それ」
「ちゃんと答えてる」
「そりゃ取材だからね」
深澤は少し笑った。
でも。
笑ったあと。
また黙る。
岩本はそのまま待った。
深澤が続けるのを。
「……でも、帰りの車で考えてたら分かんなくなった」
「何が?」
「成功って」
深澤は自分の手を見る。
「デビューしたのは成功だと思う」
「ライブできるようになったのも」
「九人で続けられてるのも」
「照と……こうなったのも」
左手を見る。
婚約指輪が二つ。
岩本も同じように、自分の左手へ視線を落とした。
「それは成功って言うの?」
岩本が笑う。
「さあ」
「そこは言ってよ」
「結婚できたら成功?」
「……それも違う気がする」
「じゃあ何だろうね」
深澤は少し驚いて岩本を見る。
「答えないの?」
「俺が?」
「うん」
「ふっかが聞いてるから?」
「そう」
「分かんない」
即答だった。
深澤が眉を寄せる。
「照まで分かんないの?」
「うん」
「なんか言ってよ」
「無理に言ったら適当になるじゃん」
「それはそうだけど」
岩本は少し考えて。
「ふっかは?」
と聞いた。
深澤が嫌そうな顔をする。
「それが分かんないから聞いてるんじゃん」
「じゃあ一緒に考えればいい」
「簡単に言うね」
「簡単じゃないよ」
岩本は笑わなかった。
真面目な顔で。
深澤を見る。
「でも、ふっかの成功を俺が決めるのも変でしょ」
「……」
その言葉に。
深澤は少し黙った。
岩本が続ける。
「成功した日だけが大事なら」
少し間を置く。
「失敗した日は全部いらないってことになるじゃん」
深澤が顔を上げる。
「そんなこと思ってないよ」
「うん。ふっかは思ってない」
「じゃあ何」
「だから」
岩本はゆっくり言う。
「成功って、結果だけじゃないんじゃない?」
深澤は黙って聞く。
「俺らさ」
「うん」
「いっぱい失敗したじゃん」
「……したね」
「めちゃくちゃ遠回りもしたし」
「した」
「何回も上手くいかなかったし」
「うん」
「ふっかも、ずっと上手くできてたわけじゃないでしょ」
「そりゃね」
「でも、それ全部なくしたい?」
深澤の答えは。
すぐには出なかった。
昔の自分。
空回りしていた自分。
自信がなかった自分。
何かしなきゃと思って。
必死にしゃべって。
誰かが困ればすぐに間に入って。
自分が疲れていることには気づかないふりをした。
あの頃。
もっと上手くできていたら。
もっと要領よくできていたら。
もっと早く。
いろんなことに気づけていたら。
そう思うことはある。
でも。
「……なくしたくはない」
深澤が小さく言う。
岩本が頷いた。
「俺も」
「照の話してないけど」
「俺はふっかの話してる」
「何それ」
「なくしたくないよ」
岩本は迷わず言った。
「失敗してたふっかも」
「……」
「泣いてたふっかも」
「……」
「何もできなかったふっかも」
深澤は少し目を逸らす。
「そんな日あった?」
「いっぱい」
「ひど」
「でも」
岩本の声が柔らかくなる。
「そういう日があったから、今のふっかがいるんじゃない?」
深澤は何も言えなかった。
頭の中に。
いろんな自分が浮かぶ。
笑っている自分。
泣いている自分。
失敗した自分。
誰かを支えられた自分。
誰かに支えられた自分。
全部。
同じ自分だった。
成功した自分だけが。
本当の自分なわけじゃない。
「……俺さ」
「昔から、ちゃんとしなきゃって思ってたんだよね」
岩本は黙って聞く。
「俺が回さなきゃとか」
「空気悪くなったら何とかしなきゃとか」
「九人が困ったら、俺がどうにかしなきゃとか」
「それで上手くできたら、よかったって思うし」
少し笑う。
「できなかった日は、なんか自分がダメだったみたいに思ってた」
岩本は深澤の言葉を遮らなかった。
「でも」
深澤は少し考える。
「今は」
夢の中。
自分が泣いた時。
誰も困らなかった。
九人は壊れなかった。
自分がまとめなくても。
誰かが代わりに立って。
誰かが手を伸ばしてくれた。
「……俺がダメな日でも、九人は九人なんだよね」
「うん」
「照もいるし」
「いる」
「あべちゃんも」
「うん」
「みんないる」
深澤は少し笑った。
「だったら、成功した日だけ大事にするのも変か」
「俺はそう思う」
「成功してない日も?」
「普通に大事」
「失敗した日も?」
「大事」
「滑った日も?」
岩本が少し笑う。
「それはいっぱいあるから特に大事」
「おい」
深澤が岩本の腕を軽く叩く。
岩本は笑った。
その笑いにつられて。
深澤も笑った。
少しだけ。
胸の奥が軽くなる。
「じゃあ成功って何?」
深澤がもう一度聞く。
岩本は少し考えて。
「分かんない」
と答えた。
「結局それ?」
「でも」
「何」
「今ここにいるのは、成功したからだけじゃないと思う」
深澤が見る。
「失敗した日も」
「遠回りした日も」
「全部あって、今ここにいる」
岩本は深澤の左手を取った。
指輪のある手。
「だから」
少し笑う。
「まだ決めなくていいんじゃない?」
深澤は。
その言葉をしばらく考えた。
成功とは何か。
今すぐ。
綺麗な答えを出さなくてもいい。
これからまた。
成功したと思う日がある。
失敗したと思う日もある。
何もできなかった日も。
誰かに助けられる日も。
全部。
自分の人生の続き。
そう考えたら。
少しだけ。
答えに近づいた気がした。
数日後。
雑誌の原稿確認が届いた。
深澤はスマートフォンで文章を読みながら。
最後の質問で止まった。
『深澤さんにとって、成功とは?』
そこには。
取材で答えた自分の言葉が載っている。
目標を叶えること。
九人でここまで来られたこと。
間違ってはいない。
深澤はしばらく画面を見たあと。
担当者へ連絡を入れた。
少しだけ。
追記してもいいですか。
返事はすぐに来た。
もちろんです。
深澤は入力欄を開く。
何度か書いて。
消して。
また書いた。
そして。
最後に残した。
『成功した日だけじゃなくて、失敗した日も、何もできなかった日も、全部あって今の自分がいると思います。だから、成功って何かはまだ決めなくてもいいのかもしれません。これからも答えは変わっていくと思うので。』
読み返す。
少し恥ずかしい。
でも。
今はこれでいい。
送信する。
すると。
隣でスマートフォンを見ていた岩本が聞いた。
「送った?」
「うん」
「何て書いたの?」
「内緒」
「見せてよ」
「雑誌出たら読めば」
「先に知りたい」
「やだ」
岩本は少し不満そうだったけれど。
深澤は笑った。
成功した自分。
失敗した自分。
強い自分。
弱い自分。
笑える自分。
泣く自分。
どれか一つだけが。
深澤辰哉ではない。
全部。
自分。
全部あって。
今ここにいる。
そして。
まだ途中。
だから。
今日も。
答えが出なくてもいい。
深澤はスマートフォンを置くと。
隣にいる岩本の肩へ、そっと頭を預けた。
僕のこと Mrs. GREEN APPLE
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