はぁ。本当に疲れた。僕は今花恋と遊んでいる。でもずっとくっついて来て動きにくい。チラッと横を見ると花恋が満面の笑みで砂のお城を作っている。顔は可愛いのにな。まだ結婚してないのが不思議だった。でも性格がな。今日は瞳さんと遊べると思って楽しみにしてたのに。海の方を見ると瞳さん達が楽しそうに遊んでいる。とても笑っているのが分かって僕もあの笑顔を近くで見たいと思っていた。でも隼人さんといるのが少し心配だ。隼人さんは瞳さんのことが好きなのがすぐに分かる。それにしてもこんなことになるとは思わなかった。あんなに準備してきたのに…。
1週間前。僕はリビングでくつろいでいた。1人暮らしは楽しいけれど、ふいに寂しくなることがある。携帯をながめていると着信音が鳴った。
「今度、海に紗枝と行くんですけど一緒にどうですか?」
嬉しかったけど、少し迷った。本当に行っていいのだろうか。もし行くとなったらかっこいい所を見せたい。そんなことを考えていたらいつの間にか寝落ちしていた。
翌日。今日はバイトが休みなので遅くまで寝ていた。起きたら10時をまわっていた。僕は急いで瞳さんに返事をした。やっぱり折角誘ってくれたし行くことにした。
その後、僕はプールに行った。かっこいい所を見せるなら泳げた方がいい。そしたら体も鍛えられるし。しかも僕はカナヅチなのだ。そんな姿を瞳さんに見せたくない。
それから毎日バイト帰りにプールに通った。
あんなに頑張ったのに見せられないで終わるのかな。そんな時だった。紗枝さんと隼人さんが急いで海から上がってきた。瞳さんがいない。嫌な予感がした。
「どうしよう、瞳がいない!」
紗枝さんが今にも泣き出しそうな声で駆け寄ってきた。僕は花恋の手を振りほどいて浮き輪を持って海へ走った。
海の沖で瞳さんが浮いているのを見つけた。僕は急いで浮き輪を被せて砂浜まで連れて泳いだ。まさかこんな形で役に立つとは思ってもいなかった。危なっかしくて目が離せないな。僕はある事を決意した。それを実行する為にも助けないと。
砂浜に着いて瞳さんを横にする。息をしていない。もう人工呼吸するしかないな。
「あ、じゃあ俺が」
隼人さんの声が聞こえたけど聞こえないふりをして唇を重ねた。息を何度か送っていると反応があった。僕はほっとした。紗枝さんは喜んでいたけど隼人さんは嬉しいのと悔しいのとで複雑な顔をしていた。
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