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檻のなかのアイドル

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檻のなかのアイドル

21 - episode21-誰もが誰かを想っていた-

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2025年07月22日

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いつも通りの朝。けれど、なんとなく胸の奥がざわついている――そんな感覚を、らんは無視できなかった。


食堂でひとり黙々とトーストをかじっていると、背後から無言で近づいてきた気配。


🎼📢「……お前、また何か抱えてんのか?」


🎼🌸「……なによ急に、びっくりするでしょ」


コーヒーを口に運びながらも、らんは目を合わせなかった。

でも、いるまはすぐ隣に座る。


🎼📢「“何かあった”って顔してる。

お前、顔に出やすいんだよ、昔から」


🎼🌸「うるさいな……あんたは出なさすぎなのよ」


らんは苦笑いを浮かべてカップを置いた。

その指が少し震えていたのを、いるまは見逃さない。


🎼📢「……すちとみこと、なんかあったろ」


🎼🌸「……あんたも気づいてたの?」


🎼📢「あいつら、隠すの下手だからな」


短く言い捨てたあと、いるまはしばらく無言で天井を見つめていた。

そして、ぽつりと漏らす。


🎼📢「……俺たちも、ずっとこのままじゃいられねぇ気がする」


🎼🌸「……どういう意味?」


🎼📢「お前に聞いてんだよ、“らん”」


らんの名前を呼ぶその声は、いつになく真剣で、強かった。


🎼📢「お前……俺のこと、どう思ってんの?」


ピタリ、と時が止まった。


🎼🌸「え……それって、どういう……」


🎼📢「俺はずっと、“お前が俺の番だったら”って思ってた。

でも言えなかった。ビビってたんだよ。

“関係崩れるのが怖い”とか、“今が楽だから”とか……全部逃げてただけ」


🎼🌸「……いるま」


らんはようやく彼の目を正面から見た。

鋭くて、不器用で、でもときどき優しさがにじむその瞳。


🎼🌸「あたし、ずっと“友達”だと思ってた。

でも……最近わかんなくなってきてる。

いるまの声がすると、安心するし、

となりにいないと、なんか落ち着かないし……」


🎼📢「それ、十分“好き”ってことじゃねぇの?」


からかうようでいて、けして笑ってはいない声だった。


🎼🌸「……あたしも、ちゃんと向き合ってみる。

いるまと“どうなりたいか”ってこと」


ほんの少し照れくさそうに、でも確かに前を向いて、らんはそう答えた。



夜、個室に戻ったこさめのスマホには、すちからの短いメッセージが届いていた。


《みこととちゃんと話したよ。

こさめちゃんは、こさめちゃんの気持ちを優先して。

俺はそれでも、味方だからね》


🎼☔️「……すちくん……」


胸が少し、あたたかくなった。

だけど同時に、“なつくん”の冷たい眼差しがフラッシュバックする。


「選ばないといけない」その想いが、こさめを苦しめていた。

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