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いつも通りの朝。けれど、なんとなく胸の奥がざわついている――そんな感覚を、らんは無視できなかった。
食堂でひとり黙々とトーストをかじっていると、背後から無言で近づいてきた気配。
🎼📢「……お前、また何か抱えてんのか?」
🎼🌸「……なによ急に、びっくりするでしょ」
コーヒーを口に運びながらも、らんは目を合わせなかった。
でも、いるまはすぐ隣に座る。
🎼📢「“何かあった”って顔してる。
お前、顔に出やすいんだよ、昔から」
🎼🌸「うるさいな……あんたは出なさすぎなのよ」
らんは苦笑いを浮かべてカップを置いた。
その指が少し震えていたのを、いるまは見逃さない。
🎼📢「……すちとみこと、なんかあったろ」
🎼🌸「……あんたも気づいてたの?」
🎼📢「あいつら、隠すの下手だからな」
短く言い捨てたあと、いるまはしばらく無言で天井を見つめていた。
そして、ぽつりと漏らす。
🎼📢「……俺たちも、ずっとこのままじゃいられねぇ気がする」
🎼🌸「……どういう意味?」
🎼📢「お前に聞いてんだよ、“らん”」
らんの名前を呼ぶその声は、いつになく真剣で、強かった。
🎼📢「お前……俺のこと、どう思ってんの?」
ピタリ、と時が止まった。
🎼🌸「え……それって、どういう……」
🎼📢「俺はずっと、“お前が俺の番だったら”って思ってた。
でも言えなかった。ビビってたんだよ。
“関係崩れるのが怖い”とか、“今が楽だから”とか……全部逃げてただけ」
🎼🌸「……いるま」
らんはようやく彼の目を正面から見た。
鋭くて、不器用で、でもときどき優しさがにじむその瞳。
🎼🌸「あたし、ずっと“友達”だと思ってた。
でも……最近わかんなくなってきてる。
いるまの声がすると、安心するし、
となりにいないと、なんか落ち着かないし……」
🎼📢「それ、十分“好き”ってことじゃねぇの?」
からかうようでいて、けして笑ってはいない声だった。
🎼🌸「……あたしも、ちゃんと向き合ってみる。
いるまと“どうなりたいか”ってこと」
ほんの少し照れくさそうに、でも確かに前を向いて、らんはそう答えた。
⸻
夜、個室に戻ったこさめのスマホには、すちからの短いメッセージが届いていた。
《みこととちゃんと話したよ。
こさめちゃんは、こさめちゃんの気持ちを優先して。
俺はそれでも、味方だからね》
🎼☔️「……すちくん……」
胸が少し、あたたかくなった。
だけど同時に、“なつくん”の冷たい眼差しがフラッシュバックする。
「選ばないといけない」その想いが、こさめを苦しめていた。