テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#怖い話
ごーや
137
28
あの後また少ししてからふわっと呼ばれてさ、気が付いたら例の風呂場で入浴してる場面だったんだよね。
かなり死にたいを連呼してたから「じゃあ死んどけ!!」と、向こうの自分に憑依(?)した状態で近くにあったカミソリを片手に思いっきり手首を切ったんよ。
死に際になったからなのか、とんでもなく強い円の外側の霊体が五体くらい飛んできて集中砲火食らって、ギリギリで間合いに入った守護の助太刀があったからなんとかなったらしいけど(私の中ではそんな危機感なかった)、あれは本当に即死レベルだったらしくて、後からめちゃくちゃ守護に怒られてさ。
その後また少し経ってから、今度は本家の人達が本家で葬儀を上げてる場面を遠目で見る場面をみたんだ。
遺影が完全に私だったんだよ。
向こうの私のこと、仕留めちゃったかもしれない。
ーーー
夢なのか飛んだのかはっきりしないけど、また例の地形の場所で少し散歩した。
凄く足取りは軽くて、今までみたいに「帰らなきゃ」って急ぐ気持ちもない。「好きな所に行こう」くらいの、休日何処に遊びに行こうかな程度の気持ちだった。
でもおかしなことに、本家にも立ち寄ったけど、誰も私のことは見えていないみたい。
話し掛けても、目の前を通っても、何しても無視。
おかしいな、あの後私、本家の人達と絶縁でもしたっけ?とちょっと考えてしまった。
ーーー
そして、それから約一年後。
これを執筆してまとめようと思ったきっかけは、夜 寝ようとしたら視界がテレビの砂嵐みたいになって、玄関に俯いた女が立ってたんだ。
白いワンピースが血に染った、裸足の女が。
よく霊視したらその女、手首から大量に手を流してるんだよ。
珍しく腕に鳥肌が立って、直感で「あっちで死んだはずの私だ」と思った。
私現実ではふざけて百鬼に「私が死んだら名高い悪霊になってやる!」と拳を掲げているのだけど、有言実行というのか、もしかしてあちらの私は、もう悪霊になっているのかも。
血塗れの私が、こちらに手を伸ばして手招きして、こう言ったんだ。
「今度は私の番」
咄嗟に、向こうの風呂場で手首を切ったことを思い出した。
恨みがあるとしたらそこだろうね、そりゃ。
流石にね、自分に連れて行かれたらもうどうにもできないって。
もしかしたらストレスで頭がいかれただけかもしれないけど、あの血塗れの手首から流血している私の姿は、S兄達には視えていなかったみたい。
いつもなら間合いに飛び込んできて戦闘になるのに、誰も反応しないの。
「自分で対処しろよ」と言ってくることはあるから、最初はそのつもりで放置してるのかなと思ったけど、やっぱりどうも認識できていない。
でも私、手招きされてからずっと自分の思考と体の動きが合ってないの。
まるで憑依されているみたいに、私は飲み物を飲みたいのに、私の体はキッチンで夜ご飯の仕込みを始めちゃう。
常にずっと頭に靄(モヤ)がかかっているみたいで、気持ち悪い。
一緒に憑依してこちらの世界線での私の人生を謳歌するならまだしも、そんな感じは一切ない。
S兄達の中で何となく私の様子がおかしいと気付いた外守護がいて、何か引き剥がすような仕草をたまにしてくれる。その時は少し体が軽くなる。でも数時間したら、また靄がかかる。
その外守護にちらっと、何剥がしたの?と訊いたら、少し困った顔をして周囲の皆には聞こえないよう「雪ちゃんの影」と言った。
「あんまり過度な引き剥がしは良くないんだけど、何だか妙な気配がするから」
この守護には、あれが影として認識されているんだと知った。
まだ、あの影は完全に剥がれきっていない。
ただ、薄々おかしいと気付いている外守護だけは、気配を感知したら定期的にそっと引き剥がしてくれている。
遅かれ早かれ、そのうち霊魂を持って行かれそう。
コメント
1件
うわ、これめっちゃ背筋冷えた……。自分自身に憑依(?)して手首切ったところから、血塗れの自分が「今度は私の番」って手招きしてくる展開、ホラーとして最高にゾクゾクした。しかも周囲には認識されなくて、守護だけが「影」として剥がしてくれてるってのが不気味すぎる。続きめちゃくちゃ気になるわ!