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土曜日。
大会当日。
朝早くから体育館には各校の選手が集まっていた。
「照、緊張してる?」
💛「全然」
そう答えたものの、手のひらにはじんわり汗が滲んでいた。
笛が鳴る。
試合開始。
────────
「ナイス!」
「戻れ!」
コートを走り続ける。
何度もぶつかり、何度も転び、それでも立ち上がる。
最後のブザーが鳴った瞬間。
「勝った!!」
部員たちが一斉に飛び跳ねる。
照も思わず笑った。
────────
夕方。
学校へ戻り、片付けを終える頃には校舎は静かになっていた。
照は昇降口へ向かう途中、保健室の前を通る。
電気がついている。
(まだいるんだ)
少しだけ迷った。
別に怪我はしていない。
報告する必要もない。
でも、気付けば足は保健室へ向かっていた。
コンコン。
💜「どうぞ」
ドアを開ける。
深澤は棚の整理をしていた。
照を見ると少し驚いた表情を浮かべる。
💜「珍しいね」
💛「今日は怪我じゃなくて」
照は照れくさそうに頭をかく。
💛「大会、勝ちました」
一瞬だけ、深澤の表情が柔らかくなる。
💜「そっか」
💜「おめでとう」
派手なリアクションではない。
それでも、その「おめでとう」は妙に心に残った。
💛「ありがとうございます」
少し沈黙が流れる。
深澤が棚に資料を戻しながら言う。
💜「今日は怪我人、多かった?」
💛「相手校で一人」
💜「そっか」
💛「やっぱり大会だと無理する人多いですね」
💜「勝ちたい気持ちは分かるけどね」
💜「無事に終わるのが一番だから」
照は小さく頷いた。
────────
その時だった。
保健室の電話が鳴る。
深澤はすぐに受話器を取る。
💜「はい、保健室です」
しばらく話を聞き、
💜「分かりました。今向かいます」
電話を切る。
💜「ごめん」
💜「野球部で擦り傷がひどい子がいるみたい」
💛「行ってきてください」
💜「悪いね」
深澤は救急バッグを持って急いで部屋を出て行った。
静かになった保健室。
照は一人、窓際に立つ。
机の上には、整然と並んだカルテ。
壁には応急処置のポスター。
薬品の匂い。
いつも見ていた景色なのに、先生がいないだけでずいぶん違って見えた。
数分後。
深澤が戻ってくる。
💜「待たせた?」
💛「いえ」
💜「ちゃんと帰らないと、家の人心配するよ」
💛「そうですね」
照はバッグを持ち上げる。
ドアを開ける前に振り返った。
💛「先生」
💜「ん?」
💛「また勝ったら報告に来てもいいですか」
深澤は少し驚いたあと、穏やかに笑った。
💜「もちろん」
💜「でも負けた日でも来ていいよ」
💛「……え?」
💜「勝った日だけじゃなくて」
💜「悔しかった日も、一人で抱え込まなくていいってこと」
その言葉に、照は少しだけ目を見開く。
返事はできなかった。
ただ、小さく頭を下げて保健室を後にした。
廊下を歩きながら、照はその一言を何度も思い返していた。
“負けた日でも来ていい”
保健室は怪我を治す場所だと思っていた。
でも、深澤にとっては違うのかもしれない。
その考えが、照の中で少しずつ形になり始めていた。
#めめこじ
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コメント
6件
真夜中に初コメ失礼します💦 ひーくんがまだ自分の気持ちに気づいてないのが逆にドキドキしち やます笑いつ気づくんだろうってあと、ふっかさんの言葉一言一言が心に刺さります こんな言葉を考えれるの凄すぎま す✨ こんな深澤先生みたいな人が保健室の先生だったら、たくさんの人救われそうだし、私毎日行ってま すよ笑 保健室は怪我を治す場所だけだと思ってる人の方が多そう、、、 何か心の病のときに来てもいい 保健の先生と少なそう、、、 続き楽しみにしています♪ これからも楽しくお話見させてもらいます 応援しています📣 長文失礼しました
この作品、全国の子供に見せた方がいい!本当に! 保健室は怪我をした子だけが入る場所じゃないよって、この作品でめっちゃ分かる!!!
うわあ、第6話、すごく良かった……🥀💛 照くん、勝った報告を真っ先に深澤先生にしに行くの、もうね、それだけで心がぎゅっとなるよ。しかも「負けた日でも来ていいよ」って、深澤先生のその言葉、優しすぎるでしょ……。保健室っていう場所の意味が、少しずつ変わっていく感じがして、じんわり来た。 照くんの「また報告に来てもいいですか」って、すごく勇気のいる一言だったと思う。それを受け止めてくれる先生がいて、本当に良かったね。 次の話も楽しみにしてるよ🌙