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奏茉side
俺は昼休みに総一郎達と遊んでいたんだけど、その時職員室前を通ったんだ。
先生が知らない外国人の大人と喋っていて、誰かのお父さんかお母さんかなって最初は思ったんだけど、今クラスにハーフの人が1人もいないからおかしいって思って。
総一郎と、誰だろうって話してたら教頭先生が倉庫の方から机と椅子をセットで運んでたんだ。「なんで机と椅子は混んでるんですか」って聞いたら、必要になるからだって。
奏茉の身振り手振りをつかった話が終わり、再び空茉と顔を合わせる。
確かに、これは奏茉からの情報だ。それに、意外と信ぴょう性のある情報が多い。
「本当に転校生が来るのかな」
先ほどとは打って変わって楽しみそうな空茉。それを見て私は呆れる。
「どうせ他学年でしょ」
「なんでそう思うの?」
奏茉が首を傾げる。そう疑問に思うのは、外国人の対応を私たちの担任がしていたからだろう。
もちろん奏茉がそうやって疑問に思うのは無理もない。おそらく空茉も私が気づいている穴には気づけていない。
もしも、その転校生が英語が話せない担任のクラスだったとしたら。たまたま近くにいた私たちの担任は英語が話せて、通訳として話していただけかもしれない。
「なるほどね…そう言う可能性もあるのか」
「なーんだ」
「あくまで可能性の話だよ。それに、この時期に転校生なんてまずおかしいからね」
そう、思っていたのに。
翌日
「みんな、今日は少し早いけどHRを始めます」
担任の笑顔が妙に不気味で、クラスのみんなが困惑する。ただ4人を抜いては。
「このクラスに、新しいお友達が増えますよ。入ってきて〜」
先生がドアの方を見たのと同時に、引き寄せられるようにみんながドアの方に視線を送った。
次の瞬間、ドアが開く。そして入ってきたのは、くるくるの髪をなびかせる女の子だった。
「自己紹介を、お願いします」
「ワタシの名前はキャシラル・ラドスミス!よろしくネ!」
少しカタコトな日本語を話す、笑顔が素敵なその子は、純外人だった。
休み時間、転校生の周りにたくさんの野次馬が集まっている…わけでもなかった。
みんな外国人だからと少し遠慮をしている。隣の席の男の子はそれを気にしてなのか、硬い表情をしながら転校生と話している。少し考えたのち、これは転機では?と思った。
女友達がいない今、女子転校生と仲良くするチャンスなのでは?
そうとなったら、私はあの子に話しかけるまでだ。
「あ、あの…」
「アイラー。チャイム席守ってー」
神は、私のことを嫌っているのかもしれない。