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「はぁっ!はぁっ!」
逃げなきゃ、逃げなきゃ
あんな目に合うのは、もう嫌だ…
…俺、凸もりは窓の外を見る。
外は猛吹雪で、歩く人は数えるほどしかいない。
「…ただいま!めっちゃ寒かったー!」
扉を勢いよく開けて入ってきたのはべるさん。
食料調達をしに行ってくれたはずなのに、持っている袋の中身は少ししか食料が入っていない。
「べるちゃん少なくない?」
「だってさー、大きい拠点行っても全然くれなかったんだもん!」
「まあ今までも寒さ厳しかったですけど、今年は特に厳しいらしいですからね…植物もまともに育ちませんし」
しぇいどさんがコーヒーを持ってきながらそう言った。
「うたちゃんまだ降りてこないね?」
「うたいさんは朝から調べものしてますよ。」
…うたちゃんまたあのこと調べてるのかな。
そんなことしても意味ないのに
「…俺後で外見回りしてくるね。」
「気を付けてね?凸さん。”あいつら”ここら辺出たらしいし。」
「わかってる」
俺はそう返事してコーヒーを飲む。
…寒いなあ
「………さっむ…」
厚木をしても凄く寒い。今年はほんとに厳しい。
あっちの方見るか…
俺はいつもより少し遠い所に行く。
…あいつらいないな、ん?
向こうの方に誰かが倒れてる。
「…っ!」
俺は急いで駆け寄る。
狼の耳と尻尾が生えてて、この猛吹雪の中薄着でいる。
…息は荒いけどある。急げば間に合う!
俺は少女を抱きかかえて、急いで拠点に戻った。
「凸さん、おかえ…その子誰?」
「べるちゃん毛布持ってきて!」
「え、うん!」
「どうしたの?」
「うたちゃん!」
階段から降りてきたうたちゃんは、俺が抱きかかえてる少女を見る。
「…そういうことね?僕カイロ持ってこようか?」
「ありがとうたちゃん!」
「なんの騒ぎですか?」
「しぇいどさん!」
しぇいどさんは少女の額に手を当てる。
「…!酷い熱…濡れたタオル持ってきます!」
しぇいどさんが慌てて洗面所に向かう。
「………」
俺は少女をソファに寝かす。
………寒い、ここどこ?
私はゆっくり目を開ける。
「………ぁ」
「…皆!この子起きたよ!」
蝙蝠の耳みたいなのが生えた少女が、声を上げる。
「まじで!?」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫?」
三人が駆け寄ってくる。
「…え、えっと…」
「あ、まだ動かないほうがいいよ。」
右目に包帯を巻いた人がそう言った。
「凄い熱あったから…安静にしてて」
「…あ、はい…」
…寒いなあ、眠たくなってきた
私は目を閉じて、夢の世界に入る。
…怖い、怖いよ…
寒さで体が震える。
いつになったらここから出られるの?
檻に触れる、空腹と寒さで体力が無い今、この檻を壊すことはできない。
寒さで気絶しかける。
……………寒い
「……………」
夢を見た、気がする…
でも思い出せない。
ゆっくり起き上がる。
「…あ、起きた。」
包帯の人が私の額に手を当ててくる。
「…うん、熱下がってるっぽい。」
包帯の人がほっとしたようにそう言った。
「食欲ある?ご飯出来てるよ。」
そういえばお腹空いてた…
私はソファから降りる。
テーブルでご飯を食べてると、階段から羊の角が生えた背の低い人が降りてきた。
「…あ、起きたんだその人。」
その人はテーブルの中央に置いてあるパンの入った籠からパンを一つ取って食べながら階段の登り始めた。
「うたちゃん!」
「僕部屋で調べものしてくるから」
包帯の人が羊の人を呼び止めると、羊の人は素っ気なく返して階段を登っていった。
「…なんでまだそんなことを…」
包帯の人は不機嫌そうにそう言った。
キッチンの方で皿洗いをしてた人が心配そうに階段の方見る。
「…あ、そういえば自己紹介してない。」
包帯の人ははっとしたように言った。
「俺の名前は凸もり。」
「しぇいどです。」
「で、さっきの人がうたい、あと一人いるんだけど…」
「ただいま!」
扉を勢いよく開かれた。
「…その人がべるちゃん。」
「あ、その子元気になったんだ。」
「そ、でどうだった?」
「それがね、ちょっと遠めの方の拠点に行ったら、運良く分けてくれたの!」
「よかったー、しばらく持つかな。」
「…そういえば名前何?」
べるさんに聞かれる。
名前…名前?
なんだっけ…私の、名前は…
「……………マルベロス?」
「…疑問系?」
「多分、そうだと思うんだけど…」
「………でもマルベロスさんだと長くない?」
「確かに、なんて呼べば…」
「…じゃあ」
「気付いたらここに来て、あっと驚いたから…」
「”おどろく”とか…?」
私がそう言うと、周りが静かになる。
「………いいじゃん!」
「ね!いいよね!」
「いい呼び方ですね!」
良かった…ネーミングセンスあるみたいで
「…そういえば、おどろくさんはなんであの猛吹雪の中倒れてたの?」
「………分からない、今までどこに居たのかも、何をしていたかも…」
「記憶喪失かあ…」
「とりあえず、おどろくさんはしばらくここに住んだらどうですか?」
「部屋空いてるから、掃除したら使えるよね。」
「…えっとじゃあ」
「これからよろしく!」