テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
映画見たい
14
※戦争・ドリームコア表現あり
どこまでも、灰色。
灰色の、崩れたビルと、だれもいない街。
みんな、しんじゃった。
生き残ったのは、俺ひとり。
「……あー、まじで静か。つまらんね」
ぽつりと呟いた声が、無人の街に虚しく響く。
いつも賑やかだったはずの場所には、もう、誰もいない。
みんな、バラバラになって消えてしまった。
……愛知のやつも、どこかでくたばったんかな。
あいつ、いつも俺が話しかけるとツンツンして、
「ウザい」
とか
「ばか」
とか言ってきたくせに。
いなくなると、さすがにちょっとだけ、調子が狂う。
空を見上げると、おっきくて不自然な、パステルグリーンの
『⚠️警告:システムは隔離されました』
という文字が、プカプカ浮いている。
俺はしなない。しねない。
この誰もいない世界で、ずっとひとりで生き残ってしまった。
ちいさな画面を、ぽちぽち、叩く。
誰にも繋がらないスマホ。
ぴこん。
あ、おとがした。電波なんて、とっくに切れているはずなのに。
画面がひかる。
通知欄には何も表示されていない。
なのに、チャット画面を開くと、
そこには
『お前、絶対生き残れよ』
あいつのアカウントから、ポツンと、1行だけ。
送信時間は
[エラー:存在しない時間です]
になっている。
「……はは、あいつ、何これ」
指先で画面をなでる。つめたいガラス。
だけど、あいつの文字、なまらあったかい。……あ、違う。「なまら」は、北海道の言葉だっけ。
あいつは、もうしんでるのにね。
誰かにナイフで、ぐさぐさ、刺されて、冷たくなっちゃったの、
俺、知ってるのにね。
「まじで、ばか。……俺をひとりにすんなよ」
画面を強く握りしめると、液晶がバグのように緑色に明滅して、俺の顔を不気味に照らした。
[通知:隔離システム内での生存を確認。次の接続まで、永遠にお待ちください。]
コメント
3件
うわあ……。冒頭の「灰色の、崩れたビルと、だれもいない街」っていう地の文だけで、もうじわっときました。それまでのにぎやかだった日常が全部すっぽり抜け落ちてしまった感じがすごく伝わってきて。スマホの通知が「存在しない時間」で届くラストも切なくて、だからこそ「生き残れよ」の一言が胸に刺さりました。読んでいて苦しいけど、最後まで目が離せなかったです。