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ソフィアとキースとジャックは、馬車へ乗せられて、ノーマン邸の牢屋へと放り込まれていた。
「ソフィアちゃん、危ない目に合わせてごめん。もう少しの辛抱っす、俺がなんとかするから。ジャックさんも、大丈夫ですか?」
「キースさんのせいじゃありません。ごめんなさい、こちらこそ泊まっていただいたばかりに……」
「僕とソフィアが、狙いのようだったね……」
「もう少しっす……」
キースは、手を縛られた状態で、正座をしていた。
何やらモゾモゾと動いて、後ろ手で足元を触っている。
「上手くいった」
キースを縛っていた縄が、パサリと床に落ちる。
「キースさん、ど、どうやったのですか?」
「ソフィアちゃん、ちょっと失礼するっす。危ないから動かないでほしい」
キースは、小型のナイフを手に持つと、ソフィアの縄を器用に切り解いた。
次にジャックの縄も解く。
「色々と想定して、足元に小さなナイフを隠してるんだよね。二人とも、俺の真似をして。 こうして縄を身体に回して、後ろの手で持って縛られている状態にみえるように」
「なるほど、カムフラージュですね」
「カムフラージュ?」
「そうっす、牢の鍵は開けられそうにないから、誰かが来た時が逃げるチャンスっす。相手は俺達が縛られてるから少なからず油断してる。その隙を狙って一気に脱出を狙う」
「あの、もしも、私が足手纏いになるようでしたら、どうか二人だけでも逃げてください」
「ありえないっす!」
「何を言ってるんだソフィア」
二人に猛反対されて、ソフィアはしゅんとする。
「ご、ごめんなさい、足が震えて上手く動けるか心配で。迷惑をかけそうで……」
「どういう状況になるか分からないから、二人とも俺の指示に従ってほしい。いいですね? 俺はこう見えても、それなりに強いので心配なく。 グレッグ先輩にも頼りにされてる(はず)っす」
「グレッグ様……」
グレッグの名前を聞いて、ソフィアは泣きそうになる。
「ソフィアちゃん、大丈夫だから、必ず先輩の元へ連れて行くから。というか、先輩がこの状況を知ったら、すっ飛んで来るはずなんですけどね」
「ふふ、そうかもしれませんね。 グレッグ様が知ったらきっと、助けに来てくれそうですね」
「心配いらないっす、先輩に知られる前にみんなでここから脱出しましょう!」
(ジャックさんには少し怪我をさせてしまって申し訳ないけど、早急に脱出しなけばやばい……。 できれば、先輩に知られたくないのだけど…無理っすよね……)
キースはこの状況よりも、グレッグに知られた後の方に命の危険を感じていた。
「ソフィアは、グレッグさんのことを、本当に好いているんだね」
「えっと…好……もう、恥ずかしいわジャック。 グレッグ様は、私にはもったいないくらいとても素敵な方なの。 本当にお世話になってばかりで……。 今度、ぜひジャックにも紹介させて」
目を輝かせて話すソフィアと対照的に、ジャックの瞳にはほんのりと暗い影がよぎった。