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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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僕が休出から帰ると、家の前に大勢の人がいた。見覚えのある顔もある、朝霧緑さん、こないだ紹介されてた七瀬さん、金谷あかりさん、峰紅さん、そして金谷千歳さん。
七瀬さんが一歩踏み出して言った。
「高千穂先生。あなたの家を和束ハルがセーフハウスにしている可能性があります。家の中を見せていただきたいのですが」
僕は驚いて、反射的におどけるように笑ってかわそうとした。
「ハルちゃんが!? そんな、ハルちゃんならもっと安全な場所選ぶでしょうよ」
七瀬さんは真剣な表情を崩さずに言った。
「現在、和束ハルは自分に縁のあるあらゆるところに自分の反応を残しています。反応がない、たった一つがあなたの家なんです。こここそが和束ハルが隠したい場所である可能性が高い。……家の中を見せていただけませんか?」
「…………」
……これは、もう、言い訳できないな……。
「……ハルちゃんはもういませんよ。朝霧家次期当主が襲われた辺りから、うちに帰ってきてません」
七瀬さんの後ろの人々がざわめいた。七瀬さんだけが戸惑わなかった。
「いたんですね、和束ハルが?」
「……いました。ハルちゃんは僕が気づいてると気づいてなかったと思いますが」
「詳しくは家の中で伺いましょう。我々を入れていただけますか」
僕は大人しく鍵を開け、その場の面々を家の中に入れた。そして、これまでのことを全部話した。
「そっちの閉めてある部屋……そこにいろいろ使えるものを入れて、わざと放っておいたんです。ハルちゃんが使えるように」
七瀬さんが部屋のドアノブに手を伸ばした。
「開けますよ」
開けてみたら、そこは完璧に書斎になっていた。目につくのは墨汁で何か書いてある和紙の山、練習の跡なのか、書き損じなのか。
部屋を検めるために何人も人が入る中、朝霧緑さんは家全体を見回していた。
「たぶんこの家……相当な守護がかけてありますね、何があってもこの家の中は安全……」
そりゃそうだろう、ハルちゃんここにいたんだから。
「そりゃ、ハルちゃんの隠れ家ですし……」
同じく家を見回していた千歳さんが言った。
『家全体かけてある、鍵は先生だ』
「え?」
緑さんが、僕をまっすぐ見た。
「あなたがいるときに限って、あなたの家をすべて守ってるんですよ、あなたが中心なんです」
「え……」
七瀬さんが、僕に聞いてきた。
「高千穂先生。和束ハルにとって、あなたは特別な存在なんじゃないんですか?」
そうなの……? そんな、そんなこと……僕はハルちゃんに何もしてあげられなかったのに?
「わからない、今さらそんな事言われたってわかりませんよ……」
僕はうめいた。
僕にとってハルちゃんは特別だったよ、ハルちゃんも僕を特別だと思ってたの?
でも、もう手遅れだよ……。
「ハルちゃんが世界を壊したいなら全部壊れてしまえばいい、僕ごと壊してくれればいい、僕は何もハルちゃんに何もしてあげられなかった……」
顔を覆ってうめくと、七瀬さんが僕の肩に触れた。
「和束ハルへの気持ちを、和束ハルの前で言ってくれませんか?」
「言ってどうなるんです……」
「対抗策はいくらあってもいいので」
……僕なんかのために、ハルちゃんが諦めちゃいけない。ハルちゃんに何もしてあげられなかった僕が、ハルちゃんの邪魔になっちゃいけない……。
僕は、キーホルダー代わりの十徳ナイフを、ポケットの上から触った。
コメント
1件
うわ、『鍵は先生』のくだりで全部持ってかれた。自分は何もしてあげられなかったと思ってた先生が、ハルにとっては中心で、守る理由そのものだったんだな……切なすぎる。『僕ごと壊してくれればいい』も重いよ。最後の十徳ナイフも気になる。この想い、ハルに届くのかな。続きめっちゃ気になるわ。