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視点🧣
殺す理由が、もう見つからなかった
世界は、いつも薄暗い。
空はずっと雲で覆われていて。
ところどころ見える空は鮮血の如く赤い。
まるで、腐りきったこの世界そのものみたいだ。
「……またか」
俺は、瓦礫の上に立っていた。
少し先では、
モンスター同士が争っている。
理由は単純だ。
「人間側についた疑いがある」
「情報を流したかもしれない」
「危険だから、先に潰す」
――全部、いつもの話。
「やってらんねぇなぁ」
ヌンチャクを肩に担ぎ、幻像を展開する。
《マインドピクセル》
《ノイズフィラメント》
視界が歪み、認識が狂う。
争っていたモンスターたちは互いを見失い、動きを止めた。
殺さない。
止めるだけ。
それが、最近のらっだぁだった。
「甘い」「ぬるい」
そう言われるのも慣れた。
昔は違った。
人間が攻めてきた。
仲間が死んだ。
だから殺した。
理解できた。
理由があった。
でも今は?
「……誰と戦ってんだよ、俺たち」
人間は来ていない。
それでも疑心暗鬼で、
“敵になるかもしれない存在”を排除する。
その連鎖に、
心がついていかなかった。
「人間から見たら、俺たちは化け物だ」
それは事実だ。
力があって、
姿が違って、
理解されない。
「でもさ」
ヌンチャクを握る手に、力が入る。
「モンスターから見たら、人間は――殺しに来る存在だろ」
先に刃を向けてくる。
だから、迎え撃つ。
それだけの話だったはずなのに。
「……しんど」
ぽつりと漏れた言葉は、
誰にも届かない。
この世界には、
“間に立つ場所”がない。
人間か。
モンスターか。
どちらかを選ばなきゃ、生きられない。
「じゃあさ」
「作ればいいじゃん」
誰にも属さない場所。
殺さなくてもいい理由を持てる場所。
「人間でもない。
モンスターだけでもない」
幻像が、彼の背後に広がる。
それは敵を惑わすためのものじゃない。
未来を描くためのノイズだった。
「生きるのがつらいなら」
らっだぁは、静かに笑った。
「生き方、変えよ」
その日、決めた。
戦うためじゃない派閥を。
殺すためじゃない力の使い道を。
――世界から見れば、
相変わらず“厄介なモンスター”。
でも。
「俺は俺のやり方で、生きる」
それが、
俺の決意の、始まりだ。
__________________
名前 らっだぁ
年齢 142歳
亜鬼族 (鬼人)
ポジション デバッファー
武器 ヌンチャク
魔法 無
中級、初級技の例
初級 リスキャンフレア
初級 マインドピクセル
中級 スペクタルマップ
中級 ノイズフィラメント
身長 174cm