テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
すき焼きも特に戦いは起こらない。
皆さん仲良く分ける感じになる。
そんな感じで〆のうどんまで全部食べきった後。
「そう言えば話は変わるけれど、悠君にひとつ聞いていい?」
彩香さんがそんな事を言う。
「何を?」
「この前ちょっと聞いたんだけれど、悠君って高校は別の学校が志望なの?」
ちょっと考えて気づく。
あの先輩と話した会話、亜里砂さんや未亜さんは全部聞いていたけれど、彩香さんは聞いていなかったんだな。
そういえばあの場にいなかったような気がする。
「ここの中等部の成績優秀者は、大体外の高校を受験するみたいだからさ。野遊び部の去年の3年生も皆さん外の高校へ進学したらしいし」
「それでひとつ、無理じゃないならお願いがあるんだけれど……」
いきなり亜里砂さんが笑い出した。
そして未亜さんも。
何だこの状況は。
「いや、構わず続けていいのだ」
「プリン代の代わりに有り難く拝見するのですよ」
何だその台詞は。
どういう意味だ。
「うん、やっぱり後で聞くね」
「いや、今聞いた方がいいのだ。言葉には色々行き違いがあるのだ」
「確かにそうなのです」
何だ、未亜さんまで何かにやにやしているぞ。
「何か未亜も亜里砂も変ですね」
美洋さんまでそう言っている状況だ。
「いや、亜里砂の言う通り、言葉には行き違いがあるのですよ。だから核心を隠さず、きっちり聞いた方がいいのです」
未亜さんの台詞、どういう意味だろう。
「わかった」
でも彩香さんは頷いて、そしてまた僕の方を向く。
「もし出来ればでいいんだけどね。もし他の高校を志望するとしたら、出来れば私も行ける高校でお願いしたいな、と思って」
それはどういう意味だ。
一緒の高校に行きたいという事としてとらえていいのか。
それじゃ彩香さんは。
色々考えて、そして気づく。
「亜里砂さん、未亜さん。全部わかっていて黙っていただろ」
「世の中には、馬に蹴られても楽しみたい事があるのですよ」
未亜さんはそう言って、今度は彩香さんの方を見る。
「あんまりからかっても申し訳無いので、種明かしをするのです。あの日、悠が川俣先輩に進路のことで聞いたのは、彩香が受けている進学・経済支援で行くことが出来る高校に、自分も行けるかどうか確認したのです。その理由はわかると思うのですが」
「えっ、それじゃ……」
「高校に行っても彩香と離れたくないから聞いたのだ。茶化したら裏拳でチョップを食らったのだ」
そう言えば反射的に手が動いた気がする。
意識していなかったけれど。