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(なんで蛍くんあんなことを…?)
私は部活中もさっきのことを思い出しては耳が熱くなっていた。
(集中できなぇーい!!)
…ふう。これで今週は終わり!なんかいつもより疲れたから家では存分にのんびりしよう。
『お疲れ様です。』
「おー、おつかれ!今日は送ってあげれないけど、また来週な!」
『はい!』
私は菅原さんに挨拶をして体育館を出た。
(うわ、もうこんな暗い。まだ冬だなー。)
外はもう真っ暗になっていて、野球場のライトだけが眩しく光っていた。
(あれ、日向かな。)
ライトの下に日向の姿が照らされているのを見つけた私は、そっちに走っていった。
もう数歩というところで、蛍くんと多分山口さん?が日向と影山さんに話しかける。
(え、なんでいるんだろ。)
何を話しているか気になった私は、木の影に隠れて4人を観察することにした。
(なんか言い合ってる?言い合ってますよね)
どんどん雰囲気が悪くなっていることに焦っていると、驚きのことが起きる。
(?! 胸ぐら掴んでる?!?!)
(どどどどうしよう。止める?!一人で?!)
影山さんが蛍くんの胸ぐら掴んだのだ。私は色々な感情でパニックになり、体が固まって涙目になる。
(こうなったらいっそ…!!)
(ってあれ?落ち着いた?)
影山さんが蛍くんから手を離していた。
(よ、良かったーーー!!!)
ほっとしているといつの間にか影山さんと日向が居なくなっていた。
(あれ)
すると同時に、蛍くんがこちら側に鋭い目を向ける。
(え?!バレてる?!)
(う、絶対覗き見なんて絶対引かれる…!)
「山口、先行ってて。」
「分かったツッキー!」
…行ってしまった。もう私は混乱しすぎてまた涙が出てきてしまう。
もちろんそんなことも知らない蛍くんが無言でこちらに来て私に話しかけてくる。
「は、なんで泣いてんの」
『いや、な、泣いてないですけど。』
「え、泣いてるデショ」
『ごめん…覗き見して…』
「はぁ…、なんで泣いてんのかはわかんないけど、なんも無いから平気。」
『良かった。もう暗いから帰るね。また来週』
私が帰ろうと背を向けると、蛍くんが口を開く。
「あーー、君、インスタやってんだよね?」
『え?うん。やってるけど…』
「はい。これ僕の。」
『あ、え、うん。交換したい。』
(なんだなんだ)
「じゃ、また来週。」
そう言って歩いていく蛍くんの背中を、私は涙を拭きながら見ていた。
<続く>
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