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ディープ・キス
深いキスということか。
普通のキスは知っているが、
何をどうしたら
それが深くなるのやら。
「ソラさん、」
「はぁい?」
「舌は、どうか
噛みちぎらないでくださいね。」
キスは本来、口先でするものだ。
…ということは、
僕が舌を出さなければ
噛みちぎられないのか?
「それは、どうかな。
でも痛くしたいから
血がにじむ程度には噛むよ。」
なんてことだ。
この人 、 僕の舌を噛むことを断言した。
それに先程まで僕は、
舌を出さなければ噛みちぎられない。
とか思っていたが、
今は口をこじ開けられているため
どうにも出来ないことに気がついてしまった。
「そ、ソラさん!」
とりあえず、時間を稼がねばならない。
「ん?どうしたの。」
そらさんの美しい手が
僕の顎に添えられる。
「ディープ・キスって、何ですか!」
焦って声が裏返る。
ふふ、と笑って
ソラさんが 服のポケットから
謎の注射器を取り出した。
「 息ができなくなっちゃうくらい、
深ぁいキスのこと。
まぁ、まずは 体で覚えてね。」
息が、できなくなる…?
あの注射器も、何か関係がありそうな予感。
ディープ・キスは案外大掛かりなんだな。
そう感心していたのも束の間だった。
「君が途中で暴れて逃げ出さないように、
頭がおかしくなるお薬刺すからね。
我慢して。」
ちくっ
…あ、
「僕の下で足バタバタさせようとしてたの、
なんとなく分かってたから。
ねぇ、お前。
逃げんじゃねぇよ。」
「ソラさ、待っ…」
頭が、ガンガンしてきた。
どうしよ… 痛い。痛い。痛い。痛
「ん…」
ソラさんの柔らかな唇が僕に触れる。
「黙って。」
もう、逃げられない
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