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夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
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うわー、一気にたくさんキャラが出てきて賑やか!生徒会&風紀委員の面々、一人ひとりの個性がもうバラバラで面白いですね。特に深澤先輩の「空き教室で寝ててブレザー枕にしてた」シーン、思わず笑っちゃいました。岩本くんがまさか深澤を知らなくて「有名人だよ?」って驚かれる流れ、ギャップが効いてる。この後どう絡んでいくのかすごく気になります!
ここは、素能高等学校。
都市の中でもそこそこに大きくて有名な高校。
そして、この高校にはとんでもないイケメンが生徒会、風紀委員を務めているようで…
その中でも、生徒会長と風紀委員長はとても有名だった。
ザワザワ………
今日行われるのは、新生徒会と新風紀委員会の任命式。
体育館は全校生徒で埋まり、少しざわついていた。
それもそのはず。
今年は例年とは違う特別な注目を集めていたからだ。
少し前から学校の噂になっていた。
“今年のメンバーは、とんでもないイケメンが揃っている。”
「えー、これより、今年度生徒会、風紀委員、任命式を行います。」
司会の声に先ほどのざわめきは消え、生徒たちは静かにステージに注目する。
ステージ上に並んだメンバー。
輝かしい光景に、男女問わず息を呑んだ。
生徒会、風紀委員、それぞれ5名ずつで構成されている。
そのうちの“5人”が、もはや恐ろしいまでに輝いていたのだ。
そのうちの1人、生徒会長がマイクを手に取る。
そして、
「みなさーん、こんにちは!新生徒会長に就任しました、2年B組、阿部亮平です!皆さんがより良い、充実した学校生活を送れるように頑張ります!」
阿部亮平は、誰もが惚れてしまうような笑顔で礼をする。
阿部の挨拶だけで息が止まるというのに、その勢いは止まらない。
「えー…1年B組、目黒蓮です。精一杯頑張ります。」
一度副会長を挟み、その後に出てきた目黒蓮。
校内では、すでに「顔面国宝」と呼ばれている新入生だ。
本人は乗り気ではなかったが、周りに押されて生徒会に入った。
そして、目黒の後に出てきたのは…
「みなさん、こんにちは!1年B組、ラウールです!僕が、みなさんを幸せにしてみせます!」
驚異的なスタイルで有名になった新入生だ。
そして、最初に目黒を巻き込んだのもラウールである。
そして最後の1人の紹介が終わると、生徒会メンバーは一礼して後ろへ下がった。
次に出てきたのは、風紀委員。
風紀委員長が前に出る。
軽く息を吐き、マイクを手にもつ。
「みなさん、こんにちは。新風紀委員長に就任しました。2年B組、岩本照です。規則を守った、楽しい学校生活を送れるように、全力でサポートしたいと思います。」
新風紀委員、岩本照。
岩本の持つカリスマ性が、周りの人間に大きな影響力を与え、風紀委員長に就任した。
岩本の後に、副委員長、役員2名が紹介され、最後に残ったのは…
「ご機嫌よう。この度、風紀委員役員となりました。3年C組、宮舘涼太です。これから、よろしくお願いします。」
噂になっているイケメン5人のうちの唯一の3年生、宮舘涼太だ。
彼の持つ独特な世界観に、誰もが夢中になってしまう。
風紀委員たちも揃って礼をすると、静かにステージを後にした。
任命式が終わり、イケメンすぎる、神々しい、顔面偏差値異次元…などのざわつきの中、楽しそうに話す2人組。
「いやぁ、さっすが阿部ちゃん。完璧だったよな!」
身長は小さいが、目立つピンクの髪色の生徒。
3年A組、佐久間大介。
頭に手を回して、ニコニコ笑う。
「にしても、どいつもこいつもイケメンイケメンうるせーな…」
その隣で、不機嫌そうな声を漏らしながら歩く生徒。
3年A組、渡辺翔太。
両手をポケットに突っ込みながら歩いている。
「ま、確かにイケメンじゃん?阿部ちゃんは当たり前だけどね!」
「お前、そいつにだけ甘すぎだろ…」
「にゃはは!まあね〜」
2人は話しながら、人混みの中へ消えていった。
「……かっこ、いい……」
生徒が教室へ移動している中、1人の生徒は椅子に座って、ステージを眺めたまま動いていなかった。
ただ呆然と、目を輝かせながら誰もいないステージを見つめる。
「……ええなぁ…俺も、あんなふうになれるんかな…?」
「康二!何やってんだよ?早く教室戻ろーぜ。」
「あ、そうやね!行こか!」
康二と呼ばれた生徒は慌てて席を立ち上がる。
1年A組、向井康二。
先ほど声をかけてくれたクラスメイトの後ろをトテトテ走りながら、まだ余韻を胸に残していた。
ステージで見た、輝きを胸に抱きしめながら。
ざわつきが消えない体育館、その体育館の”ギャラリー”。
普通の生徒は絶対に入れない場所。
そこに、静かに佇む生徒。
「……新生徒会と新風紀委員か…」
ギャラリーの柵に頬づえをつきながら、どんどん消えていく生徒たちを見下ろす。
「ま、俺には関係ないしね〜」
しばらく様子を見ていたが、興味をなくしたかのように手をふらふらさせる。
耳にワイヤレスイヤホンをつけて、生徒が完全にいなくなったのを確認して下に降りる。
3年B組、深澤辰哉。
この学校の有名人だ。
有名なのだが、深澤はほとんど授業を受けにこない。
基本的には立ち入り禁止の屋上でサボるか、空き教室でゲームをしているかの二択だ。
そのため、たまに顔を出した時にレアキャラ扱いされる。
「ふっふ〜ん、ふふふ〜ん♪」
鼻歌交じりで向かう先は、生徒のいる教室ではなく、誰もいない空き教室だ。
「へぇ〜!生徒会室と風紀委員室って繋がってるんだー!」
「すげー」
任命式が終わった後、役割説明ということで生徒会と風紀委員は集められていた。
教室に入り、ラウールが驚いた声を上げる。
隣で目黒も興味ありげに周りを見ている。
目黒、ラウール。
ここの2人は、同じクラスで1番に友達になったのだ。
お互い、周りからの注目を浴びていたのもあり、仲良くなるまで時間がかからなかった。
「照!改めて、風紀委員長就任おめでと!」
「阿部の方こそ。生徒会長だなんてすごいじゃん。」
席に座り、役割説明を前年度の生徒会役員、風紀委員に聞いた後、仲を深めるための雑談の時間が設けられた。
その間、阿部と岩本はソファの上で隣に座り、ゆっくり話していた。
2人は、昨年も同じクラスで、気の置けない仲だった。
「まさか、俺ら2人で会長と委員長に就任できるなんて思ってなかったね。」
「ほんとね。俺だって、昨年はやる気なかったもん。」
「だから言ったじゃん。照なら絶対できるよって。」
「阿部のおかげだよ。ありがと。」
ゆっくり雑談を楽しむ中で、ふわりと部屋に甘い匂いが香る。
何かと思い、匂いの元を振り返ると、
「せっかくだから、紅茶はいかが?」
宮舘が笑顔で紅茶を用意していた。
「宮舘先輩は、昨年も風紀委員だったんですよね?」
紅茶をもらいながら、阿部が問いかける。
「うん、俺は引き継ぎだよ。」
宮舘は笑顔で頷く。
宮舘は、唯一の3年生であるだけでなく、唯一の引き継ぎでもあった。
「確か、もう1人いましたよね?結構有名だった…」
岩本も記憶を巡らせる。
「あぁ…」
宮舘は苦笑する。
「あいつには、この仕事は重荷だったみたいでね。…やめちゃったんだよね。」
宮舘は、少し寂しそうに笑った。
その後、軽い雑談を終え、解散となった。
目黒とラウールは真っ先に2人で部屋を飛び出した。
どうやら、この後2人で遊びに行く予定があるらしい。
宮舘も待ち合わせがあると言って早々に退出。
他のメンバーも退出していき、最後に阿部と岩本が残る。
2人がゆっくり雑談をしながら廊下を歩いていると……
「あ、べ、ちゃーん!!!」
後ろから、声が響いた。
「うわっ!佐久間!?…あ、先輩。」
その声の持ち主は、後ろでニコニコ笑う佐久間だった。
「あっはは!今、先輩抜けた〜!」
楽しそうに阿部と岩本に近づいてくる。
「よっ!照も久しぶりじゃーん!」
バシバシと岩本の背中を叩く。
「そんな久しぶりでもなくない…?」
岩本はやれやれと言った顔で佐久間の手をどかす。
「2人とも暇だったらさ、一緒に帰ろうよ!翔太は待ち合わせあるみたいだからさ!」
佐久間はカバンをブンブン回しながら、阿部に抱きつく。
阿部と岩本は、顔を見合わせる。
「うん、いいよ。佐久間先輩、1人じゃ寂しいもんね?」
「その代わり、先輩なんか奢ってくださいよ。」
「うあっはー!2人とも今日冷たくなーい?」
3人は、楽しそうに笑いながら校門を出た。
「……あ…」
とあるハンバーガーショップで、岩本は声を上げた。
ポテトをつまんでいた阿部と、バンズにかぶりついていた佐久間が同時に岩本に注目する。
「どうかしたの?」
「校舎に忘れ物。ごめん、俺とってくるね。」
どうやら忘れ物をしたようで、岩本は席を立つ。
「おう!外暗いから気つけてね!」
「いってらっしゃーい!」
佐久間と阿部に見送られながら、岩本は足早に学校へ引き返した。
時間も遅いため、校舎には誰もいなかった。
暗いのもあり、何かが出てきそうな雰囲気がある。
岩本は歩く足を速めながら急いで教室へ向かう。
ようやく教室に辿り着き、岩本は少しホッとする。
そして、扉を開けると…
「……え?」
岩本の机に、何かがいた。
暗くてよく見えないが、何かが人間であることは認識できた。
岩本は、警戒しながらゆっくり近づく。
「……スー…スー……」
その人間は、どうやら寝ているようで、岩本が近づいても動かなかった。
そして、よく見てみると、その人間はこの学校の制服を着ている。
さらに、岩本が忘れたブレザーを枕がわりに使っていたのだ。
岩本は迷う。
まずは、起こすか起こさないか。
おそらく、起こさないとブレザーは持ち帰れないだろう。
それは困る。
翌朝の挨拶運動で使うのだ。
岩本は、ゆーっくりブレザーを引き抜く。
だが、
「………んぅ…?なんだよぉ…?」
寝起きで、不機嫌そうな声が謎の生徒から漏れた。
「……せっかく、俺が気持ちよく寝てたっていうのにさぁ…?」
頭をかきながら、謎の生徒は体を起こす。
「いや、ここ、俺の席なんだけど…あと、これも俺の。」
岩本は、なるべく優しく謎の生徒に接する。
あまり見ない顔だ。
新入生なのだろうか?
岩本の中にそんな疑問が浮かぶ。
謎の生徒は体を伸ばしながら、岩本の顔をじっと見る。
そして、思い出したように声を大きくする。
「あ!あんた、風紀委員長じゃん!うわぁ、まさか俺のこと捕まえにきたわけ?だるぅ」
謎の生徒は、うんざりしたような顔をする。
「だから、俺はこれ取りに来ただけなんだけど…」
だが、岩本はこの生徒を捕まえに来た訳ではない。
不思議そうにする岩本を見て、謎の生徒は目を見開く。
「…え?まさか、俺のこと知らないの!?」
「そう、だけど…?」
謎の生徒は、ありえないという表情を浮かべる。
岩本は、表情が豊かなやつだな、としか思っておらず、彼が誰なのかには興味がなかった。
岩本は、基本的の他人に興味を持たないのだ。
「俺のこと知らない人いるんだぁ…俺、深澤辰哉。この学校の有名人だよ?」
謎の生徒は、ようやく自分の名前を明かした。
「お前…なんでまた風紀委員やってんの?」
渡辺は、オムライスを頬張りながら目の前で同じくオムライスを食べる人物に問いかける。
「うーん…なんとなく、かな?」
目の前にいる人物、宮舘は笑って答える。
渡辺と宮舘は、高校生になってからルームシェアをしているのだ。
そして、宮舘は興味をなくした渡辺を見つめる。
続いて、遠慮がちに渡辺に問いかけた。
「……翔太は、もうやらないんだね。」
その言葉に、渡辺のオムライスをすくうスプーンの手が止まった。
「あったりまえだろ!俺は、もう二度とやりたくないね。」
少し口を曲げながら、思いっきりオムライスを頬張る。
「……そう、だよね。ごめん。」
宮舘は、申し訳なさそうに謝る。
渡辺は何も言わず、オムライスを頬張りながら頷いた。
「…これ、めっちゃうまい。今度、作り方教えろよ。」
そして、綺麗になった皿を宮舘に差し出す。
「うん。今度一緒に作ろうね。」
宮舘は渡辺の皿を受け取り、オムライスのおかわりを用意しに行った。
「ラウールくん……目黒蓮くん。うん!覚えたー!これで完璧や!」
向井は、自室でノートを胸に抱きしめる。
「先輩は難しいかも知らんけど、この2人とは仲良くなれるかもなぁ!」
向井が抱いているノート。
そこには、生徒会役員と風紀委員のメンバーや、その特徴がまとめられていた。
向井は嬉しそうに部屋でぴょんぴょん飛び跳ねる。
隣の部屋の住人から苦情が来そうだが……
「…あ!もうこんな時間なん!?ご飯用せな!」
向井は夕飯の用意をするために階段を駆け降りる。
向井の実家は関西だ。
そのため、向井は1人で東京に引っ越し、一人暮らしをしているのだ。
「おはようございまーす!」
「おはようございます。」
翌朝、阿部と岩本は会長、委員長として挨拶運動を行なっていた。
阿部はいつも通りの明るい笑顔で。
岩本は笑顔とは言えないが、なるべく大きな声で。
校門を通る生徒も笑顔で挨拶を返している。
朝からタイプの違うイケメン2人に挨拶をされれば、自然と笑顔にもなるだろう。
挨拶運動も一通り終わり、阿部と岩本は校門を閉めて教室に戻る準備をする。
すると、阿部がふと
「照、もしかしてシャンプー変えた?」
と岩本に問いかける。
だが、岩本は不思議そうに答える。
「いや…変えてないけど…?」
すると、阿部が岩本の元に近づきすんすんと匂いを嗅ぐ。
「ブレザー、かな?柔軟剤?」
「いや、ブレザーは洗ってないよ。」
阿部は岩本のブレザーから甘い香りがするようで……
(もしかして…)
岩本には、一つだけ心当たりがある。
岩本は、昨夜の出来事を思い出していた。
(確かに、あの深澤ってやつ…甘い匂いしてたな。)
きっと、深澤が岩本のブレザーを枕にして寝ていたからだろう。
それで匂いがついてしまったに違いない。
あの後、深澤は
『ふーん…俺のこと知らないなんて、風紀委員長としてどうなのかなぁ?わら』
と揶揄うように笑いながら、岩本にブレザーを返してくれた。
そういえば、と岩本は思う。
(あいつは、なんで校舎にいたんだ?)
「照?どうかした?」
真面目な顔で黙り込んだ岩本の顔を、阿部が心配そうに覗き込む。
「……いや…阿部はさ、深澤って知ってる?」
深澤自身は学校の有名人と言っていたが、岩本は名前を聞いたことがなかった。
そのため、本当に有名なのかを阿部に確認しようと思ったが…
「……阿部?」
阿部は少し俯いて、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ寂しそうに笑った。
だが、すぐにいつもの明るい笑顔に戻る。
「照って、ほんとに周りに興味ないよねぇ。深澤先輩のことでしょ?めちゃくちゃ有名だよ、あの人は。」
「マジで有名なの…って、先輩!?」
岩本は、深澤のことを新入生だと思っていたが、先輩だったようだ。
なら、昨夜の自分は失礼な態度をとってしまったのでは…?
今になって心配をし始める岩本。
その様子を見て、阿部は笑いながら説明を始める。
「深澤辰哉先輩。“学校1のサボり魔“だよ。」
「………はぁ?」
岩本は、驚きと呆れの声を上げた。
阿部曰く、深澤は学校には来るが、授業は受けない。
本当にたまーに授業に顔を出すと、他クラスだけでなく、他学年まで深澤の顔を見ようと集まってくる。
そのせいで、深澤が受ける授業の教師はものすごく苦労するのだ。
普段は、立ち入り禁止の屋上か空き教室にいる。
寝るか、ゲームをするか、何もせず過ごすか。
深澤は、学校一の有名人であり、サボり魔であり、自由人なのだ。
「なんのために学校に来てるんだよ…」
岩本は阿部の説明を聞いて、完全に呆れ果てる。
そんなことをするくらいなら、家で寝たりゲームをしたりするほうがいいだろう。
阿部も苦笑いを浮かべる。
「多分、学校は好きなんじゃないかな?」
「意味わかんない…」
そんな雑談をしながら、2人は教室へ戻って行った。