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「ウニャ~!! 真っ黒なのだ~!」
「暗黒系に属した装備になったが、気に入ったか?」
「ウニャッ!」
【ダークネスハット】【ダークネスコート】
【ダークネスグローブ】【ダークネススロップス】【ダークネスソルレット】
ガチャで久しぶりに装備一式を出した。
影や闇に属するダンジョンということもあったが、見事に闇系の装備一式となった。今までと違うのは、虎耳を隠すことの出来る帽子をかぶることが可能になったくらい。
装備一式が出た時点で今まで着ていた装備が勝手に切り替わったらしく、着替えの手間が省けられている。装備の性能や強さに関してはガチャをした時点では見えない状態だ。
しかし、見た目だけで判断すれば相手を畏怖させる雰囲気は感じられる。もっとも、シーニャ本人は回復が使える近接戦闘タイプ。装備一式が暗黒系だからといってそれに染まるわけではないはず。
「そろそろルティを呼ぶとしようか」
「ウニャ! シーニャが開けるのだ!」
「ああ、いいぞ」
一新された装備で気をよくしたようで、シーニャは張り切りながら小屋の扉に手をかけた。
しかし――
「――フギャニャッ!?」
シーニャが開けようとすると、彼女の手が弾かれ痺れを感じている。さすがに装備とは無関係のはずだが、シーニャを拒んでいるように思えてならない。
「大丈夫か?」
「お、おかしいのだ。何も見えないところから弾かれたのだ……ウウニャ」
「それなら、ここはおれが開けるしかないみたいだな。シーニャは少し下がって」
「分かったのだ」
シーニャを下がらせ、今度はおれが扉に近付く。小屋の中にいるルティのことも気になるので、おれは勢いよく扉を開けることに。
「開けるぞっ!! てりゃっ――って、あれっ?」
基本的にどんな抵抗も問題無いはずなので勢いに任せて扉に触れたものの、特に何の違和感もなくあっさりと扉を開けてしまった。
小屋の中にいたルティらしき人影も、意表を突かれたのか驚いてのけ反っている。
「ウニャニャ!? あっさり開いたのだ……さすがアックなのだ~!」
「……何も起きなかったっていうのも妙だな」
「何でもいいのだ。早くドワーフに説教をするのだ! ウニャ」
小屋の中に入ってすぐにルティがいた。様子を見るに特に何をしていたでも無いようで、床に座ってくつろいでいたようだ。
「あれれれ!? アック様? それに、その真っ黒な姿の子は……シーニャ? ええっ?」
ジオラスが小屋にいた時も不思議な感じがあった。ルティもまた、何かの力によって守られている気がしてならない。
「ずっと一人だったのか? ルティ」
「それはそうですよぉぉ! だって、シーニャは中に入って来てもくれなかったんですから!!」
「ウニャ……入ろうとしても入れなかったのだ」
「ええ? 鍵なんてかけてもいないし、そもそも鍵は無いのに……不思議なことがあるものですねえ」
考えられる可能性としては、恐らく――。
「ルティ。このエラトラリングを腕に着けてみろ」
「はぇ? アック様の腕輪じゃないですか~! わたしが着けていいんですか?」
「ああ」
「で、ではでは」
「…………ウニャ?」
ひとまず使う必要が無いということもあり、腕輪もルティに渡すことにした。おれから受け取ったルティは、嬉しそうに腕輪を着けている。
すると、突然ルティの目の前にぼんやりと光を放つドワーフに似た女性が姿を現わした。どうやら、ここの小屋は遺物を着けた者しか入ることが出来ない場所だったみたいだ。
「か、母様!? うんん? だ、誰ですか?」
一瞬ルティの母親であるルシナさんに見えたが、ルティと同じくハーフドワーフのようにも見える。イグニスダンジョンで出会ったドワーフの言葉通りということか。
【封じらせし遺物を持つ同族の者よ……闇の魔物たちを消し……囚われの遺物を探し……その手で……願い……ます】
ルティに対し言い放ったハーフドワーフの女性はいつの間にかいなくなっていた。女性が言い放っていた言葉は、おれとシーニャにも聞こえた。
断片的ではあるが、どうやら遺物を探して封じろというメッセージだった。すでにここのダンジョンの遺物は手にしているが、魔物を消す必要があるという意味に違いない。
「消えたのだ……何だったのだ?」
「ア、アック様、もしかしてあの人って、亡霊の……」
「そういうことみたいだな」
「ひ、ひぃぃええぇぇぇぇ!? 亡霊さんと話をしちゃいましたぁぁぁぁ!!」
見た目が女性だったこともあって不思議と怖さは感じなかった。何とも言えないが、遺跡群のダンジョンは単なる寄り道で済むようなダンジョンじゃないということになる。
そう考えると、ザームの連中は何かの強力な遺物狙いで来ているということに。
「封じなければならない遺物……か」
「どうするのだ、アック?」
「ここにはもう用は無いしミルシェたちを探して合流を目指すぞ」