話は続いておりません。別の話として見てください。
出てくる人↓
青井らだお
成瀬
ハクナツメ
ネル
MOB
※このお話はおやすみ泣き声、さよなら歌姫という曲を使いながら書いています。
気になった方はぜひ聞いてみてください。
らだお「おはようございます〜」
ナツメ「おはよ〜らだおくん」
俺はいつものように挨拶をする。
俺とナツメさんは付き合っている。
昔から好きだったナツメさんは俺を選んでくれた。
そして俺はいつもナツメさんに歌を歌う。
ナツメ「らだおくん歌って!!」
らだお「えー笑」
らだお「ーーーー♪〜ー〜♪」
ナツメ(君の歌がほんとに好きだ。)
ナツメさんは飽きずに静かに俺の歌声を聞く。
俺が小声で歌っているのをナツメさんが気づきもっと聞きたいと言われこうなっている。
らだお「はい、終わり!」
ナツメ「アンコールは?」
ナツメ(君のことだからきっとないかな笑)
らだお「ないですよ笑」
ナツメ「笑笑 」
ナツメ「やっぱりらだおくんの歌はいいね」
ナツメさんは俺が歌いを終わるといつも褒めてくれる。
それが嬉しくて俺は歌うのを拒否しない。
その日々は毎日の日課になってきていた。
ナツメ「らだおくんじゃあアルコールは?笑」
らだお「いいですけどナツメさん全然飲めないじゃないですか笑」
ナツメ「まぁまぁ今日くらい笑」
俺はこの空間が楽しかった。
1週間ぐらいたった頃だった。
ナツメさんが怪我をしていた。
どう考えても警察の仕事での怪我とかそういうものではない怪我だった。
らだお「ナツメさん、その、怪我、」
ナツメ「あぁ、、これ?大丈夫、ちょっと転んだだけだよ笑」
らだお「や、でも、」
ナツメ「それより、君の歌声が聞きたいな」
ナツメさんは俺の言葉をさえぎりいつものように歌を聞きたいと言った。
俺は歌を歌う。
らだお「ーーーー〜ーー〜♪」
ナツメさんは静かに俺の歌声を聞いていた。
どこか遠い遠い場所を見ながら。
いつもより少し空気が暗く感じた。
俺が歌ってから数日がたった。
最近ナツメさんは俺の歌を聞かなくなった。
忙しいのもあるのだろう。
俺は着替えようと本署の更衣室を開けようとした時だった。
「うっざ、」
「ナツメ先輩、キモイですよ?」
らだお(え、なにこれ、)
更衣室の中からナツメさんを悪くいう言葉が聞こえた。
「なんでらだお先輩と付き合ったんですか」
「早く別れてください」
ナツメ「やだ、僕はらだおくんとは別れない」
「置かれてる立場わかって言ってんのかよ!」
ボコッ
ナツメ「ぃ゛ッ、、ッ」
らだお「ッ?!」
ナツメさんの声が聞こえる。
乱暴な音と同時にナツメさんが痛そうな声を出す。
少しちらと隙間から見えたナツメさんを悪くいう人達はご令嬢みたいな人だった。
多分ナツメさんが先輩なのに抵抗しないのは抵抗した先に何が起こるかわからないからだろう。
それを見た俺は何も出来なかった。
実に俺は無力だった。
次の日、ナツメさんは怪我をおって出勤した。
俺と目が合ったナツメさんは笑顔でこちらに手を振った。
本当は怪我が痛むはずなのに。
無理をしていた。
前に怪我をおって歌を聞きたいと言ってきた時もたぶんナツメさんはあの人達に怪我を負わされていた。
らだお(俺に言ってくれればいいのに。)
らだお(無理しなくていいのに。)
らだお(なんで我慢するの。)
らだお「…嘘つき」
その言葉が俺の口からこぼれ落ちた。
ナツメさんは今日も歌を聞きに来なかった。
俺は1人で歌うことにした。
ナツメさんのいない空間。
俺の声が響く。
らだお「ーーー〜ー、ッ、ぅ゛ッ、…ッ、」
俺はいつの間にか泣いていた。
苦しかった。
俺のせいでナツメさんが苦しんでいること。
我慢してること。
バレないように俺の前だけ笑顔なこと。
感情が湧き出て止められなかった。
俺は泣きながら歌った。
僕は最近らだおくんの歌を聞きに行かない。
理由は脅されたから。
らだお先輩に近づいたらただじゃ置かないからと、言われた。
僕はそれを受け入れた。
らだおくんにも危害が及ぶかもしれないと思ったから。
僕は臆病者だ。
僕は本署を歩く。
らだお「ーーーッ、ーーーー、、」
ナツメ(?、歌声?、ぃや、泣き声、??)
本署の奥の部屋かららだおくんらしき声が聞こえた。
歌っているのだろうか。
でも少し泣いているような気がした。
僕はらだおくんがいる部屋を開けようとする。
ナツメ(いや、無理だ…)
僕はらだおくんに会いに行くのをやめた。
いつどこであの人が見てるか分からないから。
ここで引く僕はやっぱり臆病者だった。
俺は歌を歌い終わった。
ナツメさんに歌っていた歌。
隣にはナツメさんはいない。
らだお「ヒックッ、ッ、…ッ」
歌い終わっても俺の涙は止まらなかった。
ポロポロと落ちる涙は大きかった。
ガチャ
成瀬「ら、だお?」
らだお「ッ!!、成瀬ッ」
急に成瀬がやってきた。
俺が歌っていた場所は本署の奥の方の部屋だから誰も来ないと思っていたが成瀬が来てしまった。
成瀬「お前、大丈夫か、?どした?」
らだお「いや、大丈夫!!、」
俺は必死に涙のあとを隠す。
バレないように。
バレないように。
ナツメさんもこんな気持ちだったのかなとふと思った。
成瀬「ほんとは?大丈夫じゃないでしょ、」
らだお「…」
らだお「ぅ゛ッどうしよッ、なるぜぇッ、俺の、俺のせいでッな、ナツメさんがッ」
成瀬「ッ?!」
俺は成瀬の優しい言葉に耐えられず泣いてしまった。
言葉をつまらせながら成瀬によがる。
成瀬はびっくりしていた。
そりゃそうか。
こんな姿誰にも見せたことなかったや。
らだお「どうしよ、ッぅ゛俺の、お、れの、」
成瀬「落ち着け、らだお」
らだお「ぅ゛ッぅう゛ッ成瀬ッ、」
俺は成瀬の前で泣いた。
これ以上泣いたことないぐらいに。
成瀬はそんな俺を見て静かに体をさすった。
俺はナツメさんを思い出してすぐには泣き止めなかった。
少し時間が経った頃俺はやっと成瀬に説明出来た。
俺は少しづつ今までのことを説明する。
成瀬は静かに聞いてくれた。
成瀬「くそ、」
成瀬は怒っていた。
この怒りは俺と同じ怒りだと思う。
らだお「このこと誰にも言わないで」
らだお「特にナツメさんには言わないで」
俺は成瀬に口止めした。
成瀬は静かに頷いた。
多分俺の気持ちを読み取ってくれたのだろう。
俺は成瀬をその場に残し気力がないまま外に出た。
誰もいない場所で俺は考える。
ナツメさんを助ける方法。
多分これしかないだろう。
俺は覚悟を決める。
らだお「これで、ナツメさんはもう苦しまないですむよね、」
僕はいつものように本署へ向かう。
ナツメ「おはよー」
挨拶をしても皆は返事をしてくれなかった。
なにかおかしい。
少し異様な雰囲気が本署に漂っていた。
ナツメ「何かあった?」
ネル「ナツメ、これ」
そこには1枚の紙があった。
今日で俺はここを去ります。
今までありがとうございました。
らだお
ナツメ「え、なんで、」
ネル「今朝出勤したらこれが置いてあったんだ。」
なんで、なんで、なんで、らだおくんがこの街を、
僕は混乱した。
だってらだおくんが出て行く必要なんてどこにもない。
だってだって、
ナツメ「ッ、僕を助けるため、?」
らだおくんは知ってた、僕が脅されてること。
気づかれていた。
僕を助けるために自分からこの街を出て別れを告げよと、
ガシッ
いきなりのことだった。
ナツメ「ッ?!」
成瀬に胸ぐらを掴まれていた。
成瀬「あいつッ、泣いてたぞッ!!お前に見せないように、必死に声殺してッ泣いてたッ!!」
ナツメ「ッ?!」
僕は、気づけなかった。
君が泣いていたこと。
気づけなかった。
ガチャドンッ
本署を勢いよく出る。
僕は走る。
この街を出ていく君を追いかけて。
走る。
間に合うかなんて関係ない。
僕はただただ必死に走った。
ナツメ「らだおくんッ!!ハァーッ」
らだお「ッ?!」
ナツメ「ごめん、気づけなくてッ、ごめん、」
たぶんこれで最後だろう。
らだおくんと会うのは、きっと最後だ。
そう確信した。
君の口が動く。
らだお「ーーーーーー」
最後、君は遠くを見て言う。
声は聞こえない。
ただ口だけが動いていた。
僕にはなんとなく君の言っていた言葉がわかった。
たった4文字、たった4文字。
その言葉、君が言うのを見たくなかったよ。
さよならーーーー。
なんて。
残酷すぎるよ。
あれから数年後。
僕はいつものように仕事をこなす。
君がいなくなって長い、長い時間が経った。
君がいなくなって嘘のように脅しやいじめは無くなった。
俺を脅していた人達もらだおくんがいなくなってショックだったんだろう。
ナツメ「皆おつかれ〜」
「おつかれさまですー」
「おつー」
僕はいつものように仕事をこなす。
らだおくんが帰ってくるのをずっと待っている。
ガチャ
ナツメ「ッ!!」
ナツメ「らだおくん?!」
僕はらだおくんだと思われる人物の肩を引き無理やりこちらに振り向かせた。
「ッ?!」
ナツメ「、あ、ご、ごめんなさい、人違いでした、どうしましたか。」
らだおくんだと思った人はらだおくんではなかった。
「落とし物を拾いまして、」
ナツメ「落し物ですね、こちらにどうぞ、」
「…はい、ありがとうございます」
よく見たら雰囲気も声もほとんど違った。
でも顔だけはらだおくんに似ていた。
もしかしたらと思ったが僕は落し物を引き取る。
ナツメ「じゃここに拾った場所書いてくれる?」
「お兄さん元気ですね」
ナツメ「まぁね〜君もありがとね」
「いえ、」
「ーーーーーーー、」
ナツメ「なにか言いました?」
「どういたしましてと、」
ナツメ「なるほど笑」
ナツメ「ありがとうございましたー」
僕は市民を返し仕事に戻った。
「…これでほんとにさよならだよ」
男は静かに街を歩く。
1人少しの涙を流しながら。
end
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