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「聖女さまって以外といい趣味してる~」
「聖女さまって以外と言い趣味~」
と、双子は宝石を見て、あれこれいいながら私が想像する何倍も宝石を購入していた。さすが富豪の息子達であり、そんな宝石いつつかうんだと思うぐらいに。私の感覚では考えられなかった。というか、彼らがここに来る時点で、この宝石店はとてもいいところなのだろう。私にはそんな感覚ないから全く理解も何も出来ないけれど。
それから、宝石を選び始めた双子を見つつ、私はトワイライトに先ほどの事をソファーに座りながらもう一度ありがとうと伝えることにした。
「本当にありがとう。トワイライト。私の為に」
「いえ、お姉様を馬鹿にされたの少しカッとなってしまって。お恥ずかしいところ見せてしまって」
「ううん。本当に嬉しかったの。私って、ほら、自分でも自覚してるけど聖女の特徴である髪色と瞳じゃないからそう思われても仕方ないなって諦めてる部分もあって。でも、それが許せるわけじゃないし、言われたら悲しいから。今まで私聖女だって認められたこと少なかったから、嬉しくて」
「お姉様……」
私が、此の世界に召喚されてからのことを少しはなせば、トワイライトは瞳を潤ませて聞いてくれた。本物の聖女が、偽物聖女のために涙を流すという光景に私は、これでいいのかと思っていたりしたが、そこは素直に喜ぶことにした。
ヒロインを味方に付けれたっていうのは大きいと思うし、それを利用しようとかは一切ないだろうけど、ヒロインを虐めたとかいって殺されたりはしないだろう。それに、私だって、攻略キャラとこれまで関わってきたことだし、それなりに彼らも私のことを分かってくれているはずなのだ。私が彼らを本当の意味で理解できたように。
ゲームではいけ好かない奴とか、こんな攻略キャラ嫌だとかさんざん言っていたけど、いざ本人を目の前にして関わってみれば何てこと無い。普通に喋ることが出来たし、一人一人抱えているものもあるんだなって実感できた。グランツとかはとくにそうだったし、アルベドも意外だった。
「何度も言いますけど、私はお姉様の味方ですから。世界がお姉様を敵に回したら、私が世界を敵に回します」
「あはは……それはちょっとぉ」
「私もです、エトワール様!」
「アルバも?」
それまで黙っていたアルバも私もとずいっと身体を乗り出して私に言ってきた。二人に挟まれて悪い気はしないが、やはり彼女たちを巻き込むわけにはいかないと思った。ゲームのエトワールには味方が一人もいなかったから、やはり原作とは違うルートを進んでいるのかと私は思う。まあ、何はともあれ、今は順調で。
「聖女さま」
と、トワイライトとアルバの頭を撫でていると、宝石を選び終わったのかルフレが私の方に近付いてきた。ルクスは会計の所でメイドに何かしているようだったし、こちらには興味がないようで、何故ルフレだけがここに来たのか分からなかった。
「どうしたの? もしかして、お礼でも言いに来たの?」
そういえば、図星だったのか、少し顔を赤くしてまたふいっと顔を背けてしまった。可愛いなあ何て思いつつ、私は彼に選んだプレゼントの意図を説明した。きっと分かっているだろうけど、伝えた方がいいと思ったからだ。でも、その話題から話すと警戒心を持たれるような気がしたので、少しとお巡りに話すことにした。
「今でも狩り、続けてるの?」
「時々。でも、最近は動物も凶暴化するとか言われてるからあまりできない。あのさ、あの弓……」
「あっ、分かった? あれね、ルフレにぴったりだって思って」
「……そう」
思った反応ではなく、冷たい物だったので言葉選びにでも失敗したかとルフレを見たが彼の耳が真っ赤になっているのを見て、本当は嬉しかったんだろうって思った。
「ルフレは弓矢の扱いに慣れてたし、少し剣を振ってるところも見せてもらったけど、様になっていたし、そういう方が向いているなあと思って。別に、ルクスを真似なくてもいいんじゃないかな。だって、ルフレはルフレなんだし」
「分かってるよ。でも、ルクスは……」
と、そこまで言ってルフレは言葉を詰まらせた。
双子だけれど、彼らの中にもちゃんと兄と弟と上下関係があるようでルフレはルクスに対して何か思っているようだった。それは、自分が自分として独立していけないような。二人で一人でいないといけない見たいなそんな私には理解できないようなものだった。
双子とか、姉弟のあり方は色々あるだろうし、姉弟のいない私が言えたことじゃないけれど、それでも、ブライトとかアルベドとかの見ていると、仲良くして欲しいなとは思う。その方が平和だし、幸せだ。
「ありがと」
「うん?」
「ありがとう! 僕のこと考えて選んでくれたんでしょ! それだけ!」
そう叫んで、ルフレは、顔を真っ赤にしながらルクスの方に戻って行った。ルクスは、何を話していたんだとルフレを問い詰めていたけど、ルフレは何て返したのか私には聞き取れなかった。でも、ルクスはいつも私に向ける顔をしていなかったから、ルフレももしかしたら上手く誤魔化したんじゃないかなあと私は予想した。
それから、ルクスとルフレは私にまた嫌味を言って宝石店を出て行った。私達は、彼らが出て行った後、宝石をどうするかと苦笑いした。私には、宝石を見分ける目はないし、ジャラジャラと付けるのは趣味ではない。
でも、トワイライトは初めて間近で見るのか宝石を見て目を輝かせていた。今日だけでもいろんな経験が出来て、何もない白い空間にいた彼女にとっては良い経験となっただろう。嬉しそうに笑う彼女を見ると私も癒やされるし、そんな私を見てアルバも嬉しそうだし。ただ一人を除いて。
私は少し離れてみていたが、トワイライトがひょいひょいと私を手招きしたのでよってみると、ガラスの箱を指さして、トワイライトがにこりと笑った。
「お姉様の瞳みたいです」
そう、中にはいっている夕焼けのような綺麗な宝石を指さしていた。確かに、エトワールの瞳の色に似ていると。
「そ、それをどうするの? 買うの?」
「はい、気に入ったので欲しいな……と、で、ですが、私のお金ではないですし」
「聖女だから、まあ何か扱いが神聖視されているけど皇宮とか税金とかからお金降りているみたいだから気にしなくていいと思うよ」
貴族の食事代を考えるだけで、うっとなりそう。とは言わず、私は取り敢えず微笑んで見せた。階級社会があるこの世界は、平民と貴族の生活は全く違う。かかるお金も、またその領主に対して平民はお金を払わないといけないみたいだし。私が、一応偽物でも聖女として召喚されてよかったと思う。
城下町に行けば、平民と呼ばれる身分の人と関わる機会もあって、いえば初めて貴族と顔を合わせた聖女のパーティー的な奴で、いかに貴族が豪華なドレスを着て、でかい態度を取っているか分かったために、町の人達は素朴でイイナとおもった。私が住んでいた現代の日本にはそんな物なかったから。
トワイライトは、本当にいいんでしょうかと私を見てきたから、助け船を出してもらいたくて、アルバを見たら、アルバは大丈夫ですよ。とトワイライトを安心させるような笑顔を浮べていた。彼女は、護衛騎士としてついてきてくれるときは、そこら辺のイケメンよりも格好いい顔をするから見ているこっちはときめいてしまう。
トワイライトは納得したようにコクリと頷いて、店員さんに選んだ宝石を取り出してもらっていた。どうやらそれをブローチに加工してもらって、胸に付けるようだ。それから暫く待って、受け取った夕焼け色のブローチを付けたトワイライトは、其れを私に見せてきた。
「ど、どうでしょうか。似合ってますか?」
「ばっちり。ブローチの縁が金色でトワイライトの髪みたい」
「そ、そうなんです。銀色か金色と選べたんですけど、お姉様を包んでいるみたいな風にしたかったので。何だかこれを付けているとお姉様に守られているきがします」
と、彼女はうっとりとした顔で言った。
相変わらず私のことがすきだなあ何て思いつつ、素直に似合っているともう一度言えば、嬉しそうに私にタックルしてきた。彼女の乳圧に押しつぶされて苦しかったけど、私は彼女の背中をポンポンと叩いてあげた。すると、彼女はさらに嬉しそうに私を抱きしめてくる。このまま窒息死させられるのだろうかと思うぐらいに。
そうして、やっと離してくれたトワイライトと店を出てそろそろ帰ろうと言うことになった。カランコロンとベルを鳴らし外をでて暫くすると、私達の周りを大勢の人達が取り囲んだ。アルバとグランツは警戒態勢に入っていたが、その人達に全く悪意は無く、どちらかと言ったらトワイライトを見に来たような感じで、彼らはトワイライトを見て目を輝かせていた。しかし、当の本人は少し強ばった顔をしており、警戒しているのが分かった。
「あの、聖女様ですよね。初めまして」
「先ほど、宝石店の前でダズリング伯爵家のご令息の二人が会話しているのを聞いて」
「今度のパレードにも是非参加させて下さい」
と、トワイライトの周りであれこれと口にする人達。
あの双子の会話を聞いてこんなことになったのかと思ったが、トワイライトを見れば私もそうだが何故か魔法がきれいてた。まだ、きれる時間ではないはずなのに。そうして、トワイライトの聖女の証である黄金の髪と純白の瞳が彼らの目に映る。勿論、私の銀髪も。
(というか、パレード? 何それ、私の時にはなかったじゃん)
人々は、今度聖女召喚を祝ってパレードが行われるのでそれに参加しますと言うことをトワイライトに言っていたが、彼女は聞かされていなかったのか本当に、眉を誰が見ても分かるぐらいにハの字に曲げて私の服の袖を掴んでいた。
私は、このままではいかないと、トワイライトを庇うように前に立って、これ以上困らせないでと声を上げた。すると、それまでトワイライトわっしょいだった空気が一変し、私に冷ややかな目が向けられるようになる。
「偽物聖女だ」