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白山小梅
12
#借金
1,754
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警察に着いた春香と瑠維は、机と椅子が置かれただけの小さな部屋へと案内された。緊張した面持ちで椅子に腰を下ろした春香だったが、隣に座った瑠維がそっと肩に手を置いてくれたので、彼に向かって小さく頷いてから深呼吸をする。
町村の事件について捜査をしている刑事を待つ間、しばらく沈黙の時間が流れる。
その時ドアが開き、一人の男性の刑事と制服警官が部屋の中へと入ってきた。ややクタッとした白いワイシャツに、グレーのスラックス。五十代半ばくらいの男性のメガネの奥の瞳は、どこか厳しい光を帯びていた。
「お待たせしてすみません。川崎といいます。佐倉春香さんで合っていますか?」
「はい、佐倉です。よろしくお願いします」
「今回は大変でしたね。不法侵入だけではないようですので、こちらもただいま捜査中でして。全てはお話出来ませんが、佐倉さんにお話を聞けたらと思っています」
それから隣に座っていた瑠維に目を向けた川崎だったが、何故か驚いたような顔になる。
「あぁ、君は!」
瑠維は頭を下げると、
「ご無沙汰しています」
とだけ告げた。
「おや、佐倉さんとお知り合いなんですか?」
「高校の先輩なんです。今回のことで何か助けられることがあればと思いまして」
「そうでしたか。まぁ君がいれば心強い。というか、元気そうで安心したよ」
「はい、ありがとうございます」
会話に入れなかった春香は、不思議そうに二人を見つめた。まるで知り合いのような話ぶりが気になり、緊張が少しだけ和らいだ。
川崎は手に持っていた資料らしき紙を見ると、春香の方に向き直った。
「今日犯人の聴取をしたんですが、昨夜現場の警官に話してくださった内容とですね、だいぶ違う部分が出てきていまして」
春香にはその言葉の意図していることがわかったような気がした。
「……時期、ですか?」
「ええ、その通りです。被疑者によればあなたをずっと観察し続けていたそうです。あなたを知れば知るほど、二人の相性がいいと感じたと本人は言っていましたが、あなたと知り合うために、客を装って近づいたようですね」
昨夜は本人の口から、そして今は刑事の口からそのことを知らされ、春香の顔から血の気が引いた。
相性がいいとは、一体何を見て思ったのだろうか。春香からすれば、彼との共通点は何も見つけられなかった。
「ストーカーというのは、大きく五つの分類がされているんです。恋愛型、復讐型、妄想型、ネット型、集団型。今回のは自分の気持ちを充足させようとしての行為ですが、自分勝手な妄想も働いていますからね」
「それに不法侵入、暴行罪、傷害罪、脅迫罪。余罪もたくさんありそうですよね」
瑠維が言うと、川崎は頷いた。
「ええ、そのあたりは今後の捜査の焦点になると思います。今後はストーカー規制法に基づいての処罰もあるでしょう。気にしないというのは無理だと思いますが、犯人は捕まっていますから、その点は安心してください」
「……わかりました」
「きっとこれからも警察から連絡が行くと思いますが、ご協力よろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いいたします」
それから春香は、昨夜の話の内容を補填するように今までの出来事について話し始めた。
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