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二人で仲良く沼に嵌まりましたね....♥️🖤( *´艸`) 複雑な家庭環境& 訳ありな尊さん.... これから色々ありそうだけれど、何処までも二人で行こ~ぅ✊‼️
(* ´ ˘ ` *)フフフ💕尊さんに沼ってハマって浸かって二人の世界を作ろ✨😘❤️
朱里ちゃん完堕ちどころじゃないね!沼ったね♥️🖤尊さんめちゃくちゃ喜んでると思う😉 朱里ちゃん尊さん秘密㊙️一つ言ってきたけど…着いて行こう!地の果てまで!!!
「あっ」
うっかり恋人役(仮)を受け入れた言い方をしてしまい、私は冷や汗を掻く。
そのとき前菜が運ばれ、私はわざとらしく咳払いをしてナイフとフォークを手にする。
「……おいし」
シュリンプカクテルに、マグロのミ・キュイ、小さなタルトにチーズとキャビアが載ったおつまみ。
それらを食べつつ、私は溜め息をついて言った。
「どんな形であれ助けてもらったので、尊さんが困っているなら手を貸しますよ。ただ、言いにくいんですが、一癖ありそうなお母様に目を付けられて、面倒な事にならないように配慮してほしいです」
「任せとけ」
尊さんは静かに笑い、シャンパンを一口飲む。
私は前菜を大人しく食べながら、隣にいる良く言えばミステリアス、悪く言えば正体不明で信頼できない男の事を考える。
彼が普通の人でないのは確かだ。
三十二歳なのに部長で、顔がいい上に女性の扱いに慣れていて、セックスだってうまい。
〝普通〟なら、すでに結婚していて子供がいたっておかしくない。
(どうして独身なんだろう)
その理由には、彼が何者なのかという事が深く関わっていそうな気がする。
前菜を食べ終えてシャンパンを飲んでいると、食器が下げられて百合根のポタージュが出された。
食べながら考えていたけれど、一人で思い悩んでも何も解決しないから聞いてみる事にした。
「……尊さんって何なんですか? ただの〝部長〟じゃないでしょう?」
彼は私を見てうっすら笑った。
その皮肉げな表情もまた、色気があって憎たらしいぐらい格好いい。
「俺と付き合える?」
何度も繰り返されたその質問は、「付き合う覚悟がなければ自分の事は教えない」という意思表示だ。
同時に、「逃げるならここで逃がす」とも言っている気がした。
尊さんの手をとれば、いい意味でも悪い意味でも、尋常ではない世界が私を待っている気がする。
――進むか、戻るか。
危険がありながらも魅力たっぷりの尊さんの手をとるか、凡庸な生活に戻り二度と彼と関わらないか。
そう。この誘いを断ったら、尊さんは二度と私を誘わないだろうと直感で分かった。
同じ職場で顔を会わせても個人的に話しかけず、メッセージを送っても無視するか、ブロックされる。
――嫌だ。
そう思った瞬間、ポコッ……、とあぶくのように心の底からそんな想いがこみ上げた。
そして、ようやく自分の想いを自覚する。
彼が魅力的なのは最初から分かっていた。
意地悪な言い方をしながら実は優しいところも、大人びて達観しているようで、昭人には大人げなくやり返すところも、仕事ができるところも、さり気なく職場の皆を気遣っているところも、低い声も、眼差しも、鍛え上げた体も、エッチしている時の少しかすれた声も、――――何もかも好きだ。
気がついたら尊さんのすべてに惹かれている。
――この人を手放したくない。
――もっと尊さんを知りたい。
――どんな関係になってもいい。この人となら、炎の中に身を投じるような恋をしてもいい。
――やってやろうじゃない。
――恋は、戦いだ。
私は目に強い力を宿し、尊さんを睨み付ける。
「……ホント、悪い男ですね」
「付き合える?」と尋ねられたのに対し、私は「イエス」と言っていないし彼を褒めてもいない。
けれど彼はその一言だけで私の気持ちを理解したようだった。
「多少の毒がなきゃ、薬にもならねぇよ」
「……減らず口ばっかり」
私は途中だったポタージュを口にし、チラッと尊さんを見て言う。
「面倒は嫌ですから、会社の人には内緒ですよ」
「了解」
彼は軽やかに返事をしたあと、シャンパンの残りをクーッと飲んでから爆弾発言をした。
「俺、社長の息子なんだ」