テラーノベル
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かなり昔から、
私は便利に使われてきた。
家族から、
友人から、
かつての恋人から、
「流」されて……
相手が変わっても、作りは変わらない。
皆「無自覚な会話」しかしていない。
何なんだろう、これ。
家族は、
「心配してるだけよ」
「家族なんだから、これくらい普通でしょ」
「あなたが一番わかってると思って」
「他のきょうだいは、ちょっと頼りないから」
「昔から我慢強かったじゃない」
「文句言わない子だったでしょ」
「親に逆らう気?」
「そんな言い方するようになったの、誰のせい?」
「外ではいい顔してるくせに」
「家族には本音出していいのよ?」
「……前は、もっと素直だったのに」
――やりやすかったのは、
私が子どもでいる役を降りなかっただけです。
友人は、
「ごめん、今から行ける?」
「他に頼める人いなくてさ」
「あなたなら察してくれると思って」
「細かいこと気にしないタイプでしょ?」
「ノリでいこ、ノリで」
「え、そこ引っかかる?」
「冗談じゃん」
「そんな重く受け取らなくてもよくない?」
「空気悪くなるからさ」
「最近ちょっと変わったよね」
「前は、もっと話しやすかったのに」
――話しやすかったんじゃない。
踏み込まれても、笑ってただけ。
かつての
恋人は、
「信頼してるから言ってるんだよ?」
「好きだから甘えてるんじゃん」
「他の人には頼まないよ、君だから」
「察してほしいだけなのに」
「そんな言い方されると傷つく」
「愛情表現が下手なだけだって」
「忙しいって言ってるでしょ」
「理解してくれる人だと思ってた」
「それくらい我慢できない?」
「恋人なんだから」
「……前は、もっと優しかったのに」
――優しかったんじゃない。
境界線がなかっただけ。
でも、
今なら――
「わたし、何ひとつ自分から引き受けてないよ」
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