コメント
4件
え????????神って存在するんですね。 フォロー失礼します!
うへえぇっい(?)もう神すぎます!!すきです!!
Kisaragi You side -
「ゆうさん、嬉しかったよ」
「…え…?」
アメジストのような、彼の澄んだ瞳が大きく揺らぐ。
何が、なんて言わなくても、
彼には伝わっているらしい。
「本当は最初から気づいてた。
ストーカーされてるのも、それがこえちむなのも」
そう、ストーカーが始まった
あの日から、本当はずっと気づいてた。
「でもゆうさん、自分が愛されてるっていうのがわかって、嬉しくって。
だから、その気持ちに漬け込んだ」
一生このままでもいいなんて、そんなことも考えた。
「駄目だってわかってるのに、わかってたのに」
それでも、やめさせる気には、なれなかった。
「自分のためだけに泳がせた。
ゆうさんは悪い子なの」
自己中心的な考えで、今までこえちむに
僕以上に大きい感情を背負わせてしまった。
「好きって気持ち、もっとちゃんと、伝えればよかった。
ごめんね、こえちむ…」
今更、遅いかもしれないけれど。
そう謝って、俯いた。
彼は、全てを吐き出して今にも泣きそうな僕に、
ポケットから出したハンカチを渡してくれた。
その優しさのあまり、堪えていた涙が零れる。
「…なんで、ゆうくんが謝るの…」
しかし、そう呟く彼は、悲しそうで、苦しそうで、
でも少し嬉しそうな、そんな顔をしていた。
「こえく…」
「本当に悪い子は、僕なのに…」
僕の頬に当てられたハンカチ越しに
彼の指先が震えているのが伝わる。
「逆だよ。
背負わせたのも泣かせたのも、全部僕だ…」
とうとう、僕の肩に顔をうずめたこえちむは
そのまま小さく嗚咽をもらした。
「ごめん、ごめん…っ」
くぐもった声で、そう何度も同じ言葉を繰り返す。
「こえちむこそ、謝んないでよ…」
困ったように小さく笑う。
すると、彼は僕の肩から顔を上げて、
僕を一心に見つめてきた。
「好きだよ、ゆうくん。
好き、大好き」
「…うん、ゆうさんも、好き…」
お互いにしばらく見つめあって、
どちらが先、というわけでもなく、
気がつけば笑いあっていた。
「あぁ〜、先越されちゃった」
「違うよ、これは改めましての告白。
だってさっきゆうくんに告白もどきされたもん!」
僕が先に言いたかった、
と悔しそうに頬を膨らますこえちむ。
「…ねぇゆうくん、ちゅーしてもいい?」
ふと、彼がそう問いかけてきた。
「えへ、ちゅーって…子供みたい」
「もう!」
「えへへっ、ごめんね、いいよ」
はやく、と急かすように腕を広げると、
彼は少し男らしく前髪をかきあげて、
「ほんと、興奮させるの、上手だよね」
そう言って笑った。
午後5時を過ぎた橙色の夕焼け。
空に浮かぶ太陽は、重なったふたつの影を
ただ鮮明に映していた。