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リクエスト大丈夫ですか?
ジミンside
テヒョンが外出する僕の為に持って来てくれたショルダーバッグは、入院する少し前に僕が買ったもので、ブラックでカッコよくてお気に入り。でも結局殆ど使うことがないままで…。そのバッグに勝手に赤い十字のヘルプマークがつけられていたのは、本当はすごくショックだった。
あーあ、僕のカッコいいショルダーバッグが、台無しじゃん…(泣)
でも僕を心配してわざわざヘルプマークを貰いに行ってくれたテヒョンの気持ちも痛いほど分かったから、外してとはとても言えなかった。
車椅子だけでも恥ずかしいのに、こんなマークも付けなきゃなんて…(泣)僕は病気で、障害者なんだ…。そんなの分かってる。分かってはいても、やっぱり悲しかった。
しかも追い打ちをかけるように、電車に乗った途端、突然お腹が痛くなってきてしまって…。テヒョンに言ったらきっと、病院に帰ろうって言うだろうな… 。そう思うと僕は言い出すことが出来なかった。
そしたら遊園地に着く頃には普通に話すのも難しいぐらいの痛みで、誤魔化そうとしたけど結局テヒョンにもバレて…。僕はトイレでテヒョンに座薬を挿れてもらうハメになってしまった。
どうして僕だけ、遊園地に来てまで座薬なんてしなくちゃいけないの?車椅子用のトイレにテヒョンと一緒に入って、お尻を突き出して立って、座薬を挿れてもらう。痛みと惨めさで泣きそうになる…。
遊園地にいる人たちは、小さな子供連れの家族や、友達同士のグループや、カップルや…みんな楽しそうで、幸せそうに見えて…。
いいなぁ。僕は友達同士で遊びに行ったことなんて一度も無いし、もちろんデートもしたことない。将来結婚して子供と一緒に遊園地に来ることだって、きっとない…。痛みの中で、そんなことをぐるぐる考えては勝手にいじけてる自分が嫌になる。
テヒョンは車椅子の前にしゃがみ込んで、僕のお腹をずっとずっとさすって、泣きそうな僕を慰めてくれた。テヒョンにも迷惑ばっかりかけて、弱虫な自分が情けなくなっちゃう…。
30分ぐらいで座薬も効いてきて、ようやくお腹の痛みがすーっとひいてきた。
テヒョンは車椅子を押して、乗り物の方に連れて行ってくれた。
「ジミナ、乗り物、何から乗りたいー?」
「うんと…じゃあ…汽車のやつ。」
「オケ。あれは園内を走るから、全体も見れるしいいね!行こ行こー!」
乗り場に付くと僕は車椅子を降りて、テヒョンに肩を貸してもらいながら自分で汽車に乗ることができた。
初めて乗る汽車は、園内の色んな乗り物も見えてワクワクしてくる。あれもこれも乗ってみたいな。屋台で美味しそうな食べ物も売ってる。
「もうすぐお昼の時間だね。ジミナ何が食べたい〜?」
「えっと…ラーメン…かな」
「いいね!ジミナ、ラーメン好きだもんね。病院では絶対出てこないメニューだよねぇ。買ってくるから待ってて」
久しぶりのラーメンは、すっごく美味しくて、僕は夢中で食べた。
「ほら慌てないで、ゆっくりよく噛んで食べなね?」
「も〜分かってるって!」
「ジミナ、チャーシューと卵食べる?俺のもあげるよ。」
「え、いいよいいよ。テヒョンの足りなくなっちゃう…」
「いいの!ジミナはいっつも病院食でなかなか食べたいものも食べられないでしょう?僕はジミナがいっぱい食べてくれるのが一番嬉しいんだから。」
「あ、ありがと…」
テヒョンはいつでも何でも僕に譲ってくれるんだ。
「食べ終わったら、お薬飲んじゃおうねー。」
「う、うん…」
あぁ薬か…すっかり忘れてた…(汗)。テヒョンが僕のお薬ポーチから、お昼の分の薬を出してくれた。僕は左手があんまり動かないから、代わりに袋も全部開けて出してくれてる。
わ、いつもよりも多いみたい。僕が大嫌いな、苦い粉薬もある…(泣)。
「ジミナ…飲める?ゆっくりでいいからね。落ち着いて飲んでね。」
「ゲ、ゲホッ…ゲホッッ」
「だ、大丈夫!?」
粉薬で咳き込んでしまい、テヒョンが慌てて背中をさすってくれた。ゲホゲホしながらも、なんとか水で飲み込む。
「ハァハァ…苦しいよう…(泣)」
「ジミナの苦手な粉薬だったね…よしよし。でも頑張って飲めたじゃん。」
「ぐすん…めちゃくちゃ苦かった…。」
「あとは錠剤だけだよ?がんばって飲んじゃおうね。」
僕は残りの錠剤を一気に口に含むと、水で流し込んだ。