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Yuri
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キスされた日から、舜太は露骨なくらい勇斗を避けていた。
勇斗の隣が空いていても絶対に座らない。
移動中もイヤホンをつけて話しかけるなというオーラを出す。
目が合えば逸らす。
メンバーもさすがに違和感を覚え始めていた。
「2人もしかして喧嘩した?」
「してへん」
否定する舜太。
でもその反応が怪しすぎて、周りは絶対なんかあるなという顔をしていた。
勇斗だけは何も言わない。
ただ少し困ったように笑うだけ。
その優しさが今はしんどかった。
収録中も最悪だった。
勇斗が近くに来るだけで体が強張る。
少し触れそうになるだけで、頭の中にあの日のキスが蘇る。
(無理無理無理……)
嫌いとかじゃない。
ただほんまに無理。
今まで“メンバー”として見てた相手に急に恋愛感情ぶつけられて、普通にできるわけがなかった。
収録終わり。
舜太は誰よりも早く帰ろうとしていた。
「しゅんた」
呼ばれて足が止まる。
振り返りたくなかった。
でも無視もできなくて、ゆっくり後ろを見る。
勇斗が立っていた。
「……ちょっとだけ話せる?」
その瞬間、舜太の表情が目に見えて曇る。
「……やだ」
今は2人きりになりたくなかった。
勇斗が少し固まった。
また距離近づけられたらどうしよう。
また“好き”って言われたらどうしよう。
そんなことばっか考えてしまう。
「しゅんた」
勇斗が一歩近づく。
舜太は反射的に後ろへ下がった。
「近づかんといて」
思ったより強い声が出て空気が止まる。
勇斗の顔から笑みが消えた。
舜太の心臓が痛くなる。
でも止められなかった。
「……ごめ、でも無理やねん」
「……」
「はやちゃん今まで普通やったやん……」
舜太は苦しそうに顔を歪める。
「急にそんなん言われても困るし、キスとか意味分からんし……!」
勇斗は静かに聞いていた。
何も言い返さない。
それが余計につらい。
「おれ、男同士とか考えたこともないし……!」
「うん」
「メンバーやと思ってたのに、急に恋愛とか言われても無理…」
勇斗は数秒黙っていた。
それから小さく「そっか」と呟く。
その声が思ったより傷ついていて、舜太は視線を逸らした。
勇斗は苦笑いする。
「そんな嫌われてると思わなかった」
「嫌いちゃう」
反射的に否定する。
でもすぐ言葉に詰まる。
じゃあ何なのか、自分でも分からない。
勇斗は少しだけ目を細めた。
「……じゃあ避けないでよ」
「無理やって」
「なんで」
「だって意識するから」
言った瞬間、舜太は「あっ」と顔を覆った。
最悪。
でも勇斗は少し驚いたあと、苦しそうに笑った。
「……そりゃ期待するじゃん」
「せんといて」
「無理」
即答。
「ほんまやめて……!」
舜太は頭を抱えた。
勇斗はそんな舜太を見つめながら、小さく息を吐く。
「ごめん。でも好きなのは変えられない」
「知らんし……」
「うん」
「おれにそういう空気出さんといて」
「それも難しい」
「なんで?!」
「好きだから」
またそれ。
舜太はついにソファへ突っ伏した。
「もういやや……」
勇斗は少しだけ笑った。
でもその目は、ちゃんと傷ついていた。
それでも。
拒絶されても。
距離を置かれても。
やっぱり好きだと思ってしまった
コメント
1件
第2話、読んだよ……。舜太の「無理」がタイトルになってるのが、もう本当にしんどくて。キスされた後の避け方、露骨なのに勇斗は傷つきながらも「好きは変えられない」って言い続けてて、それがまた切ない。舜太が「意識するから」って認めた瞬間、胸がぎゅっとなった。続きめっちゃ気になる……!