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なぜあんなことを言ったのだろう?チェシャ猫は、優しくて強いのに。死んでもいいのは、僕なのに。僕なんて、チェシャ猫に迷惑しかかけていない。なのに、なんで??なんで?なんで?なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。
…………?。やっぱり、何も分かんないや。
目の前におそらく女王がいる。僕は、両腕と足を拘束されていて、動くことができない。女王。怖い。なぜか分からない。チェシャ猫を滅多刺しにしたから。と言うよりも本能的な何か。………。そういえば、チェシャ猫は、大丈夫なのだろうか?。僕のせいで。
『ありす。君は、キノコとシチューが苦手だろう。なぜだと思う。』
「……」
問いが来ている。でも、そんなの分かるはずないじゃないか。こんな、チェシャ猫が死んだかもしれない。そんな精神状態で、投げかけられた問いに答えられるわけがない。
『それはね。君がキノコがもともと苦手だったんだ。ある日、君は、両親にキノコを食べないと、寝かせない。そんなことを言われたんだ。君は泣く泣く食べていたね。何度も吐きそうになりながら。目に涙を浮かべながらね。』
頭が痛い。頭というか、心の近くに針を刺されたような。そんな感覚。痛い。痛い。そう思いながらも、誰かの記憶が蘇る。
「嫌だっ。食べれないよっ嫌っ」
小さな男の子が反抗している。きのこを食べたくないようだ。あぁ、そんなに反抗したら…。
『ダメに決まってるでしょ?』
そう言って、小さな男の子は、頬を打たれた。やっぱり。
「っ……。」
『ちゃんと食べないと、寝かせないからね、』
小さな男の子は、打たれた頬を抑えながら、目に涙を浮かべキノコを食べている。可哀想に。ああ、可哀想。
「っ…!?」
誰の記憶かわからない。身に覚えもないのに、女王が話したものと内容がリンクしている。もしかして、あの可哀想な小さな男の子は…僕…??
『思い出してるんだね。じゃあ、こんどは、なぜシチューが苦手なのかな?高所恐怖症もそうだね。あぁ、なぜだろう?分かるだろう?』
問いを投げつけられる。わからない。分からないはずなのにこの圧迫感、手が震えている。怖いことなんて、ないはずなのに??
『それはね、君がキノコ入りのちシチューを吐いたからなんだよ』
さらりと告白する。相変わらず、心が痛い。
『また、ある日夕食にキノコ入りのシチューが出ていたんだ。その時は、両親揃っていたようだね。母親がキノコ嫌いを克服させようと君の器にたくさん入れたようだ。』
「いっ、」
男の子は、嫌だ。と言えないようだ。頬を打たれたのが痛かったのだろうか?
『好き嫌いしてると、私たちの後継には出来ないわね。』
母親?がいう。続いて、父親も発言する。
『なんだと!?好き嫌い?そんなものをしてるのか。いろんな王国と関わっていくのにキノコ一つも食べれないなんてな。昔は、そんなことなかったのにな。』
「っ……!ご、ごめんなさっ、ごめんなさい、ごめんなさい。た、食べますから、食べますから、そん、なっ」
慌てているようだ。そんなに嫌なのかな?失望されるのが。
『言ったな?ちゃんと食うだろうな?』
きっと、戦略だっただろう。これは。
「ひっ、食べます、食べますっ」
涙目になりながら、一気に放り込む。あぁ、そんなに含んだら、吐き出してしまうだろう。
「う”う”え”え”ぇぇっ」
やっぱり、あ〜ぁ。吐いちゃった。可哀想。
『うわっ、吐きやがった。こいつ。』
『何してんのよ。お父様の服を汚して』
また、打たれる。両頬に。あざになるまで。
「ご、めっ、なさっ、い。ごめっ、」
可哀想。とっても可哀想。
でも、これだけじゃ抑えられないでしょう?もっと、僕のことを痛ぶらないと。両親は、満足しないでしょ?
『好き嫌いで、吐くやつにはお仕置きしないと』
「やっ、やめっ」
そんなふうに反抗した小さな男の子は、みぞおちに殴られ、さらに吐きそうになっていた。すると、男の子は、引きずられ階段を登っている、これは、どこに…?
『ついたぞ』
「へ…?あっ…の…?」
そう言われ、小さな男の子は、手足を拘束され、吊るされた。この高さなら、落ちたら死んでしまうだろう。
「っ…!ぁっ、ご、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
そんなふうに壊れた機械のように繰り返し謝罪している小さな男の子を通り過ぎ、父親と母親は、行ってしまった。この小さな男の子は、もう。高いところが嫌いになってしまだろう。拒絶してしまうかもしれないな。
『分かったかい?君がキノコ、シチュー、そして高所が嫌いな理由が。』
考える。本当にこれは、僕なのか?分からない。
『本当のことを教えてくれ。君のためなんだ』
そう言われても、分からない。何も分かんないんだ。無言が続く、不安にあおられる。怖い。
『そうか、君は、無言も嫌いだったんだ。すまない。顔が真っ青だ。でも、もう分かるだろう?絶対に。さっきだって、どうなるかは分かってたはずだろう』
!言われても気づく。小さな男の子が頬を打たれることも、吐き出してしまうことも.なら、分かる?無言が嫌いなのも…。
『本当に分からないのかい?分かるだろう?現実から逃げるな。極限状態になれば、思い出すのか?』
怒られる。怖いけど、本当に分からないんだ。
「でっ、も、、あれがっ、僕の…記憶って…こと…は……」
つい弱音を吐いてしまう。なぜだろう?
『はっ、自覚しているのにまだ分からないのか。なら、試してみるか?』
ハッと思う。いま、僕は拘束されている、さっきの体験をしようと思えば、いくらでも出来るだろう。
『ほら、』
差し出される。忘れていた。ここが地面が見えないほどの高さだということを。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。チェシャ猫もいない。誰も、助けれくれない。どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「ご、めっ…なっ…さ…ぃ…。ごめっ、な…さ…ごっ…めっ、さ…い。ごめ」
それしか出てこない。何も考えられない。僕だったんだ。あの小さな男の子は。僕が僕を同情していたんだ。”可哀想”と。なんとも皮肉な話だ。もう、正気ではいられない。
『どうだ?ありす。じぶんだと確信が持てたか?』
「#?@&!!%×=¥#€>$〆」
『おかしくなってしまったか。現実を受け入れろ。それが自分なんだ。理想が高いほど、辛くなるぞ。まずは、ありのままの自分を受け入れることだな。じゃっ』
そういうと、落ちていく。ずっと、意味がわからなかった。あのシチュー。見た目が美味しそうなのに食べれなかった。吐いてしまったとき。チェシャ猫にものすごく謝ってしまった。ここにくる時、高いことがとても怖かった。あれは。僕なのだ。……。現実を受け入れろって?無理だよ。僕なんて…。………。もういいや。どーでも。……。
なんでもいい。もう。どうなってもいい。
ぽすっ
誰かに抱えられた気がした。こんな高さから落ちたら、普通死ぬのに。死んでしまえばよかったのに。あ〜ぁ。僕なんか。
「ありす!」
ハッと我に帰る。この声は、チェシャ猫だ。生きていたのだ。
「チェシャ猫…。」
大丈夫なのか。と言いたくなる。外傷が酷い。チェシャ猫が来ていた服が真っ赤に染まっている。…。大丈夫なのかな。
「チェシャ猫。大丈夫。」
感情がこもってないようになってしまった。でも、今は何も発する気分になれない。なんでもいい。チェシャ猫さえも、どうでも良く感じでしまう。嫌だった。あんなみっともないのが僕だなんて。せめて。普通がよかった。あんなみっともない僕じゃなくて…。
「ありす。俺は、後でいい。いや、外傷は、酷いかもしれないが。ありす、心から、黒い液体が出ている。」
そう言われ、自分の胸の位置をみる。たしかに、流れている感覚はしないものの、なにか黒ものが出ている。なんだこれは。まあいっか。どうでもいい。……。………?
「これはな、結構限界が近いサインなんだ。俺が、来れなかったのは、謝罪しきれない。だが、一旦何があったか話してくれないか。俺が勝手に連れてきて、こんな状況にさせたのは、本当に申し訳ないと思っている。」
チェシャ猫が焦っている。初めて見たな。こんな顔。でも、でも、僕は________。
「どうでもいい。」
言ってしまった。でも、これで僕には、関わらないだろう。どうでもいいと言われたんだ。存在を否定しているとも受け取れる。いいんだ。もう、僕、どうでも良くなっちゃった。
「っ………。本当にすまない。今は気分じゃないこともわかっている。」
そういうと、チェシャ猫は、僕に口づけをした。うん。今までよりも、ずっっっっっと長いし、何より舌を入れてくる。そして、僕がずっと息をしてないことも分かった。そう意識した途端、息が苦しくなってくる。
「っ、はぁっ…はぁっ…っあ…っはぁっ」
苦しい、けど、けど、心の黒い液体が薄くなっていっているのが分かった。
「ん。吸えた。良かった。」
そう言ったことで分かった。なぜ、こんなことをしたのか。正直、ちょっと寂しかったけれど、。
「ごめんね。」
「いや、別に…いいよ。」
本心である。これは。僕は、チェシャ猫のことが好きなのかも知れない。いつも気にかけてくれるところが。……。でも、それが役目…なんだよね。本当の僕のことは、見てくれてないんだよね。複雑な心情。でも、僕は、チェシャ猫の手を握る。触れていたい。チェシャ猫のぬくもりを感じていたい。ずっと。…………。
「チェシャ猫……。すき」
つい言葉に出てしまった。こんなことを言われても、困るに決まってるだろう。
「ん。」
チェシャ猫が僕の頭を撫でる。心地よい。
「休んだほうがいいよ」
やっぱ、頭がおかしくなったと思われているらしい。まあいいや。それでも、すき。チェシャ猫のことがすき。この事実は変わらないから。…………。チェシャ猫に顔をうずめる。チェシャ猫の香りがする。すき。
『あぁ、生きていたんだな』
そんな声を聞き、心臓の鼓動が早くなる。怖い。おかげさまで、チェシャ猫への思いにも、現実も分かったけど。
「ねぇ。こんな、虐めることなくない?」
チェシャ猫が言う。あれ。チェシャ猫、治ってる。服が真っ赤に染まっていたのに。不思議。
『そうしないと、現実を見なかっただろう?』
そう。僕は、現実を見たくなかった。それ以前に理想と現実の僕を別の人間と識別していたのかも知れない。だから。
「そっ…こ…だけ。はっ、感謝す…る…。」
途切れ途切れだが。言いたいことは言った。今までは、言えなかったけど、言わないと案外分からないものだ。
『そうか。成長したのだな。”ありす”は。』
…。ん。”ありす”は?。分からなくなった。他に来た人がいるわけではない。なのに、僕だけ、誰かに言い聞かせるように。…。誰だ?。
『ありすも分かってなかったんだよね〜。ね?チェシャ猫?』
「!ぇっ…。」
声に出してしまった。チェシャ猫が仮想空間に連れてこられた、僕の方の立場であること、知らなかった。…。
「………。」
チェシャ猫は、黙ったまま。
「ありす、なぜ。俺がこんなんに謝ると思う。」
考える。なぜだろう。チェシャ猫は、なにも僕の非になることはしてないはずだ。これまで。と言うことは、前世、または、現実で何かを犯した??僕に関係あることで??
「なんか、した…?現実の僕に…」
聞くのは、怖い。何が帰ってくるかが分からない。思い通りには、絶対にならないし、仲が拗れてしまいこともある。でも、知りたい。チェシャ猫のこと。
『惜しいね。チェシャ猫は、君をこの世界に連れてきた張本人さ』
驚く。僕をこの世界に連れてきたとは。なぜ?なんの関係がある??
「あ〜。バレちゃった。でも、覚えてないかな。目以外、全部変えてるから。その方がいい」
考える。今、チェシャ猫のことを知れるのは、今しかないと思う。そう感じる。これは、勘だ。でも、確信はある。チェシャ猫が、いったこと。あの時、言おうとしたこと。”俺っ、は、死んでもいいけど、、ありす、お前は、いなくなっちゃ…”。だろう。今まで気づかなかったけど、チェシャ猫も自己肯定感がかなり低いと思う。
『お前も前に進め。何年ここにいるんだ。』
何年も?何年前かに会っていた?そして、僕に思い入れがある。幼馴染…?いたっけ…。あ…まさか。
「あの日、僕を連れ遊んでくれた…どっかの…貴族…?」
「……?貴族…だったっけ。俺。まぁまぁ、あってるよ」
やっぱり、あの子だったんだ。僕のことを気にかけてくれてたのは、心配…してくれてたのかな…。
僕は、生まれたのが貴族の一族。そのことで、英才教育をさせられてたし、外出許可もなかなか出なかった。なので、全く合わない僕に不信感を持ち、ほとんどの子は、僕にいや、僕の親にも近づかなかった。そんな中、彼だけが、僕に話しかけてくれた。
「あのさ。どーして、いっつも一人でいるの?」
「え…。みん…な、行っ…ちゃ…ぅんだ…。僕、あん…ま…りみんな……と、話してな…いから…。」
当時の僕は、キノコ嫌いになったばかりの頃な気がする。だから、途切れ途切れに話してたに違いない。
「えー。酷くな〜い?それ。ねぇ、俺。チェシャ。チェシャ・クルト。クルトが名前。」
「あ…。僕はっ…あ…りす。」
「下の名前は?」
「ぇ…。あ…。分か…ん…な…い。ごめ…ん」
「そっかー。でも、いいね。名前。」
そんなふうに友達になった気がする。チェシャ猫の”チェシャ”は、名前とかぶっていたな。そんなふうに思う。昔の話。あの事件が起きてから。当時、だけど、チェシャは、人気が高かったと思う。だって、コミュ力が高かったから。今と違って。だから、あんなことが起こってしまったんだ。
『お前、チェシャと仲良くしすぎな?』
『お前みたいな、話しかけないやつに、チェシャは話しかけてんだよ』
『いやいや。な。』
『あははは。うけるー』
『おい、なんか言えよ』
「ぇっ…。なんか…って…いわ…れ…ても……」
『はぁ?つまんねぇ、やつ』
最初はそんなんだった。ていうか、よくこんな覚えてるな。僕さっきまで、何にも覚えてなかったのに…?で、どんどんエスカレートしていった。僕の虐めは。髪を引っぱられたり。殴られたり。散々だ。そして…
『お前、まじでさぁ。近づくなっていったよな。』
『お前なんか、チェシャが好きなわけないんだよ』
そんなことを言われていた。そしたら、階段から落とされた。僕が。正直、それが別れ目だったのだろう。大人たちは大慌て。虐めてきたあいつらは、叱られていた。まぁ、僕の両親は知らんぷりしてたけど。その日、チェシャは元気がなくて…。どうしてだろう。と思っていた。けど、あの時のは、脳裏に焼き付いている。
「チ…チェシャ。だ、いじょうぶ…?」
そう話しかけたはず。でも
「………」
あの時無言だった。しつこかったのかも知れない。チェシャの肩を叩くと、痣があったような気がして。
「あ…。アリスは、見ちゃダメ。」
そんなことを言われた気がする。
「え…。あ…、ごめん…。」
「いいよ。でも、勝手に歩くなよ。あいつらに見つかるかも」
覚えている。なぜだか、分からないが。その後は、裁判があり、チェシャをめぐる問題として、僕とチェシャとあいつら、バラバラにされたんだっけ。たしか。ここだけうろ覚えだな…。なんでだろう?。
「思い出せた。?」
チェシャが言う。
「うん。でも、なんでバラバラになったかだけが思い出せなくて…。その後も…」
「………。」
あれ、チェシャ、無言になっちゃった。気に触るようなこと言ったかな…。
『そうだな。今の記憶は、ぼぼチェシャのものだからな。一部ありすの記憶も入ってるがな。記憶を共有したんだ。その後がなかったのは、思い出したくないからだろうな。』
ハートの女王が言う。
『ありすは、もう大丈夫だろう。私たちが追いこんで、チェシャ猫と会い、本当の自分の気持ちを言える勇気がもう、あるからな。』
そう言われ、きずく。チェシャに本当の気持ちを伝えてからは、チェシャのことが知りたいことも貴族だと言うことも。進んでいるのかも知れない、僕は。
「チェシャは…。何が怖いの?」
「……。分かんない」
分かんない。か。僕がずっと思ってた言葉。本当に何も分からない。何をしたいかも。でも、言いたくないと感じとってしまうのかな。
『だから、それじゃ、こっちだって、分かんないって言ってんだろ。お前が、生み出したんだろ!?私や、マッドハットを…!』
「ち、違うよ…ね。チェシャ…?きっと、言いたくないんじゃない。何も分からないんだよね。僕が、ここにいる理由が分からなかったように…そ、そう言うことなんじゃないかな…?」
思ってることを全て言う。ここで、言わないとチェシャは、助けられない。
『!そういうk』
「違う!俺は、存在してるかが、分かんない。全部。俺も、ハートの女王もありすだって。俺が現実逃避するために妄想した、一人のキャラなんじゃないかって、だから。分かんない。分かんないんだよ。過去のことだって、思い出しても、どれが本当かが分かんないんだよ。俺は。昔から、ずっと、ずっと、ヘラヘラして生きてきたから、どれが本当なのかが分かんない。ありすみたいに明確な、理由なんてないんだ。これが苦手とか。だからどうしようもないんだよ。俺は。誰にも理解してもらわずに生きてくしかないんだよ。」
ビックリした。無言だったのにいきなり話し出して。でも、僕たちが妄想かも知れないって、どういう…こと…?それに、ずっとヘラヘラして生きてきたって…?。
『お、お前だって、言えるじゃないか。過去にも何かがあったのではないか』
「だから、それが分かんないんだろ?非効率だ。そんなこと。それに……」
ボソッと言ったことが聞き取れた。”それに…俺にそんな時間をかけなくても”そう言っていた。
「無駄かも知れないけど、やってみればいい…じゃん?。非効率でも、やったほうが…よ…よくない?」
『!ありす…お前、言うようになったな。まぁ、その通りだ。覗いてみようじゃないか。チェシャ。お前の過去を。』
「……。思い出せる範囲なら。」
チェシャがいる、小さい。子供の頃かな。
『はぁ、アンタは、姉ちゃんとはちがい無愛想ね。可愛くないわ。』
「………。」
『何考えてるか分からないし、大丈夫なのかしらね。ー』
『そ、そんなこと言うなよ、ね?チェシャだって、好きな子ぐらい出来れば大丈夫だよ』
無愛想?チェシャが。確かにこの世界では、そうかも知れない。
『あなた、__+_が』
『なっ、_________。大丈夫か』
「………、ねぇ、ちゃ。」
あ、チェシャって、お姉さんいたんだな。昔は。
『あなたが_____+___の時みたいになっなかったのが悪いでしょ!?』
『はぁ!?俺だって、愛情を渡したはずだぞ!?』
「…………」
酷い。酷すぎる。環境が悪い。僕も自分で自分を憐れむぐらい悪いけど、もっと酷い。
『アンタねぇ。』
チェシャが打たれる。
『アンタのせいで、旦那とも仲が拗れたでしょ!?アンタのせいよ。なんで、姉ちゃんが死んじゃったのよ。』
「………。」
チェシャ…。可哀想、というより、一方的すぎる。なにも、反抗してないのに…。その後もチェシャは、殴られては、蹴られ、打たれ。散々な目にあわされてた。
「………。にこ」
!この笑み、見たことある。この世界で、チェシャは、ずっと笑っていた。この笑みで。
『アンタ、貴族の集まりに行くわよ。』
「……………。にこ」
『!あなた、笑ったわよ』
『!本当だ、やれば出来るじゃないか。』
「にこ。………。」
『ついたわよ、あそこにいってらっしゃい』
「………。にこ」
『うわぁ!君、かっこいい』
『本当だ、一番、いや、俺の次にかっこいいな。』
『おい、一番って言いかけただろww』
「にこ。………。」
『俺らは、固まってるんだ。西の王国の貴族だぜ』
「にこ…。」
『ねぇ、どこずみ?』
「…?」
『なんで、はなさねぇの?』
『まさか、あたしみたいな、子にナンパされちゃうから、喋るなって?』
『大いにあるな?俺らみたいにな』
『声出してみろよな〜、ナンパしないぜー』
「ぁ…。」
『!!うっそ、声もイケメンなんですけど〜!?あたしまじ、惚れる。』
『マジかよ、これも相まって話すなってか。』
『たしかにね。もう惚れてる人いるし。喋らない方がいいですね。』
「にこ……。」
『さわやかスマイル〜。まじ、イケメン!!』
マジかよ。チェシャ、こんなにモテてたのかよ。じゃないわ。このあと、僕に出会うのか。
『アンタ、話してないでしょ。』
「にこ…。」
『にこにこしてるのもいいけど、ちゃんと話しなさいよ』
「にこ……。」
『違うぞ、なんか発っしろ。これじゃ、笑顔を強制させてるみたいじゃないか。』
「にこ…?」
『違うわよ。やっぱり、身に覚えが悪い子ね。』
『はっ、こうやって殴っても、何も言わないのは、いいけどなー』
かわいそすぎる。これは。どうなってるんだ。強制させてるだろ。チェシャの両親は、自覚がないのか…?。
『はい、行きなさい。話すのよ』
「や、やっほ〜。にこ」
『うっわ、イケメンきたー!!』
『はよっ、話すんだな。緊張してたのか〜?』
「まあね〜。なんとなくっ?」
『チャラいな。結構、姉さんもそんな感じじゃなかったか?』
「うん!そうだね〜、仲良しだから似ちゃったのかも」
『でも、そう言うとこもイイ!!』
『惚れ直してる人いるぞ〜』
『ちゃんと、会話したのね。』
「…ぅん。」
『姉ちゃんの真似をするなんて、やるじゃないか。』
『ね〜。家族団欒してるし〜。いいわね!うちの家族。』
『だな』
「……にこ」
自覚、ないんだな、チェシャを追い詰めてるようなのが。
そして、さっきの記憶になる。
「どーして、いっつもひとりなの?」
「え…。みん…な、行っ…ちゃ…ぅんだ…。僕、あん…ま…りみんな……と、話してな…いから…。」
「えー。酷くな〜い?それ。ねぇ、俺。チェシャ。
チェシャ・クルト。クルトが名前。」
「あ…。僕はっ…あ…りす。」
「下の名前は?」
「ぇ…。あ…。分か…ん…な…い。ごめ…ん」
「そっかー。でも、いいね。名前。」
あ、一気に飛んだ。そっか、チェシャは、見てなかったもんな。僕が虐められてたこと。
『アンタ、いざこざに巻き込まれたんだって!?』
『裁判があるそうじゃないか。何をしたんだ。』
「……。わ、分かんない…」
『はぁ!?分かんないわけないでしょ。アンタをめぐって問題が起きたんでしょ!?』
完全な言いがかかりじゃないか、そして、なんで、チェシャは、反抗しないの…?
「チ…チェシャ。だ、いじょうぶ…?」
そう話しかけたはず。でも
「………」
あの時無言だった。のは。殴られてたからなんだね。
「あ…。アリスは、見ちゃダメ。」
「え…。あ…、ごめん…。」
「いいよ。でも、勝手に歩くなよ。あいつらに見つかるかも」
大体わかった。チェシャが隠したのは、痣だったんだ。
『アンタ!裁判で、バラバラになるって。何してくれたのよ。』
『そうだ、父さんも母さんも気に入ってたんだ。雰囲気もなのに。お前のせいで…』
「………。に…こ。」
『気持ち悪りぃんだよ!いっつもヘラヘラしやがって』
『こんっの_____g______のおま_____んか______にし_________』
『西のき_______だからって、_______住所な_____いみ____________』
「にこ。にこにこ。にこにこにこにこにこにこにこ。」
『気持ちが悪い。_______に_________お前が_________ら良かったのに。』
『もう、_____________に使う。____ト____ス_______発散_______な?_____』
「チェシャ!?」
『な。チェシャ、クルトはどこ言った。』
『ま、まずい、このままだと、おいらは…。』
『くっそ。ありす、チェシャは、西の王国の113___の6番地に_____い!』
『ど_____うか、____あ______つ_____てやって______れ!』
ハートの女王のが途切れ途切れに言う。チェシャは!?どうなっ_______
真っ暗、真っ暗。あれ…。視界が………
ハッと目が覚める。さっきのはなんだったのか。分からないが、とにかくクルトに合わなければ。
[お父様方、ありすくん。起きましたよ。]
『なっ、良かった。ありす。急に倒れて、一週間も目を覚まさなかったんだ。』
『心配したのよ…』
「………」
絶対心配してない。声色でもう分かる。ハッキリ言ってやろう。今までのこと、あの不思議な世界であったこと。クルトが連れてきてくれたこと。絶対、非合理的と言われるだろうけど、絶対後悔させない。
「心配してないくせに」
『はぁ!?何言ってるのよ。お前っ』
チェシャがいや、クルトが挑発してたように…。
「ほら、もう出てるじゃないか。本性が。じゃあこの痣は何?殴ったからでしょ?僕のことを。忘れたとは言わせない。」
『っ!!そ、そんなこと、するわけないじゃない!』
『わ、我が子をそんなことしないぞ』
「そう言ってさ、偽物の愛情を注いでさ、何がしたいの?無理やりやらされてきて、もう飽きちゃったよ。その思考。僕と君らは、違う人間なんだ。恐怖で支配したって、いつかはこうなる。わかってたんだろ?」
『なっ、何が言いたい。』
「ほーら、認めたよ。自分が有利になるようにさぁ?ねぇ?どう思う?今まで散々従わせてた、息子が反発して、論破される気持ちどう?裁判する?」
『っ!どうすんのよ。あなた、裁判なんて起こされたら…。』
『そんなこと、分かんないだろ!』
「こんな時に喧嘩ですかぁ?見苦しいですね。結局権力に頼ってただけじゃん。じゃ、僕は、警察呼ぶから。」
『まちなさい!』
「警察官さん。」
「はい。!ありすくん!?今まで行方不明になっていたんだよ。」
「やっぱりですか。もう、辞めたんですよ。従い続けるの。もう少しで、追ってくるので、証拠写真集めてきたので、、」
「変わったね。前、確保した時には、ひたすら謝ってたのに。でも、慌ててるってことは、何か用事が出来たのだろう?」
「!ぁっ、に、西の王国の113の6番地に行かせてください!どうしても、今じゃなきゃダメなんです!!」
「だってよ、うちの王国の貴族の息子が言ってるんだ。すまんが俺は、君の証拠を確定させる。から。頼んだぞ。マッド」
「!マッド…?」
「ん?君、早く行くんでしょ。行かなきゃね。」
「あ、はい!」
急展開だが、間に合うのだろうか。逃げ出すのと実際の体に慣れるのに時間がかかり、結構日が暮れてきている。チェシャっ…、絶対、生きててよ
「西の王国、結構遠いんだ。でも、使うよ。君は、両親に監禁されていたから分からないだろうが、瞬間移動がいまあるんだ。まだ、完全に安全ではないから、こういう警察とかしか使えないんだけれどもね。行くよ。」
「はいっ」
「ついたよ。じゃあ、いってらっしゃい。健闘を祈る。」
ここまで繋いできてくれたんだ。絶対、チェシャを、僕を救ってくれたように今度は、僕がチェシャのことを救う。
『あ、あの、誰ですか?関係者以外、立ち入り禁止ですよ。』
「ち、違うんです!僕、クルトくんと、待ち合わせする約束、したんです!」
『なぜ、他者がクルトの名を知っている。』
「知り合いなんですよ!クルトくんも僕のこと絶対知ってますって」
『そんなの、分からないじゃないか。通すわけには行かない。』
っ!?銃だ。本物の
『動くなら。打つぞ。』
「なんでっ。僕は、ただ、クルトくんを助けたいだけなのに…なんで!?」
『お前が知らないものだからと言ってるだろう!?』
「っ…。こんなことしてる暇、ないんだよ!今すぐにでも
クルトくんは、仮死状態なんだよ!!」
『なっ…。なぜそれを知っている。』
発砲される。僕の心臓は、狙ってないようだが。腕にあたり、出血している。やはり痛い。でも、
「僕は、行かなきゃなんないの!行かせて!」
『っ…!なぜそこまで、粘る。』
「なんでって?僕がクルトに救われたからだよ!恩を返すの!絶対に」
もう時間がない。怯んでいる警備員の隙を縫って館内に入った。後ろから打たれたせいか、腕に力が入らなくなっている。
「っ…、どこだっ」
探してる暇はない、急にあの世界が消えたと言うことは、それだけでかいことがクルトの身に起こったと言うこと。なのに、僕は、なんで。何も出来ないんだ。
『いたぞ。』
発砲される。なすすべがなく、両腕と片足を射抜かれた
「っ________!」
猛烈な痛みが走る。痛い。痛い。でも、助けなきゃ
『お前、何が目的だ。』
『教えてあげよう、何を思ったか分からないが、クルトはいま、人間不信になっている。貴様が言ったところで何も起きないだろう』
銃声が聞こえる。心臓をうたれた。痛い.まもなく僕は出血死するだろう。でも
「知ってるよっ。そんなっ…こ…と。……。妄想と区別がつかないことなんかとっくに知ってる。だからっ」
くっそ、足に力が入らない。這いつくばって行くしかないのか……
今回長すぎた。スミマセン…次回完結☆