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私
の名前は白崎綾香(しらさきあやか)。
この私立高校に通う2年生だ。
私が通う学校は女子校のため、入学希望者が多い割には倍率が低い。
その理由としては共学に比べて圧倒的に可愛い子が多いからだと言われているが、実際は違うと思う。
確かに見た目のレベルが高い子はたくさん居るけど、それだけでは合格できないほどの難関試験をクリアしてここに来ているんだからね。
でもやっぱり一番の理由はアレだと思うんだよ。
「お姉さま~!」
「今日こそ一緒に帰りましょう?」
「ねえ、あたし達と遊ぼうよ」……うん、もう慣れた。
毎日のように繰り返される光景だけど、これが私の日常になっていると言ってもいいくらいだ。
だって教室の出入り口付近で待っているあの3人組を見なかった日なんて1度もないもん。
ちなみに彼女たちは同じクラスの生徒ではないんだけど、どういう訳かいつもここで待機している。
最初は何事かと思ったけど今ではすっかり慣れてしまって特に気にしていない。
「ごめんなさい……」
私は深々と頭を下げて謝罪した。
「うわあああん! 私のこと好きじゃないんだぁ!」
彼女は泣きながら走り去ってしまった。
「えっと……」
一人取り残された私は困った顔を浮かべるしかなかった。
何故このような事態に陥ってしまったかというと――
時は少し遡る。
***
私はいつものように学校からの帰り道を歩いていた。
今日は待ちに待った入学式当日。
ついに高校生活が始まる日だ。
昨日の夜はほとんど眠れなかったけど今朝はいつも以上に早起きして身だしなみを整えた。
鏡の前で何度も髪型を確認した後、制服を着てブレザーのボタンを留めてネクタイを結んだ。
「うん! なかなか似合ってるんじゃないか?」
鏡を見ながら笑顔を浮かべていると母さんがやってきた。
「あら~、悠ちゃんおはよう。すごくカッコイイわよ!」
母さんの褒め言葉を聞いて僕は照れくさくなった。
「あらあら可愛いわね〜♪ この子は将来きっと大物になるわよ!」
「もう……子供じゃないんだから」
でも本当にそうなれたらいいなと思う。
今までの人生を振り返ると色々あったけど、結果的に今の自分が一番幸せだと感じるからだ。
そしてこれからどんな困難があっても乗り越えていけるような気がしている。
だって今度こそ本当の意味で人生をやり直せるのだから。
【END】
『あとがき』
お疲れさまでした! 最後まで読んでくださった方はありがとうございます!! これにて完結となりました! 楽しんでいただけたでしょうか? もし気に入っていただけたら評価してもらえると嬉しいです。
それではまた次の作品でお会いできれば幸いです。
『あらすじ』
高校二年生となった少年はある日交通事故に遭ってしまう。
その結果彼の身体は植物状態となってしまい、家族たちは絶望に打ちひしがれていた。
しかし奇跡的に意識を取り戻すことに成功する。
こうして目を覚ました少年は事故によって記憶喪失になっていたのだが、家族の支えもあり徐々に以前の自分を取り戻そうとしていた。
「俺の名前は……確か……」
だがまだ完全に思い出せずにいた。
そこで少年はある少女と出会い、共に生活していく中で記憶を取り戻していく事になる。
これは過去の自分に別れを告げる物語。
「初めまして! 私は貴方のお嫁さんになる者です!」
ある日突然、少年の前に一人の女の子が現れた。
彼女は記憶を失っている少年に対して、まるで恋人のように接してくるようになる。
最初は戸惑っていたものの次第に彼女に好意を抱き始めるようになり、遂にはその気持ちを受け入れて交際を始める事になった。
それから二人は幸せな日々を過ごす事になり、やがて結婚して夫婦となる。
そして子供が生まれ、家族四人で仲良く暮らしていった。
だけどそんな幸せは長く続かなかった。
「なんでよ!? なんで私が選ばれないの!?」
なぜなら彼の妻となった女性には隠された秘密があったからだ。
それを知った少年は彼女に対する愛情を失い、同時に激しい後悔を覚える。
自分が好きになったのは本当に彼女の中身なのか? それとも外見だけに惹かれたのではないだろうか? 彼女と一緒にいた時間は楽しくて充実していて幸せだったけど、それはただ単に表面上だけのものだったのではないか? 彼女と別れてからその事に気付き後悔したがもう遅い。
自分は一体何を間違えてしまったのだろう? いや、そもそも最初から間違っていたんだろう。
あの時ああしていれば……なんて考えても後の祭りだし、取り返しがつくことじゃない