TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

会社から少し離れた場所にあるオシャレなカフェレストラン。



本宮さんが選んでくれた。



私は何度か来たことがあるけど、ここはあまり会社の人は来ないお店だ。



穴場だと思ってた好きなレストラン。



本宮さんは、メニューを見ている。



ただメニューを見てるだけなのに絵になってるからすごい。



それを、店員の女の子がうっとりした目で眺めてる。



そうだよね…



こんな綺麗な顔の人、滅多にお目にかかれるもんじゃないよね。



うん…



確かに素敵な人。



だけど…



やっぱり怖い印象が抜けない。



本当に強引だし。



何だか、一弥先輩の笑顔が恋しくなる…



あ、まただ…



気付いたら思い出してしまってる…



『恭香。お前に話がある』



オーダーを済ませた本宮さんが、いきなり私に言った。



『あ、はい…』



『恭香って、一人暮らしだよな』



『え!?そんなこと誰から聞きました?』



『…秘密』



なんかプライベートを覗かれてるみたいで嫌だ。



『…秘密って…それで一人暮らしだから何ですか?』



不信感たっぷりで聞いた。



『明日から恭香の部屋で一緒に暮らす』



え…?



何かの聞き間違い?



『黙ってたらわからない』



『あ、あの…今、一緒に暮らすって言いました?』



『ああ、言った』



『ちょっと意味がわからないんですけど…やっぱり私をからかってるんですか?』



私も、さすがにムッとした。



『お前って…俺を何だと思ってる?』



『本宮さん、ちょっと意味わからないです。強引だし、怖いし、一緒に暮らすとか言うし』



本宮さんが鼻で笑った。



またまたムッとする。



本当に嫌かも。



『俺、今の家を出るからお前の家で暮らす。本気だから』



『家を出るって本宮さんは社長宅に住んでるんですよね?』



本宮さんは、少し黙ってから答えた。



『少し考えたいんだ…将来のこと。父さんがいたらいろいろ考えられないから。恭香は一人暮らしだし別にいいよな?』



いいよな?って…いいわけないじゃない!



『私、これでも、一応、女ですよ。本宮さんと一緒になんて無理ですから』



『もう決めてるから、明日から頼む』



そんな…



強引過ぎるよ、本当。



『お断りします』



『恭香…そんなこと言わないで。俺はお前のところしか行くところがないんだ』



少し甘えたような口調。



また…ギャップ。



わざと使い分けてる?



だけど…



こんなカッコイイ人にいろいろ言われてたら、だんだん訳わかんなくなってきた…



怖い?



優しい?



迷惑?



嬉しい?



でも…



時々見せる本宮さんの優しい目が、心からこの人を嫌いにさせてくれなかった。



ほんの少しだけユラユラ揺れる感覚に陥ってる私。



こんなの初めてだよ…



あんまり男の人に慣れてないからなの?



私、本宮さんのペースにハマってしまった?



とにかく冷静にならなきゃ。



一緒に住むなんてやっぱり無理だし。



まだまだ私、この人を信じられないよ…



忘れてたけど…



本宮さんは、今日、初めて会った人なんだから。



『とにかく今日は食べたら帰ります。コピーも考えたいですし』



『仕事熱心なんだ』



『今日、なんか集中出来なかったんで』



あなたのせいでもあるんだから…



『明日…本当に行くから』



『そんなこと言われても…』



『行くよ。恭香が嫌だって言っても』



めちゃくちゃだよ。



だけど…



よくわからない、全然わかんないけど…



私…



絶対嫌だって…言えなくなってた。



『部屋、汚いですから…』



『そんなこと気にしなくていい』



本宮さんは、目の前のパスタを食べ始めた。



私も…グラタンに手を伸ばした。



ちょっと気まずい。



少し冷めていて味もよくわからなくて、食べた気がしなかった。



会話もほとんど無いまま食事を終えて、私達は店を出た。



本宮さんがタクシーを拾ってくれ、



『駅まで』



って、私だけを乗せてくれた。



本宮さんの香水が別れ際に優しく香って…



ちょっと…



ドキドキした。



私、変かな…

私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!

作品ページ作品ページ
次の話を読む

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚