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コンコン、とドアの鳴る音がする。
レイチェルかラグレスだろうか?
「入れ」
偉そうな口調になってしまうのは許して欲しい。
すると、緑の髪と瞳を持ち、メイド服を着た少女だった。
「陛下の夕食をご用意致しました。」
と話した少女は何故か震えている。
そういえばもう夕方だった。
にしても魔王になったばっかりなのにメイドが夕食を届けに来るって早くない?
机に置かれた夕食は、量が多かった。
自分1人では食べきれないし、後で量を少なくしてと頼んでみよう。
そうだ、このメイドにも食べてもらおう。
「ありがとう。だけど我1人ではこの量は食べきれないから、一緒に食べて貰えないだろうか?」
そう首を傾げて言うと、メイドは顔を真っ青にし震えだした。
なんで震えてるの!?
我何かしましたか…?
「いっいえ!こんな私と食べてもきっと陛下は楽しくないですよ!」
そんな馬鹿な。
「駄目か?」
頑張って目を涙目にして問いかけてみる。
「うっうう…ご一緒させて頂きます!」
可哀想だが泣き落としというものを使わせてもらった。
何がともあれこのメイドも一緒に食べてくれるのはとても嬉しい。
部屋に置いてあったメイドを座らせる用のもう1台の椅子を机の近くに置いた。
何故かメイドは謝罪をしながら椅子に座ったが、気にしないことにする。
「いただきます」
メイドも座った事だし、食べることにする。
机に置かれている夕食は、ハンバーグや肉料理などがあった。
ごく普通の夕食で安心した。
というか転生した世界でも食文化変わらないのはとても嬉しい。
早速ハンバーグをフォークとナイフで切ってからいただく。
「む、美味しい…!」
食べてみたら、お店で食べるような絶品の味だった。
例えるならムシュランのお店だろうか。
「こ、このお料理も美味しいです…!」
メイドも絶賛していた。
「そういえば君の名前はなんだ?」
気になっていた事を聞いてみる。
「えっ!?名前…ですか?でも陛下が私の名前を知られても何も得はしませんよ…?」
「得しないなんて事はないだろう、知ったら我が喜ぶ。」
流石にメイドの名前は知っておいた方がいいだろう。
覚えておきたいし。
「うっうう……名前は、ス、スピカ・ネークスです…」
スピカちゃんか。
しっかりと胸に刻んでおこう。
そうだ、もっとこの世界について知りたいからスピカに聞いてみよう。
「そういえばスピカ、我はいわゆる世間知らずなんだ。色々と教えてくれないか?」
首を傾げて聞いてみる。
「私で良ければ……陛下のご命令でしたら、なんでも教えますよ。」
これは嬉しい。
まずは何を聞こうか。
「たくさんの種族がいると聞いている。どんな種族がいるんだ?」
そういえば自分は吸血鬼族と獣人族のハーフだし、他にも種族はいるはずだ。
「種族の事は基本私達は魔族と呼んでいます。私達メイドは妖精という魔族で、他にはエルフ族、小人族、鬼族、そして吸血鬼族と獣人族がいますね。あとは魔獣がいます。」
なんと!魔族と呼ぶのか。
たくさん魔族がいるんだなぁ。
人間は住んでるのか気になる。
「そういえばスピカ、魔界には人間は住んでないのか?」
人間は住んでいないと個人的に予想する。
「そうですね…大昔には少人数ですが住んでいたと聞きましたが、今は聞いたことがありません。そもそも今は人間と魔族は敵対関係にありますし…」
敵対関係か…
いずれは敵対関係ではなく友好関係にしたいところ。
「そうなのか、わざわざありがとう。」
「いっいえ!お役に立てましたら幸いです!」
そういえばいつの間にかスピカ震えなくなってる。
もしかして緊張してたのだろうか?
とにかく緊張が解けてよかった。
「「ごちそうさまでした 」」
夕食を食べ終わり、皿を片付ける。
ロアが皿を片付けているのを見て、スピカは何故か焦っていた。
「へっ陛下はゆっくりしてください!私の仕事なので!」
「あっぁ……ありがとう…?」
少ししょんぼり。
まぁ仕方ないか。魔王だし。
スピカと仲良くなれて結果オーライ。
「しっ失礼します!」
皿が片付け終わったのかスピカがドアを開けて部屋から出ようとする。
「ス、スピカ!」
ロアがスピカを呼び止める。
「は、はい!なんでしょうか?」
スピカとはまたお話したいし、また一緒にご飯を食べたりしたい。
「また会う機会があれば、我とまた話そうな…っ」
「………はい!陛下が私で良いのなら!」
そう言ってスピカは部屋から出ていった。