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「ねぇ、今日も買い出し行く?」
リビングで、のあさんが聞く。
「昨日結構使ったしね」
ヒロくんも頷く。
「じゃあ俺行くー」
ゆあんくんが手を挙げる。
「俺も」
うりが立ち上がる。
「……もふくんは?」
少し間を置いて、のあさんが聞いた。
「俺も行くよ」
変わらない、優しい声。
―――
外は、いつも通りの街並み。
人通りも多くて、特に変わった様子はない。
「今日暑いな〜」
「ほんとそれ」
ゆあんくんとうりが軽く話す。
その横で。
「……」
もふくんが、ふと足を止めた。
「もふ?」
うりが振り返る。
「……いや」
すぐに歩き出す。
「なんでもない」
でも。
その目は、どこかを見ていた。
―――
スーパーでの買い物も終わり。
帰り道。
「結構買ったね」
「重っ……」
ゆあんくんが笑う。
その時。
「……」
もふくんの足が、また止まる。
「どうしたの?」
のあさんが聞く。
「……」
答えない。
ただ——
後ろを見る。
「……誰かいる?」
ヒロくんが静かに言う。
「え?」
ゆあんくんも振り返る。
でも、特に誰もいない。
「気のせいじゃない?」
のあさんが言う。
「……」
もふくんは、何も言わない。
「行こ」
それだけ言って、歩き出す。
―――
その少し後ろ。
「……」
人混みの中に、1人の男。
フードを深く被っている。
その視線は——
まっすぐ、もふくんたちに向いていた。
「……見つけた」
小さな声。
誰にも聞こえない。
―――
「ねぇ、ほんとに誰もいなかったよね?」
ゆあんくんが不安そうに言う。
「うん……」
のあさんも少し気にしている様子。
「……」
ヒロくんは黙っている。
そして。
「……気づいたか」
うりが、小さく呟いた。
「え?」
「いや、なんでもねぇ」
軽く笑う。
でも。
「……」
もふくんは、はっきりと分かっていた。
あの視線。
あの気配。
「……来たか」
ほんの小さな声。
誰にも聞こえないくらいの。
でもその目は——
完全に、変わっていた。
―――
その夜。
シェアハウスの外。
「……」
あの男が、建物を見上げる。
「間違いねぇな」
低い声。
「無敗の——」
そこで言葉を止める。
ニヤリと笑う。
「……面白くなりそうだ」
その一言。
静かだった日常に——
確実に、“何か”が入り込んでいた。