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「今日も暑いな〜」
シェアハウスを出て、ゆあんくんが空を見上げる。
「ほんとだね」
のあさんも苦笑する。
「さっさと行こ」
うりが歩き出す。
その後ろを、もふくんが静かについていく。
―――
しばらく歩いたところで。
「……」
もふくんの視線が、横に流れる。
「……やっぱり」
小さく呟く。
「もふ?」
うりが気づく。
「……来てる」
その一言。
「え?」
ゆあんくんが戸惑う。
次の瞬間。
「おい」
低い声が、前からかかる。
「……!」
顔を上げると、数人の男。
昨日の“嫌な雰囲気”とは違う。
もっと、はっきりとした敵意。
「探したぜ」
その言葉に。
「……」
もふくんとうりの空気が、変わる。
ほんの一瞬だけ。
「誰?」
のあさんが不安そうに聞く。
「さぁな」
うりが軽く答える。
でもその目は——
笑っていない。
「お前らの中にいるだろ」
男が一歩前に出る。
「“無敗”って呼ばれてたやつが」
その瞬間。
「……!」
ゆあんくんが息を呑む。
ヒロくんの目も、鋭くなる。
「……何のこと?」
もふくんが、静かに言う。
いつもの声。
変わらない表情。
「とぼけんなよ」
男が笑う。
「こっちはちゃんと調べてんだ」
じり、と距離を詰める。
「……」
うりが、少しだけ前に出る。
でも。
「やめて」
もふくんが止める。
小さな声。
でも、はっきりと。
「ここじゃダメ」
その一言。
「……」
うりは、止まる。
「……ちっ」
小さく舌打ち。
「逃げるのか?」
男が挑発する。
「……」
もふくんは、何も言わない。
ただ。
「行こ」
それだけ。
そのまま歩き出す。
「……は?」
男たちが一瞬戸惑う。
その隙に。
全員で、その場を離れる。
―――
少し離れた場所で。
「ちょ、ちょっと待って!」
ゆあんくんが声を上げる。
「今の何!?」
「“無敗”って……」
のあさんも不安そうに言う。
「……」
ヒロくんは、黙って2人を見る。
「……」
うりは、何も言わない。
そして。
「……ただの勘違いだよ」
もふくんが、静かに言う。
「関係ない人たち」
優しい声。
安心させるように。
でも。
「……」
誰も、納得していなかった。
「……帰ろ」
うりが短く言う。
そのまま歩き出す。
いつもの軽さは、なかった。
―――
帰り道。
誰も、あまり喋らなかった。
「……」
空気が重い。
さっきまでの平和は、どこかに消えていた。
そして——
「(やっぱり)」
ヒロくんは確信する。
「(この2人、ただ者じゃない)」
その答えに、近づいている。
でも。
まだ、全部は分からない。
ただ一つ。
「(隠してるものがある)」
それだけは、確実だった。
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