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ゆゆゆゆ
#Paycheck
夜。
ケーキの箱は空。
フォークはシンク。
エリオットはソファに座っている。
少しだけぼんやりした顔。
さっきまでの緊張。
全部抜けてる。
チャンスはそれを見ている。
壁にもたれて。
腕を組んで。
静かに。
エリオットが小さく言う。
「……眠い」
チャンス。
「だろうな」
エリオットはそのままソファに倒れ込む。
ごろん
クッションに顔を埋める。
そのまま動かない。
チャンスがため息。
「おい」
エリオット。
「んー…」
チャンス。
「そこで寝るな」
エリオット。
「ここでもいい…」
声がもう半分寝てる。
チャンスは少し黙る。
それから歩いて近づく。
エリオットの横に立つ。
見下ろす。
金髪。
無防備な顔。
さっきまで屋敷にいたやつとは思えない。
チャンスが小さく言う。
「エリオット」
「……ん」
「ベッドで寝ろ」
エリオット。
「動けない」
チャンス。
「動け」
エリオット。
「無理」
チャンスは少しだけ笑う。
「ガキか」
エリオットはうっすら目を開ける。
そして――
ネクタイ。
ぐい
チャンスが少し前に引かれる。
チャンス。
「……」
エリオット。
眠そうに笑う。
「チャンス」
「なんだ」
エリオット。
「連れてって」
チャンス。
「……」
少し沈黙。
それからチャンスはしゃがむ。
エリオットの腕を取る。
「ほら」
エリオット。
「んー…」
ふらっと立ち上がる。
少しよろける。
チャンスが支える。
「ちゃんと歩け」
エリオット。
「無理」
チャンス。
「……」
半分引きずるみたいにして。
ベッドまで連れていく。
小さな部屋。
ベッドにエリオットを座らせる。
そのまま。
ぽすん
倒れる。
完全に力が抜けてる。
チャンスが布団を引っ張る。
かける。
エリオット。
もう目が閉じかけてる。
それでも。
手が動く。
ネクタイ。
ぎゅ
チャンス。
「……離せ」
エリオット。
「やだ」
小さな声。
ほぼ寝言。
チャンスはため息。
でも。
そのままにする。
ベッドの横に座る。
エリオットの手。
ネクタイを掴んだまま。
チャンスはそれを見て。
少しだけ優しく笑う。
エリオットが小さく呟く。
「チャンス」
「ん」
「いる?」
チャンスは短く答える。
「いる」
エリオット。
安心した顔。
そのまま。
すぐに寝息。
静かな部屋。
外の音は遠い。
チャンスはしばらくそのまま。
動かない。
ネクタイを掴まれたまま。
逃げない。
ただ。
そこにいる。