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『早く美晴と別れて欲しいなぁ♡ いつ別れてくれるのぉ?』
『美晴をいっぱいいぢめて追い出すつもりでしゅよ♡』
『最高♡ みきくんを今日はいっぱい可愛がってあげるね!』
『はあん♡ はやくこずたんと一緒になりたいでしゅ♡♡』
『じゃあ、今日もイッパイ中で出して♡』
『妊活♡ はやく♡ こずたんの中でイキたい♡♡』
こずえは美晴を追い出して幹雄と結婚するつもりのようだ。計画的に妊活も行っている様子が気持ち悪いメッセージのやり取りから読み取れる。まだ離婚もしていないうちからよくやるな、と呆れた。正直言ってこんな気持ち悪いやり取りを見たくないが、証拠として保存しなくてはいけないので最低限目を通している。読めば必ず嫌な気分になるものばかりだった。
(私を裏切ったこと、後悔させてやる!)
――美晴さん、そろそろ相手にアクションを起こさせましょう。こちらからあなたを手助けする品をご自宅へ送りました。有効に使ってください。
アプリからのメッセージを受け、翌日小さな荷物を受け取った。差出人はどこかのロジティクスからで、中身は粗品と記載されていた。怪しまれないための配慮なのだろう。さらに幹雄がいない昼間の時間帯指定で送ってくれている。ありがたい配慮だった。
届いた荷物を早速開けると、小型の盗聴器と専用のレシーバー、ペン型ボイスレコーダー、旅行のペアチケット、更に名刺サイズにQRコードが書かれたものが入っていた。いったい、なにに使うのだろう。
――旅行のチケットが届きました。これはどうすればいいのでしょうか?
『美晴さんの夫に、懸賞で旅行チケットが当たったと伝えてください。場所は近隣の温泉施設の宿泊券です』
――わかりました。それでどうすればいいですか? 伝えるだけでいいのでしょうか?
『はい。恐らくそのチケットは横取りされると思いますので、そのまま彼に渡してください』
――でも、それじゃあ不倫旅行をさせるだけってことですか?
『いいえ。美晴さんにも宿泊してもらいます。あなたの分はそちらのQRコードを読み取って、同じ日に宿泊できるように準備してください』
確認すると一泊十万円もする施設の部屋だった。アプリの言う通りこんなにいい部屋だったら幹雄が横取りしてこずえと行くに違いない。その現場を押さえろというのだ。
ペン型ボイスレコーダーはポケットに忍ばせておくだけで録音ができるものだった。動画も撮れるようなので、スマートフォンを向けて撮影するよりも簡単にできる。
――小型の盗聴器は旅行鞄にでも仕込んでください。二日ほど充電がもつものを用意しました。ペン型ボイスレコーダーは現地でうまく利用してください。見つからないように気を付けてくださいね。
アプリから詳細に指示を受けた。
まずはQRコードを読み取ってURLを保存した後、名刺サイズの紙はシュレッダーにかけるようにとの指示。次に幹雄の旅行鞄を確認した。鞄の底が固くなっていて、小型の盗聴器を仕込むにはちょうど良いものだった。底に仕込んでおけばわからないだろう。
美晴はアプリの指示通り早速行動を開始し、こずえに連絡を取った。