テラーノベル
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ととばなな様からのリクエストストーリーです!
ととばなな様の案と私の妄想で書いた物語なのでご本人様とは一切関係ありません。
レトルト×キヨ
楽しんで頂けると嬉しいです。
スタートヽ(*^ω^*)ノ
Top Four Dominion
— World of Witches and Beasts —
夜が長くなったのは、いつからだっただろう。
誰も正確には思い出せない。
ただひとつ確かなのは、
——この世界は、少しずつ何かに侵食されているということだった。
森は静まり返り、獣の気配は薄れていった。
それでも人々は、まだ安心していた。
動物達が崇める存在一一一
赤い頭巾を被った少女と、 その祖母。
森を守る者として、彼女たちはいつも微笑んでいた。
——けれど。
誰も知らない。
夜が最も深くなるその時間、
森の奥で”何が失われている”のかを。
この世界には、さまざまな種族が生きている。
大地を駆ける獣人。
空を統べる鳥人。
深い水底に暮らす魚人。
そして——人間。
それぞれがそれぞれの領域を持ち、時に交わり、時に距離を取りながら、奇妙な均衡を保っていた。
だが、その均衡が静かに崩れ始めている。
獣人の数が、減っていた。
理由は誰にも分からない。
ただ、“森に入った者が帰ってこない”という話だけが、噂のように広がっていた。
——そんな森の縁で静かに暮らす1人の男。
名前はキヨ。
獣を狩り、森と生きる男。
キヨの家系は、代々猟師だった。
父も、その父も、さらにその先の代まで。
森の中で生き、森の中で狩りをし、そうして命を繋いできた。
獲物を追い、命をいただくこともあれば、
傷ついた獣を癒し、群れへと返すこともある。
森に生きるすべての命が、正しく巡るように。
それが、この家に生まれた者の役目だった。
朝になれば、鳥人たちが空を横切り、
川辺では魚人たちが静かに水面を揺らす。
獣人たちは森の奥で暮らし、
人間はその縁で火を灯して生きる。
種族は違えど、互いの領域を尊重しながら、
この世界は穏やかな均衡の上に成り立っていた。
キヨもまた、その一部だった。
森に入り、風を読み、足跡を追い、
必要な分だけを狩る。
それ以上でも、それ以下でもなく。
ただ、当たり前のように。
ある日、キヨのもとにひとつの依頼が届いた。
赤ずきんを、祖母の家まで護衛してほしい——というものだった。
森を越える道は整備されているとはいえ、野生の獣や、気まぐれな魔物に出くわすこともある。
猟師に護衛を頼むのは、決して珍しいことではなかった。
だが、その依頼主の名を見て、キヨはわずかに眉を上げた。
赤ずきんの祖母。
かつて、一部の人間によって進められた大規模な森林伐採を食い止めるために尽力した人物。
森に生きる者たちと人間との間に立ち、争いを鎮め、 この地の均衡を守った立役者でもある。
動物たちに愛され、崇拝されている人物。
——森に選ばれた人間一一
そう呼ぶ者も少なくない。
キヨもまた、その名を知らないわけではなかった。
そんな人間の孫がお見舞いに来るというわけで家までの道中、危険が及ばない様に護衛をしろ。
との事だった。
「……ずいぶん過保護だな」
キヨは依頼書をたたみ、静かに立ち上がった。
いつも通り、必要な道具を揃え、銃の手入れを済ませる。
森に入る準備は、それだけで十分だった。
——そして、護衛の日。
森の入り口に立ったキヨは、思わず足を止めた。
そこにいたのは、ひとりの少女。
遠目からでもはっきり分かるほどの、鮮やかな赤い頭巾。
木々の緑の中で、それはあまりにも目立ちすぎていた。
(……森に入る格好じゃねぇだろ)
思わず心の中で呟く。
獣に見つけてくれと言っているようなものだ。
少女はそんなことなど気にもしていない様子で、 のんびりと周囲を見回していた。
キヨは小さくため息をつき、歩み寄る。
「こんにちは。俺はキヨ」
少しだけぶっきらぼうに、それでも礼儀は崩さずに名乗る。
「今日は、あんたを祖母のところまで護衛する」
キヨの挨拶に、赤ずきんはにこにこと笑いながら答えた。
「よろしくね!キヨさん!」
手に抱えたカゴを軽く揺らしながら、聞いてもいないのに明るい声で赤ずきんは言う。
「この中にはお菓子とぶどう酒が入ってるのよ。おばあちゃん、これが大好きだから。」
そう言うと、赤ずきんは軽やかな足取りで森の中へ歩き出す。
木漏れ日が頭巾の赤を照らし、まるで森を鮮やかに染めるかのようだった。
キヨは黙ってその後ろをついて行く。
今のところ危険な気配はなく、ただ森の静けさと少女の無邪気さが漂うだけだった。
道中、赤ずきんはキヨにあれこれ話しかけた。
好きな花のこと、学校での出来事、森には怖い狼が潜んでいること。
それから、おばあちゃんが昔この森を守った話まで。
聞かれてもいないのに、口を止めることなく次々と話す赤ずきん。
キヨは適当に相槌を打ちながら、周囲に目を配る。
道の左右から覗く茂みや風に揺れる枝のざわめきに注意を払いながら、護衛という仕事に集中していた。
赤ずきんの無邪気な笑顔の奥には、どこか目を離せない不思議な力の気配があった。
森の静寂の中で、赤ずきんの存在だけがほんの少しだけ空気を変えている。
キヨはそのことに気づきながらも、何も言わずただ前を歩く小さな女の子の後ろ姿を見守るのだった。
しばらく森の中を歩いていると、キヨはふと、何者かの気配を感じ取った。
長年、この森で生きてきた勘が告げている――すぐそばに、何かがぴたりと張り付くようにしてついてきている、と。
その存在は不自然なほど距離を保ち、近づきもせず、離れもせず、静かに後ろを追ってくる。
キヨは息をひそめ、慎重に足を運びながら、その気配を逃さないよう、注意深く森を見渡した。
静かな森の中、かすかな葉のざわめきさえも、まるでその存在を告げる合図のように思えた。
何者かの気配を感じつつも、キヨは赤ずきんの護衛に全神経を集中させていた。
森の木々の隙間から、黄色く光る瞳がじっとキヨを見つめている。
しかし、その存在に、まだキヨは気づいていなかった――。
続く
コメント
8件

し、新作だぁぁ!!!ヤバい好きすぎる死にそう…w この世の全てに感謝しに行ってきます(?)

リクエストに答えていただきありがとうございます!!😭😭😭︎💕︎💕 私のわかりづらい説明をここまで素晴らしい文章にしてくださって、本当に感動しています、、、読んでる最中ずっとにやけていました笑 展開もしっかりしていて、ほんとうに尊敬します✨✨ 改めて、書いていただきありがとうございます😭🙇♀️続きも楽しみにしてます🥰

なんかもう凄いです𐤔𐤔𐤔 すごく複雑そうで考察がすごく楽しいです! (すごいばっかですみません- ̫ -) これを楽しみに頑張って生活します𐤔𐤔𐤔