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病室を出て、熱くなった顔を冷まそうと廊下を歩いていると、自動販売機の横に小谷先生が立っていた。先生は缶コーヒーを手に、真っ暗な外を眺めている。
「……朝倉か。遥はどうだ」
「あ、先生。……今は、少し落ち着いたみたいです」
「……そうか」
私は先生の隣に並び、同じように外を見た。沈黙が流れる中、先生がふと口を開く。
「……朝倉は、何かを迷ってるように見えるな」
「えっ、成瀬先輩から聞いたんですか?」
私が驚いて聞き返すと、先生はフッと口角を上げた。
「詳しくは聞いてないが、あの二人のバチバチを見てたらなんとなくな。男の勘ってやつだな」
「先生に恋愛相談するのは、なんか嫌です」
「なんだよそれ」
先生が少し呆れたように笑う。その横顔は、部活の時の厳しい顧問の顔ではなく、どこか柔らかかった。
「嘘ですよ。……でも、私、今人生で最大の岐路に立っている気分なんです」
「受験の時よりか?」
「受験って、自分だけの問題じゃないですか。でも、恋愛って他の人を巻き込んじゃうじゃないですか。私は、巻き込んでしまってる側なんですよ、いつからかこうなってしまって」