あたりを伺いながら足を踏み入れ、迷った時にもあった迷路のような高い生垣の陰に隠れながら、こちらから住居施設をのぞいた
その時暗がりの方から、数人の人だかりが生垣に近づいてきた、何やら大きな物を数人で運んでいる
私は生垣に隠れ、葉の間からじっと目を凝らした
一人の男が止めてある車の後部座席を開け、次にもう二人の男が担いできた大きな荷物を、ドサリと地面に落とした
それはダクトテープで縛られていた人間だった、オリーブ色の見覚えのあるTシャツ、長めの黒髪、ジーンズ、コンバースハイのスニーカー
ああ!私は顔を両手で覆った
なんてこと!柚彦君だ!口にガムテープを張られてぐったりしている
心臓がねじれ、氷のような恐怖と狼狽の鉤爪が食い込む
私は息が苦しくて暗闇から浮上した
男たちの一人は見間違う事がない、俊哉だった、後は見覚えがないが俊哉の手下みたいな男が二人、柚彦君を車に押し込もうとした時、柚彦君が暴れた
意識がある!
柚彦君!!
暴れる柚彦君をまた地面に落とし、俊哉達は怒りのままに彼を蹴りはじめた
背中―脚―腹―
体を丸くして抵抗する柚彦君に、俊哉の足がドスッとぶつかるたびに、私は自分の体に打撃を受けているような気がした
よく見ると彼の手足は歯止め付のプラスティックのベルトで縛り上げられている
さらにクの字に体半分に折り曲げらていて手足がひとつにくくられている
ガムテープで口をふさがれている、柚彦君がうめき声をあげる
とても弱っている、いったい俊哉は彼に何をしたんだろう
「とにかく時間がない!こいつをさっさと車にのせろ!!」
俊哉がどなる、手下達は再び柚彦君を車に乗せようと担ぎ上げる
柚彦君が暴れる!
ドサリと落とされる
そして袋タタキにされる
ああ!悪循環だ!
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