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事件現場に到着したリア達。
「ここが遺体のあった場所だ。」と日陰が案内した。現場はもちろん遺体は無いがまだ進入禁止のテープが貼られている。「えっと、石動くんだっけ?気分が悪かったらここで待っててくれ。」とまだ高校生の石動を気遣う日陰を横目にリアはお構い無しにテープの内側に入って行った。「うーん、時間が経ってるのから残穢も無いな〜」と辺りを見回している。「そういえばリアさん昨日のみよさんの件そろそろ時間になりますよ。」と石動が少し離れたところから声をかけた。「そうだね!ねぇ、陽も一緒に来てくれない?多分今回の事件と関係のある人だから。」とリアが言うと少しだけ陽は眉間にシワを寄せて「あ、あぁ…事件と関係があるなら…」とリア達と共に研究所へ戻った。数分後みよが研究所へやってきた。
「えっと、ストーカーってのもあって知り合いの警察にも来てもらってるから。」と日陰の紹介をしているリアだが少し、いやだいぶ日陰の様子がおかしい。普段はクールで落ち着いた大人の雰囲気の日陰だがリアの後ろでオドオドと目を泳がせて冷や汗をかいている。「あの、日陰さんどうしたんですか?急に体調?というか雰囲気変わりましたよね?」と石動が聞くとリアが「あ〜、そうだった。陽って女性恐怖症だった。まぁ気にしないで。」と伝えると石動はよく警察になれたなと言ったような呆れ顔をした。
「改めて質問なんだけど毎晩帰宅中に後ろから気配を感じるんだよね??」とリアの質問に食い気味に「はい!ほんとに怖くて…なにかわかったんですか??」とみよは涙目で訴えてきた。するとリアは「産女(うぶめ)だよ。」
産女とは、出産または妊娠中に亡くなった女性が化けたもので血だらけの腰布をつけ小さな赤ん坊を抱いている妖怪だ。「産女はきっと若くて『まだ子供の産める女性』を狙ってるんだろうね。」とリアは説明する。次に「っと、そろそろ夜になるね。行こうか。」とみよの家の帰路へと向かった。
帰路は暗く電灯もチラホラとしかなく人気のない場所だ。「なんかほんとに出そうですね〜」と少し怯えた様子の石動とその後ろにほぼ喋らず顔を青くしてる日陰。
それを横目にみよと共にどんどんと前を歩いてやはりワクワクとした顔のリア。「いや〜産女なんてまた凄い妖怪に当たったもんだよ。楽しm…じゃなくて怖いな〜」とズンズン進んでいる。数分歩いていると石動は「あれ?そういえばみよさんは?ついさっきまでリアさんの横に居ましたよね?俺たちちょっと後ろから歩いてたから暗くて見えなかったけど…」と石動が言い、一同一瞬の沈黙が流れた。すると近くで女性の叫び声が聞こえてきた。「行こう!ほら!陽、事件だよ!」と日陰の背中を叩いて叫び声の聞こえた場所に向かった。
そこには血まみれの包丁を持って明らかに臓器と思われるものを持ったみよが居た。
日陰はさっきの様子が嘘のように速やかに被害者の様子を見に行った。「ダメだ。亡くなってる。まぁ臓器が抜き取られてるから当たり前だが…」そう言って日陰は来ていたジャケットを遺体に被せて手を合わせた。「ごめんね。まさかこんな堂々と犯行に及ぶとは思って無かったけど。ねぇ?みよさん?いや、産女さん」そう言って日陰と共に手を合わせていたリアが顔を上げるとさっきまでの清楚で静かな雰囲気だったみよが禍々しくでもどこか美しい姿へと変化した。「いつから気がついてたんです?」と地の底から聞こえるような恐ろしい声で質問をしてきた。「あなたが来てからだよ。産女だっていうのは分からなかったしまさかこんな恐ろしいことしてるのも分からなかった。でも人間では無いって事は気づいてたよ。陽から今回の事件の内容を聞いて確信した。今までの事件もあなたが?」とリアは真面目な顔で答えた。「えぇ、だってこの人、いや私が手にかけた人みんな子供なんて要らないって言うのよ?」と産女は涙を流している。日陰が「確かに、被害者はみんな産婦人科に通って居たな。」と資料を見ている。「要らないのなら私が貰ってあげる。だから取ってあげたのよ。」そう言って顔を歪ませて手に持っている臓器を自分のお腹に当てている。「確かに今の時代、子供を授かるというのはみんながみんな幸せとは限らない。でもねそんなことやってあなたの子供は帰って来ない。自分でもわかってるんでしょ?」とリアは産女に近づいた。産女は持っていた包丁を前に出し「うるさい!!あなただって人間じゃ無いのに人間の味方するの?!」と向かって来た。だがリアが隠し持って居た御札に吸い寄せられていった。
「人間の味方って訳じゃない。ただボクはボクが正しいと思う方に味方してるだけ。」そう言って持っていた本に御札を閉まった。すると日陰が「お前…」と顔を曇らせている。石動も同様に「俺、なんにも分からずに依頼受けて…」と不安そうに言った。「いや、そうじゃなくてな、加害者どうすんだよ…上になんて言えば良いんだよ!!」とリアの胸ぐらを掴み激昂している。「あ!そうだったね!ごめん〜。上手くやっといてよ陽って昔からそういうの得意でしょ〜」とヘラヘラしている。石動は「あ、そっち!?」と思わずツッこんでしまった。
間もなくして救急車や日陰が呼んだ他の警官達もやってきて事件は幕を下ろした。
数日後、日陰が研究所に来た。「と、言った具合で被疑者は自殺ってことになったよ。」と事件後の詳細を教えてくれた。「まぁ今回は珍しい事案だったし上も許可してくれたよ。お前の話をしたら少し嫌そうだったけどな。」と続けてリアに報酬を渡した。「ほんとに嫌われてるね〜。ボクそんな嫌われるようなことしたかな〜?」ととぼけている。「でもまぁ今回の報酬でちょっとは生活も余裕が出ますね。」と横で石動が笑っている。「俺そろそろ所に戻る。石動くん今後もリアのこと頼むな。」と日陰が言うとリアが「はいはい、またそんな親みたいなこと言ってほら帰った帰った」と言って日陰は帰っていった。
だがリアは少し笑っていた。
第3話 「見えないストーカー」 完