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リムル「で、夢の羽ってなんかあるの?」
ギィ「…夢の羽な…。夢に出会って少ししたくらいだったな」
ミザリー「ギィ様!!夢様が…!!」
ギィ「夢がどうかしたのか?」
確かその日は大雪だった。
風も強く、横から殴るように雪が降っていて、前が見えないほど白かった。
ギィ「夢…?!」
その日、夢は天間として第一成長を終えたのだ。
元々夢に翼は無かった。昔人間に紛れて過ごせていたのもそのせいだ。
第一成長を終えた日。
白夜城に来てから外に出たこともない夢は初めてバルコニーの大きな扉を一人で開け、翼を使って外に出た。
その日初めて生えた翼で今まで飛んだこともない空を飛ぶのだ。
簡単には飛べない。案の定夢も少し飛んだものの、バランスを崩してすぐに地面に落ちた。
冷たくて、痛いの雪の中に埋もれているはずなのにその時の夢は満面の笑みで笑っていた。
夢「ギィ、私飛べるんだね」
夢「いままで夢にも思わなかった」
夢「私、どこにでも行けるんだね」
その幼い頃から劣悪な環境で育ち、ねじ曲がった価値観を持ってしまった夢にとって自由とは憧れの空想の物で。
空とは自由を象徴するような物だった
地面でしか生きれない者が空を飛びたいと、自由に生きたいと言う。
夢もまた同じように言った。
そして夢はそれが叶ってしまった。
それからは早かった。俺は夢に飛び方を教えた。親鳥が雛に飛び方を教えるように、一から順に丁寧に。
そして飛べるようになった頃には夢は自分の羽に異常なほど執着していた。
その夢の背中に生える白い羽は決して自由になれる翼ではない。
ただ、中を走り回れるだけの物なのに
ギィ「夢はなんでそこまで羽を大事にするんだ?」
夢「私は自由に生きたい。いろんなものに触れたい。その為には羽がないとだめだから。」
いつしか夢は羽がないと自由には生きられないと思うようになった。
彼女の翼が美しく見えるのは、
彼女の羽が白く輝くのは、
彼女が羽で中を飛べるのは、
全て自由に生きる為だった。
毎日、毎日丁寧に手入れを欠かさない夢の羽は今日、傷つけられてしまった
自由に生きる為の翼に穴が空いてしまった。
夢はこれをどう受け止めるのだろうか。
表面上はきっといつもと変わらない。
ニコニコ笑顔を浮かべて、「大丈夫だから」っていつもどおり言う。
残念ながら羽毛は生えてくる。だが、羽毛の下にある羽を支える皮膚は生えてこないだろう。
きっと夢の翼は穴が空いて飛びにくいままだ。これからも、ずっと。
多少元に戻ってもきっと他の羽よりすこし歪な形だ。
夢に伝えなきゃならない。お前の翼はただの羽だと。羽がなくても自由に空は飛べると。
リムル「そうか…なるほどな。」
リムル「やたら夢が羽を褒められて喜ぶのはそういうことだな…。」
ギィ「あぁ、夢にとっちゃ夢の自由を生き方を褒められたようなものだからな。」
リムル「はぁ…傷はどれも致命傷じゃない。撃った奴らの処分も決まってる。」
リムル「だが一番厄介なのは…」
ギィ「夢のメンタルケアだな。」
リムル「あぁ、今の話を聞いてより思ったよ。」
ギィ「?」
リムル「今回の件で夢はそうとう傷ついてる。」
ギィ「あぁ…」
夢「…あれ」
寝てた…。まだ外は真っ暗だし、夜なのかな。
ギィもリムルもいない。
夢「お腹減った…。」
ベッドから降り、そうっとドアを開ける。
夢(食堂に行けばなにかあるかな…)