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霞月 つむぎ 🌌🐈⬛🪽
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人間なのに、まるで海と陸との境界線などないように海を泳ぐ少年を、もっと近くで見たくなった。
太陽を映してきらきら輝く水面に浮かぶ彼を、水の中の岩陰から、そっと観察する。
『…だれ?』
不意にこちらに目線を向けた彼と目が合って、お互いにフリーズした。
その瞬間、大きな波が彼に覆い被さって、水の中に消えて行く。
慌てて追いかけて腕を掴むと、溺れる者の強い力で抱きつかれた。
初めて触れた、ニンゲン。魚や貝とは違う。あまり自分と変わらない感触だった。
動転しながらも、どうにか岩場まで身体を押し上げた。
そのまま彼は動かない。恐る恐る、頬を触ってみる。
「う……」
小さく呻いて、身じろぎした。
近い距離で、目と目が合った。
――それが始まり。
瑞基に出会ってから、人間の世界への興味が強くなるのを抑えられず、姉たちを説き伏せ、海から出ることができた。
人間たちに紛れて暮らしている人ならざる者のコミュニティを通じて、保護者を得ることもできた。
人間の街に来て知った。
自分達の種族は、人魚と呼ばれるものだと。
「…どう考えても、無理だよな」
バスルームの浴槽に身を沈めて、独り呟く。
「生まれた海に戻ったら、脚も元に戻るだろうし、多分」
海を出る時、少女ではなく少年になりたいと強く願ったら、その通りになった。
しかし、原理はわからないが、水に浸かると本来の姿になってしまうようだ。脚は人間のままだが。
俯いて、湯船の中の自分の身体を眺める。
同じ年頃の女子たちと比べるとかなり控え目ながら、胸に膨らみがある。女性の身体だ。
「ばれたら、ずっと騙されてたってかなりショックだよな、瑞基」
男としては小さくて――長年水泳部で鍛えている瑞基とは16cmほど身長差がある――すぐに体調を崩す由良を、瑞基は何かにつけて面倒を見てくれてきた。
それが、実は人間ではないと知ったら……。
――明日、はっきり断ろう。
物凄くはりきって、テスト前勉強しに来るって言ってたからな。
コメント
1件
うわあ…由良、女の子だったんだね…😳 海で瑞基と出会ったシーン、すごく綺麗でドキドキしたよ。人間じゃないって秘密抱えて、しかも性別まで隠してるなんて重すぎる…「明日断ろう」って決意が切なすぎて泣ける。続きが気になる、、早く読みたいよ😢💔