テラーノベル
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昼休み。
社内の休憩スペース。
「……また来た」
ジェーンが小さく呟く。
その視線の先——
ドンッ。
テーブルに置かれる、大量のフライドチキン。
「はい注目〜!!」
満面の笑みの
シェドレツキー。
「今日は特別企画!!」
「なんだそれ」
呆れ気味の
デュセッカー。
「これはね」
シェドレツキーが胸を張る。
「俺の“本気”です」
「やめとけ」
「止めるな」
完全に止まらないモード。
その時。
「……うるさい」
低い声。
振り向くと——
ブライト・アイズが、いつの間にか立っている。
「……」
シェドレツキー、固まる。
(来た……本命……)
「で?」
ブライトが腕を組む。
「これは何」
「はい!!」
即立ち直る。
「フライドチキンです!!」
「見れば分かる」
正論。
「えっとその……」
一瞬だけ言葉に詰まるが、
「俺、これ好きで」
「知ってる」
デュセッカーが横から。
「うるさい」
「で!!」
仕切り直し。
「よかったら一緒にどうですか!!」
直球。
一瞬、静寂。
周りもざわつく。
「……あたしに?」
ブライトが少しだけ眉を上げる。
「はい!!」
迷いゼロ。
「理由は」
「……え」
想定外。
「なんで誘ったの」
じっと見られる。
逃げ場なし。
「……気になってるからです」
正直に言う。
空気、また止まる。
ジェーン、無言。
ジョン、固まる。
デュセッカー、ため息。
「……あんたさ」
ブライトが一歩近づく。
「本当に命知らずだね」
「違います」
即答。
「普通に興味あります」
数秒。
見つめ合う。
「……」
ブライトがチキンを見る。
「……美味しいの?」
「めちゃくちゃ美味しいです!!」
「へぇ」
一つ取る。
一口。
「……」
静かに咀嚼。
全員、見守る。
「……悪くない」
ぽつり。
「やった!!」
思わずガッツポーズ。
「でも」
ブライトが続ける。
「それとこれは別」
「はい」
即理解。
「誘いは却下」
「ですよね!!」
でもなぜか清々しい。
「ただ」
指を一本立てる。
「また持ってきたら食べる」
「!!」
シェドレツキーの目が輝く。
「はい!!」
「……餌付けか?」
ぼそっと言う
デュセッカー。
「戦略だよ」
ドヤ顔。
その様子を横で見ていたジェーン。
「……バカ」
ぽつり。
でも。
ほんの少しだけ、面白そう。
ジョンはその光景を見ながら、
(なんか……すごいな……)
と、ちょっと引きつつ感心していた。
「じゃ」
ブライトがチキンをもう一つ取りながら言う。
「妹、ちゃんとやってる?」
「……」
ジェーンは無言。
「問題ないです!!」
なぜかジョンが答える。
「……そう」
少しだけ満足そうに頷く。
「じゃあね」
そう言って去っていく。
チキンを持って。
「……よし」
シェドレツキーが拳を握る。
「一歩前進」
「してない」
即否定のデュセッカー。
「でも食べてくれたからな」
「それだけだ」
「それが大事なんだよ」
その横で。
ジェーンがぽつり。
「……やっぱりバカ」
でも。
ほんの少しだけ、笑っていた。
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