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藤澤視点
僕たちの雑誌撮影が終わると、
彼もスタッフに混ざって撤収作業をこなしていた。
そこでも彼はメインとなって、
どこに何を片付けるか細かく指示を出していた。
どうしてそこまで必死になれるのだろう。
固く真剣な表情のままで、
滴る汗を拭いもしないで走り回り、
彼はスタッフが困らないように何度も声掛けをする。
そこにはただ優しいだけではない部分を感じた。
自分を犠牲にしてでも守ろうとするような、
強い意志と、
並々ならぬ覚悟が滲み出ていた。
(まるで誰かを守るために自己犠牲になることすら、
最初から受け入れているみたい)
やっぱり変だよね?
でも僕が彼に何をしてあげられるのかなんて、
情けないほどに全くわからなかった。
助けてあげたい。
力になりたいのに、
何もできなかった。
僕って本当に無力だなって落ち込んだ。
彼は必死になって食らいついているのに。
「あの子面白いね。
ぜひ僕の被写体にしてみたいな」
え?
僕らに対して取り直しこそはなかったが、
特に要求の厳しかったカメラマンが、
不思議と彼に興味を示したのだ。
僕は何故かその時嫌な予感がした。
まさかね?
やはり彼の撤収作業中も僕はどこか、
そわそわと気になってしょうがない。
「TASUKUさんのことでしょ?」
「気になってしょうがないって顔してるよ」
若井と元貴にほぼ同時に指摘された。
流石に顔に出過ぎていたのか、
二人が鋭いのかはわからないが、
完全に図星だった。
彼は僕のことをどう思っているのだろうか。
好き?
嫌い?
僕がこんなにも気になるのは、
どうしてだろうか?
彼に意識されたい。
僕を認識されたい。
この気持ちはどうすれば伝わるだろうか?
彼の優しさが報われてほしい。
だけど優しさを振り撒くのは、
僕だけにしてほしい。
他の人をドキドキさせないでほしい。
そんなこと言ったらやっぱり困らせてしまいそう。
(好きだから束縛したいのかな?)
この気持ちってなんだろう。
彼は自分を犠牲にしてまでも、
周囲に優しさを提供する人だ。
告白してもしてが先輩だからと、
気を遣って受け入れられるのは嫌だった。
ちゃんと僕のことを好きになって、
受け入れてくれてから付き合いたい。
でも彼は「みんなの王子様」だから、
きっと「僕だけの王子様」にはなってくれないかもしれない。
拒絶されるのが怖い。
あと一歩が踏み出せない。
ねえ、
この「ただの先輩と後輩」の境界線を越えたら、
僕を好きになってくれますか?
雫騎の雑談コーナー
公開後に読み返すと明らかにおかしかったので、
すいません。
内容をガラッと変更しました。
リチェックが甘いですね。
やっぱり雫騎は今日も安定のポンコツっぷりを発揮してますわ。
それでは本編です。
星崎の裏方業務は撮影前のセッティングと撤収作業が主で、
自分の仕事よりもスタッフが困らないように、
スタッフ優先で動いているため基本的には休憩をしない。
そのやりとりを見ていたカメラマンから、
何やら不穏な空気が流れていますね。
後々やらかしますよ。
さらに藤澤さんは徐々に束縛っ気や独占欲が芽生え始めている様子。
さ〜てどうなることやら!