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「大変な目にあった…」
「一期くん誉桜出し過ぎだよ」
「申し訳ない…」
大量に降った桜の花びらも綺麗に片付けて空を見ればもう夕日が沈みかけていた。
「さて夕餉の準備をしよう」
「今日の献立は何ですか?」
「本日の献立は肉じゃがに〜…」
「美味しかった…」
「明日も楽しみですね!」
夕食後は各自自由に屋敷内で過ごすのだが基本的に何をしてるのかは知らない。
居間でお菓子を食べたり屋敷の掃除をたまにしてくれているのは知っているが…
「さて私もそろそろ準備しようかな」
何をするかというと先日出会ったあの鶴丸さんに弁当作りをする。オムライスを食べたいとの事だったのであらかじめ準備しておいた材料でオムライスを作っていく。
弁当箱に入れるのであまり大きくしないよう気を付けながらササッと作っていく。今回は普通にチキンライスを包んだだけのもの。
「これだけじゃ物足りないかもだから…」
用意しておいたミニトマトやウインナーをオムライスとは別の箱に入れる。弁当箱の真ん中に仕切りをしてあるので反対にはリンゴとか果物を入れていく。
「よーしできた!」
2段のお弁当を素早く包んでいく。ケチャップは中でベチャッとならないように別入りにしてある。
急いで痕跡を片付けて裏口から外に出る。
しっかりタオルと着替えのジャージも持って
「急ごう…見つかった今度こそ串刺しにされる…」
「おっ随分早く来たな」
待ってたぜとそう言いながら風呂場の裏口で待ち構えているのは先日会った鶴丸さん
「で、約束通り作ってきてくれたのか?」
「ちゃんとここにありますよ」
「おーー!!二段あるんだな!」
「オムライスだけじゃお腹減ると思って色々詰めてきました」
「感謝するぜ」
「早くお風呂入りたいので通してください〜」
「あぁ分かった分かった」
扉を開けると相変わらず湯気の立つ温泉があった
「早く入りたい!!」
「走って転ぶなよ」
「大丈夫です…」
「というか服脱ぎたいのであっち向いててください」
「あぁそうか人間は身体を見られるのが恥ずかしいんだったか」
「そうですよーあだ名変態にされたくなければ早く後ろ向いててください」
「はいはい向いた向いた」
「ふぅ」
「なぁなぁこれ食べていいか」
「どうぞ〜」
私がタオルを巻いているからか結構近くで弁当を開けようとしている。この刀の距離感の詰め方がよく分からない
「おぉ!本当に色々入ってるな」
目を輝かせながら蓋を開けて中身を確認している。
「この間みたいに包丁で切ったりはできないのか?」
「あれは特別なやつですよ。今回は包んだだけです」
「なんだつまらん」
口をとんがらせながらブーブーとと言っているがあれは普通に面倒臭いので作りたくない。
「これをかければいいんだよな」
「そうですね、かけなくても美味しいですけど」
ケチャップの入ったミニボトルを持ち上げながらまた観察をしている。
「これ可愛いな」
「でしょう。万屋で買ったんですよ」
「これは…」
「スプーンです。一応箸も入れてありますよ」
「食べやすそうだな」
「とりあえず食べてみてください。今日の上手くいったんですよ」
「…じゃあいただきます」
そっとケチャップをかけてその部分をスプーンですくい勢いよく口に放り込む。
「美味い!!」
「お口にあったようで何より」
「卵がふわふわしている…下の赤いご飯も濃厚で美味い…」
「下のはケチャップライスですよ。」
「けちゃっぷらいす」
「はい。白米にケチャップや鶏肉、その他色々入れたものです。」
「君達毎日こんな美味しい物食べてるのか」
「そうですねぇ、燭台切が作ってくれてますから倍美味いですけど」
「ずるいぞ君達だけ!!」
「まぁまぁまた弁当作ってきますから」
「まぁそれなら…」
むっとしながらもぐもぐと弁当の中身を食べていく鶴丸さんを見ながら私もゆっくりと肩まで湯に身体を入れていく。
「そういえば鶴丸さんは風呂入らないんですか」
「風呂か」
「服も髪も血着いてて汚いですよ」
「そんなストレートに言わなくても良いだろ」
「事実です」
「…まぁ確かに入った方がいいかもしれんが…」
「なんかダメな理由でも?」
「服これしかないんだ」
「マジで言ってます?」
「マジだ」
「…ストックとかないんですか」
「用意できてたらこんなに汚れてはないな」
「もう大人しく離れ来てくださいよ。そこなら着替えありますから」
「就寝中に首を落とされても知らないぜ?」
「それは嫌なのでやっぱり来ないでください」
「君ってやつは本当に辛辣だな」
「ははっすみませんね辛辣で」
「というか君、本当に警戒心ないよな」
「そうですか?」
「完全武装状態の相手の前で布1枚巻いて風呂に入る奴なんてそうそう居ないだろ」
「でも鶴丸さんは何もしないでしょ。敵意とか感じないし」
「君ってやつは本当に…はぁ…」
何か言いたげな表情のままもぐもぐとオムライスを食べていく。結構気に入ってくれたらしい
「明日は何がいいですか?」
「そうだな…肉が食べたい」
「肉ですか…唐揚げとか食べてみます?」
「いいなそれ」
「じゃあ明日は唐揚げと…おにぎりに卵焼き…」
「なぁこれも入れてくれないか?」
そう言ってこちらに見せてきたのは弁当に入れてあった赤ウインナー。
「赤ウインナーですか?」
「あぁ味が凄く好みだ」
「仕方ないですね」
明日の献立を決めつつゆっくりと風呂に入りながら星を眺める。なんだかこういうの良いと思う。イケメンもいるしね。
てかよくよく考えたら私ほぼ全裸でイケメンの目の前にいるってなかなか凄い絵面じゃないか。もっとこうどうにかできたんじゃないだろうか。
「おい君、のぼせてるんじゃないか。顔が真っ赤だぞ」
「あぁ…ちょっと浸かりすぎましたね…」
気が付けばのぼせていたらしい。ゆっくり風呂から立ち上がり冷水を浴びにシャワーに向かう。
「転けるなよ」
「はい…」
何とかシャワーを捻り桶に冷水を溜めてそこに勢いよく顔を突っ込む。
「君たまにすごい事するよな」
「これが一番手っ取り早いので…」
残りの熱は夜風で冷めるだろう。
「さてそろそろ私帰りますね」
「あぁおむらいす美味しかったぜ」
「喜んでいただけたようで何よりです。」
「そうだ。今思い出した。」
「?何を」
「これ、君にやろう」
「…金平糖?」
「あぁ弁当の礼だ。今日屋敷の倉庫で見つけてな。離れにいる刀達に食べさせてみてくれ」
「あげるのはいいですけどどこから貰った事にしましょう」
「倉庫の端に落ちていたとでも言えばいいんじゃないか?」
「そうします」
「んじゃまたな」
「はい、また明日」
裏口の扉を開いて離れに駆け足で戻っていく。この金平糖は明日皆にあげてみよう。