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前のアパートにはピアノがなかったので、ピアノを弾くには小学生の時から通っているピアノ教室に行くしかなかった。
だから到底満足のいく練習は出来なかったようだ。
でも、ピアノのあるマンションに引っ越した事で、好きなだけ練習が出来るようになったし、夢に向かって1歩前進する事が出来た。
…‥20XX年10月13日(月)
高校3年生の遥香は今日で17歳の誕生日を迎えた。
ちなみに僕も今日、誕生日を迎えたので38歳になった。
この日、週末に出張で大阪に行っていた僕は、月曜日と火曜日を使って代休を取っていた。
美咲さんは、僕と昼食をとった後、【今日はパーティーがあるからご馳走をイッパイ作らなきゃ】と言って、近くのスーパーに買い物に出かけた。
“パーティー”? 誕生日パーティーでもするというのか?
毎年、この日は3人で誕生日を祝っていた。
美咲さんの豪華な手料理と誕生日ケーキで大切な日を3人で過ごした。
特別な記念日だったけど、誕生日パーティーとは言った事はない。
美咲さんは何をしようとしているのだろう?
僕は、テレビを見ながらソファーで横になり、ウツラウツラしていた。
するとテレビから今まで不治の病と言われてきた心臓病の特効薬が開発されたという声が聞こえてきた。
まさかっ…‥
この病気って…‥
僕と葵が高校生の時、隣街の大学病院で知り合った五十嵐茉奈ちゃんの病気…‥
茉奈ちゃんの命が救われた事でスッカリ忘れていたけど、あの時は数十年後の未来で開発された薬で茉奈ちゃんは命を救われた。
未来から送られてきた薬のおかげで茉奈ちゃんは死なずに済んだ。
そんな茉奈ちゃんを救った薬がこの時代に開発された。
つまりあの薬は…この時代から29年前のまさおばあちゃんを経由して19年前の僕の元に届けられた。
プルルルル…プルルルル…‥
家の電話が鳴っていた。
ディスプレイを見ると公衆電話からだった。
こんな平日の真っ昼間に、電話してくるなんてどんな奴なんだ。
『もしもし…』
僕は不機嫌そうに嫌々電話にでた。
『もしもし、パパ…』
『遥香か? どうしたこんな時間に?』
『お願いがあるんだけど…』
『お願い? いいよ、言ってみなさい』
『あのね、私の机の1番下の引出しを開けると、クラフト紙の小さい手提げ袋が入ってるから学校に持って来て欲しいの』
『わかった。今から行くよ』
『よかったぁ。パパ大好きっ。それじゃあ待ってるからね』
それから僕は遥香に言われた物を持って、車で高校に向かった。
20分くらい車を走らせると、遥香の通っているW高校に到着した。