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コメント
4件

えーーーん 辛いよぉ😭😭😭
もう好き
ええ? ふっかぁ😭 切ない系…? 😭
親友代表のスピーチをお願いします。
たった一文だった。
画面に表示されたその連絡を見て、笑ってしまった。
笑うしかなかった。
親友。
便利な言葉だ。
近くにいてもおかしくない。
隣にいても誰にも疑われない。
何でも話せる。
何でも知ってる。
……でも、一番欲しい名前だけは、一生もらえない。
俺は「もちろん」と返した。
送信した瞬間、スマホをベッドに投げた。
最低だ。
断ればよかった。
でも断れなかった。
断ったら理由を聞かれる。
理由なんか言えるわけがない。
「好きだから、お前の結婚式なんて行きたくない」
そんなこと、死んでも言えない。
好きだった。
いつからなんだろう。
気付いた時にはもう遅かった。
気付かなければよかった。
親友として笑っていられたのに。
知らなければ苦しくなかったのに。
「照、おめでとう」
そう送った夜。
送信ボタンを押した指が震えていた。
返ってきたのは、
「ありがとう」
それだけ。
たった五文字。
その五文字だけで、俺の恋は終わるんだと思った。
何度も考えた。
もしあの日。
もしあの時。
もし俺が一回でも「好き」って言えてたら。
何か変わってたのかな。
……いや。
変わらないか。
照は優しいから。
きっと困った顔で笑って、
「ごめん」
って言う。
その「ごめん」を聞くくらいなら、親友でいた方がよかった。
そう思い込んで、ここまで来た。
式まで一週間。
スピーチを書かなきゃいけない。
白紙のまま、三時間。
ペンだけが転がっていく。
「照は昔から」
違う。
消す。
「誰より努力家で」
違う。
消す。
書きたいのはそんなことじゃない。
『お前が好きだった』
その一文しか浮かばない。
書けるわけない。
夜中の二時。
机に突っ伏したまま泣いた。
何年ぶりだろう。
声が漏れないように腕を噛んだ。
苦しい。
息ができない。
なんで俺じゃない。
なんで。
なんで。
なんで。
その言葉ばっかり浮かぶ。
祝福なんかできるわけない。
幸せになってほしい?
嘘だ。
幸せになってほしいなんて思えない。
全部なくなればいい。
式も。
指輪も。
未来も。
全部。
そんなことを願う自分が、心底気持ち悪かった。
最低だ。
照は何も悪くない。
好きになったのは俺。
言えなかったのも俺。
全部俺。
なのに勝手に苦しんで。
勝手に壊れて。
勝手に恨んで。
本当に最低だ。
式の前日。
照から電話が来た。
「明日よろしくな」
たったそれだけ。
普通の声。
いつも通りの声。
俺だけが普通じゃない。
喉まで出かかった。
『行きたくない』
『結婚するな』
『俺を置いていくな』
全部飲み込んだ。
「任せろ」
そう言った。
よくそんな声が出たなと思う。
電話が切れたあと、部屋中の空気が全部なくなったみたいだった。
立っていられなくて、その場にしゃがみ込んだ。
結婚式当日。
鏡に映る俺は笑っていた。
笑えていた。
人間って怖い。
こんな日でも笑える。
こんな日でもネクタイを締められる。
こんな日でも生きてる。
会場の扉が開く。
白い花。
拍手。
笑い声。
綺麗だ。
残酷なくらい。
照が立っていた。
世界で一番幸せそうな顔をして。
その顔を見た瞬間。
全部終わった。
俺の中で何かが静かに死んだ。
「では、親友代表のスピーチです」
名前を呼ばれる。
足が重い。
逃げたい。
今ならまだ逃げられる。
でも逃げない。
逃げたら照が困る。
最後くらい。
最後くらいは。
マイクを持つ。
照が笑ってる。
俺を見て笑ってる。
そんな顔するな。
そんな顔で見るな。
その笑顔を、ずっと俺だけのものにしたかった。
……なんて。
最後まで言えない。
「照」
声が震えた。
一瞬だけ会場が静かになる。
「おめでとう」
その言葉が
人生で一番苦しかった。
祝福の言葉を並べる。
笑いも起きる。
拍手も起きる。
みんな満足そうだった。
親友らしい、いいスピーチだったって。
違う。
全部嘘だ。
本当は。
『好きだった』
『愛してた』
『行かないで』
『俺を選んで』
そう叫びたかった。
でも。
誰にも聞こえない。
拍手の音に全部消された。
式が終わる。
「ありがとな」
照が肩を叩いた。
昔と同じ力加減。
昔と同じ笑顔。
昔と同じ距離。
でももう違う。
今日からその隣は、俺じゃない。
「幸せになれよ」
笑って言った。
今までで一番上手に笑えた。
照は頷いて去っていく。
一度も振り返らなかった。
振り返る理由なんてない。
俺は親友だから。
扉が閉まる。
その音だけがやけに大きかった。
終わった。
十年以上抱えてきた恋は。
告白すらできないまま。
「おめでとう」
その一言で、静かに埋葬された。
帰り道。
スーツのポケットから、何度も書き直したスピーチの下書きが出てきた。
裏側には、自分でも覚えていない字で、一行だけ書かれていた。
『結婚、おめでとう。
本当は、俺と幸せになってほしかった。』
ぐしゃぐしゃに丸めて、ゴミ箱へ捨てた。
誰にも読まれないまま。
誰にも知られないまま。
俺の恋は、紙くずより軽く消えていった。